第14話 再会と相談
美香と再会したその夜、幸也は美香に菜々子への想いや中村との友情について相談することに決めた。彼女の冷静で思慮深い性格を信じていたからだ。
「美香、聞いて欲しいことがあるんだ。」幸也は少し緊張しながら切り出した。
「どうしたの?何でも話して。」美香は優しく微笑んだ。
「実は、最近会社で気になる女性がいて、そのことで悩んでるんだ。」幸也は少し顔を赤らめながら話し始めた。
美香は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに真剣な顔に戻った。
「そうなんだ。でも、同僚の中村もその女性のことが好きで、彼から恋愛相談を受けていて……どうすればいいのか分からないんだ。」幸也は困惑した表情で続けた。
美香は心の中で複雑な感情が渦巻いていた。じつは自分も幸也のことが好きなのに、その想いを秘めたまま相談に乗るのは辛かった。しかし、幸也のために冷静にアドバイスをすることを決心した。
「幸也君、自分の気持ちを正直に伝えることが大切だと思う。同僚の中村さんには自分もその女性を意識していることをちゃんと話すべきじゃないかな。」美香は慎重に言葉を選びながら答えた。
「そうだね。ありがとう、美香。君の言う通り、正直に話してみるよ。」幸也は感謝の気持ちを込めて答えた。
翌日、幸也は中村を昼休みに呼び出した。二人は会社の近くの公園で話をすることにした。
「大蔵、ちょっと話があるんだ。」幸也は緊張しながら切り出した。
「どうしたんだ、幸也?なんか真剣な顔してるな。」中村は不思議そうに尋ねた。
「実は、俺も菜々子のことが好きなんだ。君から相談を受けて、どうしていいか分からなくなって……正直に言うことが大切だと思って、話すことにしたんだ。」幸也は一気に言葉を吐き出した。
中村はしばらく黙っていたが、やがて笑顔を浮かべた。「そっか、幸也も菜々子のことが好きだったんだな。でも、お前が正直に話してくれたこと、嬉しいよ。ありがとう。」
「大蔵、俺たちどうすればいいんだろう……」幸也は不安げに尋ねた。
「まあ、こればっかりは菜々子の気持ち次第だな。俺たちがどうこう決めることじゃないし、あとは自然に任せるしかないだろう。」中村は肩をすくめて答えた。
幸也は中村の言葉に少し安心しながらも、複雑な気持ちでいた。友人との友情と、菜々子への想い。そのバランスをどう取ればいいのか、まだ答えは見つからなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。