『次の日、学校にて…』

こういう事って、どうやって広まるんだろう?


つくづくそう思う。


次の日、学校にやってきたら…


「佐藤さん!!」


数人の女の子が、恐ろしい勢いで迫ってきた。


「何ですか?」


思わずたじろいでいると


「昨日、安藤君と抱き合っていたのって本当?」


その子の勢いに


「は、はい!!」


思わず答えてしまう。


「どういう事?」


その目は血走っている。


こ、怖いよー


そう思って、親友に目を向けるが


…無視ですかぁ?


2人とも、ニヤニヤ笑っている。


一応、2人には、帰ってすぐに電話した。


一緒に帰るとか言って忘れていたし。


『いいのよー分かっていたし』


怒られると思っていた凛ちゃんからの言葉。


『え?』


『だって、美奈の告白聞いてたしぃ』


なんですとぉ!!!


『2人の世界って感じになっていたら、声掛けなかったの』


…恥ずかしい。


何てところを見られていたんだ…


『ま、これからは愛しの彼に守ってもらいな』


凛ちゃんは、そう言っていた。


でも…


現実には、航平君はいません!!


つか、教室にいません!!


登校してません!!


どうしたらいいの?


泣きそうな状態になっていると


「俺達、付き合ってんの」


私の後ろから声。


もちろん、愛しの彼。


助け舟が来たと思って振り向く。


にっこり笑った彼。


そして、私を立ち上がらせてから




キスしてきた。


その瞬間に、ギャーとかキャーとか絶叫か悲鳴か分からない声が響き渡る。


だけど、一番衝撃を受けているのは私。


な、なんで、人前でぇぇぇぇ!?


そんな私の姿を見て、ニッコリと笑い


「こんな事をしてる仲だから、邪魔しないで。あと、美奈に手を出したら、男女問わず許さないから」


そう宣言する。


また、絶叫か悲鳴か分からない声が響き渡る。


私の顔の温度が上がっていく。


そんな私を見て、航平君は、ニッコリ笑った。


今…気付いた…


たぶん


航平君って…



≪そういうキャラ?≫



恥かしすぎて顔を上げられない。


航平君は、私を顎をクイッと上げてから


「美奈…そんな顔をしていいのは、俺の前だけって言ったよね?」


なんか怒っているしぃ


よく分からないしぃ


「分かんないよ…どんな顔しているかなんて…」


必死の抗議に


「…じゃあ、今度お仕置きしちゃおかな」


笑顔のままの航平君。


そこに


「はいはい、朝から、いちゃついてんじゃねぇよ」


天野君達が入ってくる。


いちゃついてません!!


たぶん、私がいたぶられている可能性大です!!


「邪魔すんな」


航平君が言うと


「はいはい、佐藤が可愛くて可愛くて仕方ないのは分かったから、さっさと席に行く」


そう言って、鞄で頭を軽くポカリ…


「いってぇな」


頭を擦りながら


「美奈、後でな…」


そう言ってから、自分の席へと向かう。


想いは通じたけど…


何か、これから別の意味で


嫌な予感がする…


それから、女子からの羨望と嫉妬の眼差しなどに苛まれて日々が始まるんだと思う。


そう思うと、少し憂鬱。


でも…


まぁ…


いっか…


幸せだし


うん…幸せだから

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