第5話 「私は在来種純粋日本人」と実感する愉しみ

書類上の日本人ではなく、心から「私は(在来種純粋)日本人である」と、自分で自分を信じることができる。閻魔様に問われた時、胸を張って私は(在来種純粋)日本人と答えることができる。この自信と喜び。

言い替えれば、(お茶目な子供のレベルを超えた)現実の殴り合い(取っ組み合いのケンカ)大学日本拳法という、狂気のスポーツ(武道)で得る充足感のことです。

(大学)日本拳法における防具練習の後の爽快感とは、私の場合、大学日本拳法から50年経った今でも充実感として甦るほど、しっかりと心と身体に焼き付いている。恐らく、「灰になって」も残るでしょう。

マラソンで、肉体的にも精神的にも(長距離走者の孤独感)苦しかった、テニスや野球、柔道や剣道で辛い・苦しいという以上に、頭にガツーンとくる(殴り合いの)衝撃や、思いっきり蹴り込む時の足の痛さによって、釈迦の得た覚醒、キリスト教における啓示・天啓が与えられる、というよりも、自分自身の中で真理が生まれるような大学日本拳法体験。

教会へ行かなくても、坊主の下手くそなお経を聞かずとも、殴り合いの中で自分の存在を自覚できる。「作りものの神や仏」ではない、Made in myself(自分自身の手作り)でありながらも、神から与えられたかのような絶対的な存在感(の自覚)。これが、殴り合いという汗まみれ血まみれの功徳(善果・効用)というものなのです。

目で見る・耳で聞く大学日本拳法

  男性女性の区別なく、この効用を見て聞くことはできるのです。

数年前の、ある大学の女性キャプテンのブログには、彼女が4年間で行き着いた境地(釈迦の悟り・イエス・キリストの受けた天啓)が、後輩たちへの愛という形で溢れていました。

昨年の「第68回全日本学生拳法選手権大会」試合会場、その天井桟敷から、桁違いというよりも異次元の世界を実感させてくれる声を私たちの心と身体で聞かせてくれた女丈夫(じょじょうふ:気が強くてしっかりしている女性)。

  彼女の「気を吐くこと虹の如くなりし(泉鏡花、義血俠血)」音聲には、まさに「若以色見我 以音聲求我 是人行邪道 不能見如來」、その声や姿を越えた「魂」がしっかりと存在していました。

なにも釈迦や禅寺の老師ばかりが、悟りを開いた人間というわけではない。イエス・キリストだけが、神から天啓を受けた「神の子」ではない。

自分自身でしっかりと自分を把握し、それを大衆にむかって、公衆の面前で正々堂々と表明できる人間こそが、「釈迦」であり「神の子」ではないのでしょうか。

私の身体は男でも心は女ですなんて、精神分裂症の韓国人みたいなマネをせずとも、男も女も共通したガッツ・強力な精神性によって、男女の区別のない(精神的な)姿を見ることができる、というわけです。


自分で信じることができる人間になる

「雨は降らねど身は濡れはすまい。さまの情けを傘に着て、散りゆく花は根に帰る。再び花が咲くじゃない」


  自分で自分自身に真実と正義を実行させることで、再現性のある精神的存在となる。これが大学日本拳法の功徳であり、在来種純粋日本人の「宗とする教え」であり、それはまた「日本昔話」の精神でもある(と私は考えています)。


  大学日本拳法で、拳技という技術や、試合駆け引きというテクニックを身につけることに努力を注ぐ以上に、練習の辛さや試合に負けるといった屈辱(ネガティブな心境)に耐える根性と、殴り合いという苦痛に打ち勝つガッツとという形而上的力(ちから)をつける。

カッコをつけて嘘の自分を見せるのではなく、殴り合いから逃げる虚の自分を許さない。それによって、「死んでも再び甦るフェニックスのような精神力」を身につけること。

しかし、これこそ「日本昔話」の教えともいえるのです。

「日本昔話」とは聖書やコーランよりも昔からある教え(寓話)ですが「ああせい、こうせい」という教則教義はありません。寓話として在来種純粋日本人としてのあるべき姿を示してくれているのです。

  また、「日本昔話」とは、ただの昔話に終わらない。

  Never Ending Story。昔から今、そして未来へとメビウスの輪のようにつながっている。


続く


2024年2月13日

V.3.1

平栗雅人

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Note版 「日本人の愉しみ」 V.2.1 @MasatoHiraguri

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