第6話 異世界転生当日
お隣さんに赤ちゃんがやってきた。
「何か、お祝いしなきゃね」と、お母さんがお店においてある魔法の道具をいくつかまとめて、お父さんが食べ物を買ってきた。
私も何かあげたいなと思って、すごく悩んだ。
悩んでいると、「もう行くよ」と声がかかったので、ちょうど目に入ったお気に入りのぬいぐるみをつかんでお母さんとお父さんを追いかけた。
赤ちゃん、喜んでくれるかな?
お隣さんの家に初めて入ると、「わざわざありがとう」とお隣りさんのお父さんに頭を撫でられた。
「赤ちゃんはどこですか?」って聞いたら、笑って案内してくれた。
ベビーベッドですやすや眠る赤ちゃんがいた。
すごい。
すごく小さい。
こんなに小さいのに生きているんだ。
かわいいなぁ。
ぬいぐるみもかわいいけど、赤ちゃん、すごくかわいい。
起こしちゃうから静かにしてねって言われてたけど、お母さんに「帰るよ」って言われるまで、静かに赤ちゃんを眺めていた。
「また来てね」ってお隣さんのお父さんに言われたから、私はときどき、赤ちゃんを見に行った。
お隣さんのお母さんは、私が来ると少し任せてもいい?ってベビーベッドの横にあるソファで眠っていた。
お隣さんのお母さんが眠っている間は、ゆっくり赤ちゃんを眺めていた。
何日か経ったときに「シュンって名前に決めたよ。シュンって呼んであげてね」ってお隣さんのお母さんに言われた。
「シュンくん」私は赤ちゃんの名前をそっと呼んでみたけど、すやすや眠ってる。
ぬいぐるみみたいに抱っこしたいなと思ったので、勇気を出してシュンくんのお母さんに「シュンくんを抱っこしてみたいです」って言ったけど、「もう少しだけ待ってね」って、ずっと言われた。
しばらくすると、「シュンの首が座ったから抱っこできるけど、抱っこする?抱っこするならソファに座ってね」ってシュンくんのお母さんが笑っていた。
ついに抱っこする日がきた。
いつもは、指先でそっと触れるくらいだったのに、今は両腕の中におさまってる。
思ったより軽くて、思ったより重い。
そして、すごく温かい。
抱っこして、顔を覗くと、とび色の目が私をジッと見てる。
宝石みたいに、きれいな目だなって思う。
髪の毛もとび色でふわふわしてる。
太陽をいっぱい浴びた匂いと、赤ちゃんの匂いが混じってて不思議な感じ。
いつまでもこのままでいられたらいいな。
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