第6話

 朝ご飯はウサギ女と(私が寝ぼすけでお乳を口に咥えないと一日が始まらないと白男に言ったらしい、誰がとは言うまい)、昼ご飯は白男と、おやつはウサギ女と紅茶とクッキーを食べて、夜ご飯はまた白男と食べた。


 一応侍女らしく、ウサギ女は食事は別で食べるそうだ。



 まあこんな生活もいいかな、と、ロンがどうなったのかや、私がいなくなった家族のことをたまにぼんやりと考えていたとき、事件が起こった。



 白男の家に警察が来たのである。

 家族が私の捜索願を出してくれていたらしい。



 意外にも私のことを見捨てなかったのだな、と胸が熱くなった。

 白男は、あわあわしていた。



 白男は見た目通りにひ弱ですぐに捕まった。

 ウサギ女は破落戸の仲間なので、本来ならば警察に突き出すべきだが、私は一緒に誘拐されたお姉さんだと言い張り、守ることにした。



 そこに、第三王子の側近がやってきたのでびっくりした。


「殿下、お気はすみましたか?」

 冷ややかに言った。


 ははーん。なるほど、白男は第三王子の変装だったのか、と縛られて床に転がされている男を見ると、上から声がした。

「いやー、胸があるって良いねえ」

 はっとして上を見るとウサギ女が、今まで見たことのないキリっとした目をしていた。



 話しをまとめるとこうだ。

 誘拐事件までは本当らしい。


 私に耳と尻尾を渡した後も、護衛(というか私に渡した道具が正常に動いているか確認する人)を付けていたらしい。

 そしてロンの動きに気付き、交渉がまとまりかけたところで破落戸の仲間になったという。


 側近はあのフードを被ったくさい男だった!おどろき!

 第三王子は耳や尻尾だけでは飽き足らず、人体改造や付け胸を開発していたらしい。

 お胸は本物のようにふわふわもちもちで、膝枕もとっても気持ちよかった、ではなくて!

 どうやら技術はとても成長していたようだ。


 だったら助けてよ!ていうか警察来る前に迎えに来いよ!と思ったがウサギ女のお胸には盗聴器やGPSのような物が仕掛けられていたらしく、安全性には問題がなかったそうだ。

 もし何かがあっても第三王子がなんとか出来るとのこと。意外に強いらしい。


 すぐに来なかったのはあれだ、機械オタクらしく、装置の(と第三王子は言った)の耐久性を確かめたかったらしい。

 付け胸の耐久性を確かめて何に使うかは想像しないでおこう。そうしよう。


 あれ?ということは最初から私が乳を吸わなければ、装置の耐久検査は要らなかったわけで、そしたら救出はもっと早かったってこと!????

 おーまいが-!!時は戻せないのである。いま後悔しても仕方がない。

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