第5話 見えてくるもの

 森の中に居ると

 色々なモノが見えてくる

 今では忘れてしまった能力

 夏休みのキャンプとかの短い時間でなく

 何日も何日もその場所に留まって

 景色を眺めると見えてくる


 動物たちの気配

 襲われないように注意力が研ぎ澄ます

 森の中で過ごす時間が経つにつれ分かる

 じっと草藪を見つめる

 一か所だけ草の動きが違う

 そこには小鳥や小動物が居る

 鳥の鳴き声の方に目を凝らす

 小鳥をみつけることができる

 虫やトカゲも同様

 僕は動きに敏感な複眼を持っていないけど

 何となくわかる様になる

 草木の小さな動きの違いに反応するようになる


 もしかして、

 自分の感覚が研ぎ澄まされたのではなく

 森の動物に敵ではないと認められたのでは

 森の中からじっと僕をを観察していたモノたちが

 安全だと警戒を緩め動き出した

 それを僕が目にしているだけかも

 そう考えた

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