留置所…留置所ね
「な、なんで警察署なんだ?」
俺は目の前の光景を疑わずにいられず、桜に聞いてみる。桜はよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの笑顔をしていた。
「何かあれば警察に!ってお母様が言ってましたもの」
「それで警察ってどういう…いや、考えれば安心か」
考えてると、今回の1件は『ロリっ子大好きクラブ』によるストーカー被害になるということになる。それを予防するための警察ということなのだろう。桜は褒めてほしそうな顔で俺を見ていた。
「お話は先にしておきましたわ!警察の方にはある部屋を空けておいてくださるらしいですわ!」
「それはありがたいね。さすがだね。桜は」
「そ、そんな〜褒めてくださるなんてありがとうございますわ!」
「で、その部屋って?」
「確か…
それ、何か犯罪を犯した人が一旦入れられる場所ですやん。大丈夫か?今、安心感よりも不安感の方が強くなってるよ?
「そ、そうか。じゃあこの事件が解決したあとってどうなるの?俺の家、引き払われちゃったけど」
「それはお母様が考えているみたいですわ。私にもどこでとも言ってくれませんでしたし、何故かしら?」
(それは桜がなんでも話しちゃうから…っていうのは言えないよね)
俺たちが車内で話し合っていると窓に近づいてくる人が数十名ほど居た。格好は警察だが、片手には銃を片手には盾を持っている上、殺気立っているのか空気が重く感じる。一人の警察館が窓から綺麗にお辞儀をする。
「私たちが保護致します。みなさま、ようこそ我が保護課へ。あとの方…え、嘘、男の子!?え!?聞いてないんですけど!?」
警察官は俺を見るなり急に慌てだす。
髪やら服装をやたら気にし、しきりに俺と目を合わせる。まるで街中で可愛い犬が居たみたいな反応だ。
「あらっ?言ったはずですわよ?」
「本当ですか?…んんっ!一先ず置いておきましょう。まずはみなさま、留置所へとご案内致します。お話しはそこで」
警察官は落ち着きを取り戻すと車の扉を開ける。桜が先に降りると俺の方へと手を差し伸べる。
エスコートってやつか。俺はその手を掴み、外へと出ると他の警察官は黙って鼻血を出しつつ俺の方を見ていた。
「あの人たちは大丈夫なの?」
「気にしないでおきましょう。では、皆様。はぐれないように手を繋いでおいてくださいまし」
桜は全員が降りたことを確認すると手を繋ぎ、警察署の方へと歩き始める。警察官は役割を思い出したのか、急いで俺たちを守るかのように立つ。
警察署の中へ入るとスーツを着たおばさんが居て、俺たちを急いで留置所の方へと案内してくれた。
「ここまで来れば安心ですわね」
「あっ…うん…そうなんだけどさ…」
俺は周りを見渡す。そこには留置所とは思えない光景があった。本来であれば鉄格子だったが、そこには扉が設置されており、床には子供が遊んでも大丈夫そうなマットが敷き詰められている。
更にはさまざまなおもちゃが置いてある上にどこから持ってきたのだろうと思うほど大きな猫のぬいぐるみが置いてある。さっきから
そして、この広さは異常だった。
俺の想像していた留置所は狭い。だが、ここは警察官を含めて7人が雑魚寝しても大丈夫な程だ。
「ここって留置所だよね?」
「ええ、そうですけど…何か問題が?」
子供部屋の間違いじゃないの?
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