第2話
「あの、掃除とかしてなくて散らかってるけどいいかな?」
「掃除くらいしとけよ、このゴミムシが!」とか言われたらどうしよう。さすがに耐えられない……。いや、そんなことないか。世間の男性に対する扱いなんてそんなものだし。
「全然いいよ」
「気にしないからいいよ♪」
良かった。とりあえずは良好に話が出来そうだ。
「どうぞ。上がって」
「はーい。お邪魔します♪」
「これからはただいまになるけどね、有紗」
二人が靴を脱いだ後二人の部屋に案内する。
「二階に二人の部屋があるから、先に案内だけ」
「もう部屋が?」
「母さん準備良すぎ」
二人を連れて二階に上がり、部屋の前までくる。二部屋あり、一人一部屋の予定だが問題ないかな?
「この二部屋。どっちがいいかな?」
「ドアの前だけで決めるのは難しいよ?」
「うん。お姉に同意」
そうだよな。それはそうだ。中を見ずに決めるのはさすがに良くない。俺の気がそこまで回っていなかった。
「ああ、悪い。好きに見てくれ。先に下に行ってる」
「ありがとう。こっちから見ようか」
「うん」
二人仲良く部屋に入っていく。俺はそれを見届け、一階に降りてリビングへ行く。もちろん夜ご飯を作るためだ。とはいっても、昨日母さんが作ったカレーがあるので温めるだけだけど……。
今思うと二人が来ることは昨日から決まっていたようだ。それを見越してのカレーのこの量なのだろう。
「昨日話してくれれば掃除くらい出来たのにな」
そんなことをぼやく。掃除は出来ても心の準備は出来なかっただろうけど。それにしても……美人だったなぁ。母さんの目を信用していないわけではなかったが、あれは規格外だ。
くるくるとカレーを焦がさないように混ぜながら考える。
するとトントンと階段を降りてくる音が聞こえた。結構速かったな。
「もう決まったのか?」
「ええ、荷物も置けたわ。ありがとう」
「お姉?ちゃんと仕舞ってから降りていかないと……。ってホントにカレーだ」
「え?」
「ああいや、上でカレーの匂いがするからって、道中でお腹を空かせたお姉がパッパと降りてっちゃってさ」
「そっか、二人ともご飯まだでよかったよ。この量を食べ切るのはきついから」
結構温まってきたし、そろそろ食べられるころ合いだろう。火を弱め、机の準備をする俺。二人は……今日はとりあえず客人ということにしよう。
「よし、いいよ。ご飯よそちゃって」
「「はーい」」
夕食を食べた後はしばしの雑談タイムだ。
「自己紹介が遅くなったわ。私は牧野芽衣、十七歳。こっちは有紗、十五歳、私の妹よ」
「私たちもお兄と同じ学校に通うことになったからよろしくね」
「そうなの?」
「ええ。有紗は学年が違うけど、これからは同じ学校ではあるわ。昼食は兄妹で集まるようにしましょう」
「ええ?」
「問題ある?お兄」
「ない……と思う」
「じゃあ決まり♪」
そうして明日からの行動が一つ決まってしまった俺だった。
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これからは三日に一話くらいのペースの更新になると思います。
・訂正
有紗と進作が同学年の設定を完全に忘れてました。 芽衣と同学年に直します。
・お知らせ
今週の日曜日も書けたら投稿する予定です。
その後はしばらく不定期で投稿になると思います。
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