第2話 驚きの職業
「職業:
それが俺のステータス欄に表示されていたものだった。
う、うーん…
正直微妙な職業だ。
剣士や冒険者と違って、前線でバリバリ戦うわけじゃないから、人気がないんだよね…
ユーザー同士でパーティーを組む時も
なぜかって? それは単純に回復薬を使えばいいからだ。
そんなに高いものでもないし、貴重なパーティーの一枠を回復しかできない治癒者に費やすのはもったいないからね。
まさかリセマラできないこんな状況で外れを引いてしまうとは…
こんな事になるなら開発者時代にもっと治癒者を強化しておけばよかった…!
まあ、今更そんなことを言っても仕方ないのはわかっているけれど。
唯一救いなのはスキルの「成長」が治癒者の固有スキルの中では当たりなことかもしれない。
このスキルの効果は「経験値を得る量が増加する」という単純なもの。
このスキル自体は直接的な効果はないのだが、生成スキルを獲得するときに役立つのだ。
ちなみに生成スキルの獲得方法は…
いや、今はそんな事を言っても仕方がないか。
通常、生成スキルをゲットするためには信じられないほどの経験値量が必要なのだ。
しかも、生まれ持って所持しているスキルとは違い、スキルをゲットしたあとも、経験値量に対するレベルアップ効率は悪くなる。
さらにさらに入手した経験値は自分が元々所持しているスキルと手に入れた生成スキルに半分ずつ振られるのだ。
そんなわけで通常スキルがハズレで、頑張って優秀な生成スキルをゲットしても意味がない。
そんなわけで俺は絶望の淵にいた。
ゲームの世界のようにやり直したくても、無理だろうし、俺はせっかくの異世界もクソみたいな人生を送ることになるのか…
ああ…俺が自分の残酷な運命を呪おうとしたその時だった。
ん?
俺はスキル欄の上部右側の違和感に気付いた。
ぴかぴかと点滅しているその場所にはNEW!と赤い文字で書かれている。
もしかしてほかにもスキルを獲得したのか?
俺が疑問に思いながらスキル欄の次のページを開くと…
そこに書かれていた文字を見て俺は絶句した。
「開発者スキル:複製者(lv30)」
は?
え?
なんで?
何故ゲットできているのかはわからないが、俺はそのスキルに見覚えがあった。
開発者スキルとはゲーム内のスキルで、強すぎてバランス調整のため削除されたもののことを指す。
特にこの〈複製者〉というのは俺が自信満々で作ったスキルなのだが、バランス崩壊だとユーザーからクレームが相次ぎ、悲しくも開発者スキルになってしまったのだった。
何が問題だったのかというとこのスキルがゲームの根本そのものを変えかけていたことだった。
その効果はというと…
「対象者の保持スキルを鑑定し、そのスキルが〈複製者〉よりレベルが下だった場合、複製して自分も使えるようになる」
というもの。
このスキルを駆使すれば今まで一個や二個しか持てなかったスキルをいくつでも持つことが可能となるのでぶっ壊れだと不評だったのだ。
また、最初が「 lv1」だと自分より下のスキルレベルがなく、スキルを使えないため最初から「lv10」にしたのもまずかったみたいだ。
まあオマケ効果みたいなものなのだがな。
なぜこのスキルをゲットできたのかは不明だが、こんな強力なスキルを獲得できたのは正直でかい。
しかも何故か「lv30」だし。
うーーむ。
思い当たることはあるのだが、あまりにありえない、現実的ではないため、俺はその可能性を頭から振り払い、次の行動に移ることにした。
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