第8話:バレンタインは手作りチョコの巻。

ってことで今日はハッピーバレンタインデー・・・2月14日の朝。

プティは観音カノンさんにチョコをプレセントした。

魔法で出したんじゃなく、愛情たっぷりの手作りチョコレート。

もちろん義理チョコなんかじゃなく本命。


「おはようカノンちゃん・・・はい、チョッコレート」


「・・・ありがとうプティ・・・チョコ美味しくいただくね」

「夕べせっせと作ってたの見てたからバレてるよ」


「バレてても買って来たチョコより愛情たっぷり振りかけてるからいいの」


この日はチョコと一緒に自分の想いを意中の人に告白する日なんだけど

プティにはそんな必要はなかったし、観音さんにも必要じゃなかった。

お互い気持ちは繋がってるからね。


今のところ二人は順調。

ま、多少のいざこざはあってもすぐに丸く収まった。

案外、気持ちが先行してしまうプティに比べて観音さんに寛容性があって包容力

が豊かだったからだろう。


結局、プティが悪くてもいつも謝るのは観音さん。

どこのカップルもそんなもんじゃないだろうか?


いつもの朝と同じようにカオスの庭のガーデンテーブルで日向ぼっこしながら

ふたり仲良く朝食を食べた。

最近ではお天気のいい日はそれが普通になっていた。


「プティ、あのさ・・・思い出したから言うけど、今学校へはキックボードで

通ってるだろ?・・・プティ免許持ってないだろ?」


「めんきょ?・・・なにそれ?・・・そんなものいるの?」


「どこの国でも免許はいるの」


「そんなもの私の戸籍と一緒で魔法で偽造すればいいじゃない?」


「まあ、プティの戸籍はやむなく偽装したけど・・・」

「ないとなにもできないからね・・・」

「だけどキックボードって魔法で出したものだから登録してないだろ?」

「自賠責だって契約してないし、ナンバープレートだってついてないだろ?」

「それにノーヘルで走ってたら、そのうち警察に捕まっちゃうよ」


「一度止められたね」


「え?ほんと?」

「何も言わないから・・・止められたって・・・それでどうしたの?」


「うん、おまわりさんの記憶消してあげたから何事もなく帰って来れたね」


「うそ〜・・・・」


「そんなことしちゃダメでしょ」

「魔法を悪いことに使っちゃダメだよ・・・」


「ふん、今更そんなの知らないもん」


「だから日本には法律ってものがあって従わないと罪に問われるんだよ」

「今度からおまわりさんの記憶消しちゃったりしたらダメだからね」


「分かった・・・ぷ〜」


「あのさ、免許取りに行く費用出してあげるからバイクの免許取りに行けば?」


「って言うか、プティ魔法使いなんだから空飛べたりしないの?そしたら

乗り物なんかいらないじゃん・・・それとか好きな場所に瞬間移動できたり

とかさ・・・」


「あのね、Xメンじゃないんだから魔女はなんでもできるって思ったら大間違い」

「なんでも思い通りになったら苦労しないの、そんなことになったら、つまんないし堕落してくだけだよ」

「空なんて鳥みたいにデッかい翼でもないと飛べないでしょ?」


「現実的だね」


「普段、羽なんかついてたら邪魔でしょうがないし・・・」


「夢がないね・・・って言うか魔女って羽とかじゃなくてホウキに乗って空飛ぶ

んじゃないの?」

「昔話や絵本なんかに出て来るでしょ?」


「あのね、ホウキなんて羽と一緒で持ってたら邪魔でしょうがないでしょ」

「毎日あんなもの持ってウロウロするわけ?」


「ん〜まあ、たしかに・・・いちいちもっともだね」


「ましてや瞬間移動?・・・なにそれ?」

「私、この日本に来てまだ日が浅いんだよ・・・どこに何があるかってことも

知らないし・・・地図だって分からないし、方向音痴だし」

「瞬間移動なんて高級魔法使いでもムズいっしょ?」


「移動できたとしても現れる場所を把握してないとどこに出ちゃうか分かった

もんじゃないよ・・・それって怖くない?」


「ああ、理屈だね・・・ってかやっぱり現実的」


観音さんは自分が瞬間移動して現れた瞬間、車に跳ね飛ばされる自分やカベに

体が半分埋まり込んだ自分を想像してゾッとした。

SFやファンタジーならいざ知らず、現実って怖いものなんだ。


「あまり、うるさく言うとチョコ返してもらうよ」


「いやいやいや・・・食べるから・・・」


観音さんはプティから本命チョコをもらったし、もうそろそろプティを誘って

みようかな、なんて思ってたんだけど・・・。

プティは自分の恋人なんだし彼女と結ばれる夢だってそりゃ見るよ・・・漢音さんだって普通の男だからね。


で、法律に触れて捕まっちゃうと困るからプティは観音さんの勧めでバイクの

免許を取りに行くことにした。


どうせなら大きいバイクにも乗りたいからって、これまた無謀にも大型自動二輪

免許を取りに行った。

プティは案外運動神経がよかったことと魔法が使えたことで、あれよあれよと

言う間に上達して実技は一発で受かってしまった。

学科は・・・五回落ちたけどね。

魔法でも答えばかりは分からないみたいだね。


とぅ〜び〜こんて乳。

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