第4話 日常

転生してから1週間、とにかく俺は周りとの不和を生まないことに全力を注ぎ、人間関係の把握を急いだ。


その結果わかった孤児院にいる俺以外の11人と、ついでに精神年齢20歳には退屈な1日をご紹介しよう。


まずは、朝日と共に起床。体感では6時くらいかなと思っている。何せ時計が見当たらないから正確な時間もわからない。


この体はそんな早起き生活に順応しているみたいで、なんの違和感もなく起きれる。怠惰な生活を送っていた大学生という名のニートからすればそれだけでとても偉い。


さて、ここで12人のうちの4人を紹介しよう。


まず1人目は院長。本名はラインハルト。名前かっこよすぎ。


血は繋がっていないが、それが些細なことと思えるほどに愛情を持って1人1人に接してくれる。


院長という立場はあるが、みんなの父親がわりでもある。


2人目はサラさん。院長の奥さんで、料理や掃除などの家事を中心にやってくれている。


厳しくも愛情を感じる、院長と同じくあたたかい人だ。更に魔法の達人で、水魔法で食器洗いや掃除を行っているのをよく見かける。


・・・ただかなりマナーには厳しい。俺でさえ割と注意を受ける時もある。一応20年間生きていた経験があるのに。


続いて3人目はジョン君。やんちゃで気が強いが、10歳と孤児院の子供達の中で最年長なこともあり、面倒見が良く優しい一面もある。


火属性魔法を持っているようで、サラさんが料理をする時に火の強弱を手伝わされて不満気な表情をしているのをよく見る。


本人曰く、「俺の火属性魔法は料理用じゃねーぞ!」だそうだ。


最後に4人目は8歳のエリーちゃん。強気でキリッとしている女の子。


孤児院では8歳になると下働きのような形で仕事を始めるらしく、エリーちゃんは商会で色々教わりながら頑張っているらしい。


もう大人みたいな顔で働いてる様子を俺たちに話してくるんだが、精神年齢20歳の俺からすると、背伸びしててとても可愛い。


この4人が毎朝交代で、俺たちを起こしに来てくれる。


その後パンと野菜たっぷりのスープで朝食をとる。これが最高にうまい。サラさんはめちゃくちゃ料理がうまくて、何を食べてもうまい以外の感想が出てこない。


綺麗で良い人で料理もうまくて・・・やばい、院長にムカついてきた。何だあいつ。


でも、院長もいい人なんだよなぁ。・・・お似合いかぁ。俺も今世では良い人見つかると良いなぁ。


あ、そんなこといいんだ。そんで、朝食の次はみんなで孤児院のお掃除タイムが始まる。


って言ってもサラさんが大まかに魔法でやってくれるから、本当に細かいところをみんなで楽しく掃除するって感じだけど。


それが終わるとお勉強へと移る。これがまじで退屈。文字の読み書きや簡単な足し算引き算をするんだよ。


文字は普通に日本語なんだよね。ひらがなだけだからめちゃくちゃ読みづらいけど。足し算引き算なんて余裕すぎるし。


でも考えてみれば3歳がやる内容にしてはかなり進んでる方なのかもと思ってたんだけど、その理由はすぐに判明した。


実は俺の意識が戻るまでのライルはかなり賢い子だったらしくて、周りの子よりかなり勉強の進捗が進んでいるらしい。


確かに最初からおかしかったんだよ。同い年の子達がサラさんに読み聞かせしてもらってる横で、机に向かって勉強させられたから。


それに関しては別に不満とかはないしむしろ好都合。


元から頭が良かったならこのまま四則演算なんかさっさと終わらせて、自分がいる場所の地理だとか歴史的なんかの全く知らない孤児院外の知識を仕入れていきたいんだよなぁ。


退屈な勉強の時間が終わると、自由時間となる。


ここで、残りの7人を年齢順に説明していこう。


まずは7歳のレオ君。おっとりした性格で、いつもニコニコしている優しい子だ。


頭が良くて、来年から商会で働くために四則演算の勉強をがんばっている。


2人目は6歳のマルク君。いたずら好きでよくサラさんに怒られているところを見かけるが、全く反省はしていないもよう。


ジョン君の後ろにいつもくっついて、ジョン君が昼間下働きに出ると少し悲しそうな顔をしている可愛い一面もある。


3人目は同じく6歳のソフィアちゃん。どこかふわふわしているつかみどころのない子だ。


よくぼーっとしているが、なにか興味を引くようなことがあれば会話途中でもどこかに行ってしまう。


4人目は5歳のリアム君。この子は自由時間になるとお気に入りの木の棒を持って素振りをしている。


将来は騎士になりたいらしく鍛えているそうだ。騎士!?ってなったよ俺は。あんまり騎士という職業が身近なものじゃなかった俺からしたら、頭の片隅にもなかったからね。


この世界なのかこの地域なのかはわからないが、男の子の中では騎士は憧れの的らしい。勉強の時間に横から聞こえてくるサラさんの読み聞かせを聞いていると、よく題材としても扱われている。


5人目は俺と同じく3歳のオリビアちゃん。エリーちゃんにべったりで、エリーちゃんが下働きに出るとよく泣いている。


おままごとが大好きで同い年の俺はよく無理矢理連行される。この1週間とてもきつかったです。


オリビアちゃんから呼ばれるのがトラウマになりそうだよ俺は。俺の精神年齢20歳なのにオリビアちゃんの子供役やらされるのきつすぎる。誰か助けて。


最後の2人はハリーとジャックという1歳の双子。


まだ1歳になりたてで、話す言葉も辿々しく舌足らず。それが可愛いんだよね。天使は実在したんだって確信したよ俺は。



以上のハリーとジャック以外の5人と、自由時間を一緒に過ごしている。


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