第4話

 私が普通に産まれなかったことを両親が気に揉んでいたのは知っている。

 私のせいで、二人が口論になっていたことも。


 それでも私の前では明るく振る舞い、現実を受け入れてくれる両親のことが好きだった。

 3年後に産まれた弟は、”普通”で異質な私を受け入れ、「いつか僕が姉ちゃんを守る」と言ってくれていた。

 弟が産まれたとき、顔を確認したあと、ホッとして肩の力が抜けて自然に微笑んだ両親の顔は一生忘れないと思う。

 お邪魔虫ではなかったと思いたい。しかし、私は無条件に受け入れられるような存在ではなかったのである。



 破落戸の大男には3人の仲間が居た。

 1人は髪が斜めになっていて、狐の耳をはやした細めの男。

 もう一人は黒いフードを被ったくさい男。

 最後の一人は赤い髪でダイナマイトなばでぃをした色っぽい姉ちゃんだ。耳はウサギっぽい。


 ええなあ、と前世も貧乳だった私は胸をガン見してしまった。


 それをどう勘違いしたのか、「乳恋しいのではないか?」と勘違いしたウサギ女はその後、私の世話をせっせと焼いた。まるで母親のように。

「声を出させる訳にはいかないから」と口枷は付けられたままだったが、生のお胸に挟んでもらったりした。

 馬車で移動中で、他の連中が寝ているときなど、こっそり口枷を外して、お乳を口に含ませてくれた。

 どんなプレイかと思った。


 でも邪気のないウサギ女の顔を見ているとなんとも言えず、「ばぶぅ・・」と小さな声を上げ、何も出ない乳首をちゅうちゅう吸った。

 ウサギ女は満足げに微笑み、私の何も生えていない頭を優しく撫でてくれた。



 日が7回くらい沈んだり昇ったりを繰り返した後、私は馬車にのんびーりと揺られ、たまに乳を口に含まされ、ご飯もなんだかんだちゃんと食べさせてもらい、風呂にも入れてもらって(ウサギ女が主張しまくったからだ)、服もなんだかんだ綺麗なのを着せてもらって、誘拐であることと身体の自由、声の自由がないことを除けば、まあまあ良い旅が出来た。


 なんで風呂場や乳を飲まされているときに大声を出さなかったかって?

 出したところで、こいつらよりも悪い奴らに捕まる可能性も高い。

 運良く警察に保護してもらったところで、輸送途中に”思いがけない事故”に見舞われる可能性もあるのだ。

 それだったらまあ、変態であってもちゃんとした人のペットになる方が良かろうというものだ。


 そして、まあ、ウサギ女の幸せそうな顔と、愛おしげに頭を撫でたり、頬を寄せてくれるのがまあまんざらではなかったというのもある。

 レズには目覚めなかった。

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