外れ職業かと思ったら強すぎて削除されたスキルで暴れまくる話。

たいやき

第1話 始まり





ジリジリジリン!!


けたたましく鳴り響く目覚まし時計に手を伸ばしながら、俺、髙山ハルトは眠い目をこすった。


また代わり映えのない一日が始まると思うと、憂鬱だった。


同じ電車に乗り、同じ会社に着き、同じ仕事をする。


そして疲れて帰ってきたら、残った仕事を片付け、風呂、食事を済ませれば俺の一日は終わる。


はあ……


子供のころからずっと憧れていたゲーム開発者として超大手企業に入ったはいいものの、俺が開発した大人気ゲーム「エターシブ・グローガーデン」はクソ上司の功績にされ、俺はその上司のミスを押し付けられて左遷。


いまや毎日暮らしていくだけで大変な役職だ。


このままじゃ俺の人生は…


そんなことを考えながら、布団を無理やり剥がし、地面に足をつけようと思ったその時だった。


ん?なんだ?


俺は違和感に気づいた。


体の下のほうがまばゆい光で覆われていたのだ。


見間違えかと思う間もなく、俺の体はその光に包まれていった。


それと同時に猛烈な眠気に襲われ、俺の意識は消えた。


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「なぜだ!なぜスキル本が暴走しているのだ!」

「まずいっ、このままだと!くそっ!」


 ーん?うるさいなあ、俺は眠いんだ。


「もうだめだ…!50年に一度の儀式なのに…」

「そんなこと言ってる場合か!早くしないと…」


 ーだからうるさいって言ってるだろ!!

 


そう思うと同時に俺の体中の感覚は戻り、ドスン!という地面にたたきつけられる音とともに、体が硬い感触に覆われた。


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なんだ?

俺は頭をこすりながら周りを見渡した。


そこに広がっていたのは…


そう、ゲームの世界で何回も見たような中世風の町だった。


あちこちに屋台や出店が広がり、冒険者風の、出で立ちの男たちが昼間だというのに酔っぱらって歩いている。


あまりのことに驚いた俺は急いで頭の中で状況を整理した。


これは夢?夢なのか?

そう思い、頬を軽くつねってみる。


何も起こらない。


今度はさらに激しく、ひっぱたいてみた。


パシィーン!

後に残るのはジンジンとした痛みだけ。


どうやら夢ではなさそうだ。


まさか…


これは…


異世界転生というやつなのでは!?


しかも、周りの様子を見るに、どうも「エターシブ・グローガーデン」(以下エタグロ)の世界に転生してしまったようだ。


あの時、死ぬほど見た景色が今、目の前に広がっている。


思わず懐かしさに涙が出そうになるが、グッと堪えて、冷静に状況を分析する。


俺は本当に転生してしまったのか?

夢ではないことは分かったので他の可能性を考えてみる。


例えば何らかの理由で拉致されて、最新型VRゲームをやらされているとか?

それとも…


いろいろ考えてみたがわからない。


道路のど真ん中で寝ているわけにもいかないので、とりあえず立ち上がってみることにした。

通行人が俺のことを不審そうな目で見ているしね。


よいしょっと、、


元の世界と何ら変わらぬ不自由さで立ち上がることができた。

そのまま、腕や足もぶらぶらと動かしてみる。


やはり、何の違和感もなしに動く。


これはVRゲームの線は消えたか?


とりあえず、自由に動き回ることはできそうだ。


と、ここで俺の脳内に声が響いた。


「ー誕生を確認。職業とスキルの確認をお願いします。」


聞きなれた機械音声だ。

これはゲーム開始時に再生されるナレーションで、序盤はこの音声に従って行動するのだ。

これが聞こえたということはやはりエタグロの世界に転生したと考えて間違いなさそうだ。


ここらでエタグロについて説明しておこう。


エタグロは対人戦ではなく、ゲーム内のキャラクターのスキルや能力をアップさせ、様々な障壁を突破しながら魔王を倒すことが目的のロールプレイングゲームだ。

といっても、魔王を倒して終わりではない。

魔王を倒した後は世界のあちこちに旅をしに行ってもいいし、農家になってスローライフを送ってもいい。

そのやりこみ要素の多くから「5000時間遊べるゲーム」として世界的な人気を勝ち取ったのだった。


とまあ、そんなことを考えながらとりあえず職業とスキルを確認することにした。


エタグロのスキルは「通常スキル」と「生成スキル」に分かれている。


生まれた時に発現するのが「通常スキル」、経験値を、ゲットすると発現するのが「生成スキル」なのだが、生成スキルをゲットするほど経験値を得るのは非常に大変だ。


なので「通常スキル」にすべてがかかっていると言っても過言ではないのだが…


戦闘系スキルで頼む!


そう強く願いながら右上に表示されている「職業・スキル」の選択肢を開く。


そこに表示されていたのは…


思わず目を疑うものだった。




















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