第3話 初めてのスキルと父親

次の行動とは…


ズバリ,スキルを使用してみることである。


酒を飲みながら歩いている商人っぽい大男を対象に定めてスキルを行使することにした。


ってこれどうやってスキルを使うんだ?


「エタグロ」の場合は対象をクリックすると「スキルを行使」という選択肢が出てくるので、押すとスキルを使えるのだが…


わからないので試しにスキルを使いたい!と強く願いながら男のほうを見てみることにした。


すると…男の上に画面が表示された。


「名前 :モズル・ドラゴ

 齢 : 55

 職業 : 商人(ドラゴ商会会長)

 スキル:運搬・収納(lv12) 」


ふむふむ… 

 

って意外と大物じゃないか!


昼間から酔っぱらってるから、てっきり失業した飲んだくれかと思ってたら、全然違ったようだ。


確かドラゴ商会というのは土木作業などを請け負う会社をまとめた中規模の商会だったはずだが…


まあそんなことはどうでもいいので、早速スキルをいただくことにした。


念じると「スキルの複製を行使します〈対象:運搬・収納 lv12〉」

という音声が聞こえてきて…



ピコン!



視界の上部に〈スキルを獲得しました〉という確認が表示される。


ふう…


などと考えていると、その大男が仲間らしき者たちと笑いながらこっちに向けて歩いてきた。


ん?なんだ?


俺が身構えていると、そいつが俺の顔を見ながら、言った。



「グワッハッハッハ!なんだこのバカ息子、また仕事さぼって歩いてやがったのか、ったくこれだからライムは!なあパラド?」

「はっ、そのように存じます。」


ん?え? こちらの戸惑いをよそ眼にドラゴとやらは、顔にニタついた笑みを張り付けながら話し続ける。


「まあ、母さんの件は済まなかったと思うがな、それにしても少し、度が過ぎてるんじゃないのか?勝手にサボるなとあれだけ、してやっただろう?」


男は笑みを微かに深くしながら舐め回すように俺の顔を見てくる。


なんだろう?この男と俺の関係性はよくわからないが、何だかとても邪悪な「におい」がする。


関わってはいけないような嫌な予感を感じていると、ドラゴは徐々にこちらとの距離を詰めてきた。そして笑みも薄れていく。


「ちっ、下手にでてやりゃ、なんだその態度は?俺の質問になぜ答えない?」


ドラゴは完全に笑みを消しながら、語尾を強めて近づいてくる。


次の瞬間、体が勝手に反応していた。

この場にいてはまずい!


ドラゴと反対方向に全速力で走りだす。


後ろでドラゴが何やら叫びながら追いかけてくるのは聞こえるが、振り返らない。


音を聞く限り、相当早く走ったのもあって、ドラゴに追いつかれることはなさそう

だ。


まだ若い俺とジジイのお前じゃ体力が違うんだよバーカ!と脳内で煽りながら、気は緩めずに走り続ける。


風を切りながら…






次回、ダンジョン編に続く→







 


 


 

 


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