『放課後→お祝いパーティー』
航平君と一緒に家に帰っている私がいる。
あれから、何故かあんまり一緒にいなかった。
だって恥ずかしいんだもん!!
だから、凛ちゃんと楓ちゃんにしがみつくように縋り付いていた。
2人とも
『しょうがないなぁ』
ニコニコ笑いながら言った。
後ろで、航平君が不機嫌な様子が分かる。
『あら、航平君、彼女取られたね』
田畑君の茶化すような声。
余計な事言わないでー(哀願)
凛ちゃんは、フフンと笑い
「当たり前じゃん。美奈と私達は、切っても切れない関係だもん」
楽しそうに私の腕を取った。
凛ちゃん、お願いだから煽らないでぇぇぇ(哀願)
そして、帰り…
ちょっと不機嫌気味の航平君。
「あ…あの…」
おずおずと私が話しかけると
「美奈…俺といたくないの?」
拗ねたような航平君の言葉。
「そんな事…ない…です」
小さく答える私。
「だったら…なんで避けられるのかな?」
イジワル風に聞いてくる。
「…だって恥ずかしいから。私、航平君の彼女…に相応しいか自信ないから」
私の一言に
「何度も言っているけど、美奈は可愛いんだからね。俺の方が、美奈に相応しいか…」
語尾の方は弱い。
「航平君は、すごくカッコよくて、すごくキラキラしてるよ」
必死に言う私に、航平君は笑って
「俺は、美奈だから好きになったんだから、もっと自信持って」
優しい笑顔で言う。
だけど、次の瞬間
「そうしないと…お仕置きしちゃうかもよ?」
耳元で囁く。
お仕置きって何ですか!?
私が後ずさりする様子を面白そうに見てから
「もうすぐ家だよ」
そう言うと、私の自宅が近くなっている。
シュンとしていると
「俺と別れるの…淋しい?」
って耳元で言う。
「…え?あの…その…」
「その反応可愛い」
絶対に面白がってますよね?
ね?
ね?
新たに分かった彼の一面に
戸惑いながらも
ドキドキしている私がいる。
玄関前に到着した。
「じゃあ、また明日…」
私が言うと
「あ…美奈…」
航平君が何か言おうとすると
「こーへー!」
玄関のドアが勢いよく開く。
「か、母さん?」
航平君が驚いている。
「何で?ここにいるんだよ?」
さっきまでのキャラは何処に?
すごく動揺している。
「だって、航平と美奈ちゃんが付き合い始めたんでしょ?だ・か・ら、お祝い」
可愛らしく、航平君のお母さんは言った。
…この空気
何とかしてください(哀願)
『さぁ、航平君入って入って』
中から出てきたのは、私のお母さん。
誘われるままに中に入る。
そして、母親'sは、楽しそうに食事の準備。
私は、制服から私服へ着替えに行く。
『航平!覗きに行ったらダメよ!』
って航平君のお母さんに、釘を刺されていた。
航平君は、黙ったままリビングで待機。
私服に着替えて、1階へ降りるとテーブルには豪華な食事の準備が…
母親'S、頑張った。
そして、しばらくすると、お父さん帰宅…
【ドタドタドタ…】
派手な足音を立ててリビングに入った瞬間に
『何でお前がいるんだぁぁぁ?』
と、航平君に向かって叫んだ。
そして、現在
ルンルンしている母親2人
憮然としている私の父
緊張している私と航平君
が、テーブルを囲んでいる。
「…母さん」
お父さんが口を開く。
「これはどういう事?」
静かに聞いている。
顔は、引き攣っているけど…
「え?美奈と航平君が付き合い始めたから、お祝い」
お母さん、サラリと楽しげに言う。
「母さん!認めたのか?」
すごい勢いのお父さん。
お母さんは、ニッコリ笑って
「だって、美奈が好きになった人だもん」
楽しげに答える。
「私も、航平君みたいなイケメン息子欲しかったし」
…たぶん、こっちが本音だな?
お父さんは、震えながら
「美奈は、コイツのせいでな…」
抗議しているお父さんに、航平君は立ち上がって
「今までの事は、どんなに謝っても許してもらえない事はわかっています」
頭を下げる。
「だけど、これからは…」
そう言って顔を上げて
「自分が、美奈さんを守ります!だから…交際を許してください!!」
と、もう一度頭を下げる。
私も
「お願い!お父さん!」
そう言って頭を下げる。
すると、航平君のお母さんが立ち上がり
「息子のせいで、娘さんがどれだけ傷ついていたのかは分かっております。母親として、申し訳ない気持ちです。ですが…お願いします。許していただけませんでしょうか?」
航平君のお母さんまで頭を下げている。
「お父さん、私からもお願いします。美奈が本当に心から好きになった人だから、認めてあげて」
お母さんも、頭を下げた。
これには、お父さんも
「うう…」
困っているようだった。
憮然としたまま、椅子に座り
「…絶対に、美奈を傷つけるなよ」
不機嫌に言った。
母親'Sは手を合わせて喜び、私と航平君は顔を見合わせて笑った。
食事の間、お父さんは、ずっと不機嫌なままだった。
「そういえば…航平君の父親は?」
お父さんの何気ない言葉に、航平君の動きが止まる。
それだけじゃない、母親'Sと私の動きも。
お父さん、たぶん
それ…地雷…
何があったかは分からないけど、航平君にお父さんがいないのは知っている。
何て事言うのよ…このお父さんは…
すると、航平君のお母さんは苦笑いを浮かべて
「この子が、幼稚園の時に離婚しましたの」
静かに答えた。
お父さんは、地雷を踏んだ事に気付き
「すみません」
そう言って、頭を下げる。
「いえ…でも、そのうち、ご挨拶に伺わせていただくと言ってました」
航平君のお母さんは笑って言う。
うちのお母さんは、微妙な顔をしている。
…何か知っているな?
すると…
「その内、ちゃんと紹介するから」
航平君が小さく言う。
その微妙な表情が気になる。
「うん」
笑顔で答える私。
その時が待ち遠しい。
「あぁ、もう、美奈ちゃんみたいな娘が欲しかったのよねぇ」
少し酔った様子の航平君のお母さんに抱きつかれた。
「母さん!」
航平君が慌てていたが
「私も、航平君みたいな息子が欲しかったのぉ」
こっちも酔っている、うちのお母さん。
「夢がかないましたねぇ」
航平君のお母さんの言葉に
「ねぇ」
って同意している。
盛り上がっているなぁ…
お父さんはと言うと…
「…クスン、クスン、美奈は、まだお嫁にやらないからな」
と、こちらも酔ったお父さんが端っこで拗ねているご様子。
航平君と顔を見合わせて笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます