第28話 ゲルの集団

『にゅる、にゅる、―――』


『にゅる、にゅる、―――』


 ゲルが地面を這いずる音は聞こえるのに!?

 すると……リンが呆れた表情で俺に話し始める。


「もしかして、スズヤはゲルを知らないのですか!?」

「スライムとか~~は、言っていた癖に!!」


「……知っているさ。リン!///」

「あの水色で……水滴みたいな形で、その中に目と口が有るのだろ!!」


「そして『ピキィー』と鳴いて、体当たり攻撃をするんだろ!」


「!?……スズヤ……冗談で言っています?」

「こんな時に下らないギャグは不要ですよ……(怒)」


 リンは目を見開きながら俺に話す!

 おまけに最後の方は、怒りの表情を見せるし(汗)


 ゲル(スライム)の形なんで、どの世界でも共通だろ!??

 リンは呆れた表情で、俺に説明を始める。


「スズヤ……ゲルは粘液生物です」

「粘液生物ですので……姿形はアメーバと良く似ています…!///」


「ゲルはその特性を活かして、人等を包み込んで捕食します……」

「おまけにゲルは鳴きませんし体格上、体当たり攻撃何て出来ません……」


「!?」

「そうなの……リン!??///」


 俺は驚いた表情でリンに言う。


(スライムはスライムでも……バ○ルスライム系の方か!!)

(そりゃあ……簡単には見付けにくいわ!!///)


 俺が此処でようやく、ゲルの姿形がイメージ出来た///

 この世界のゲル(スライム)は、バ○ルスライムらしい。


(だけど、それを剣で切るのは難しそうだな!///)

(なら、剣で刺すか……でも、刺して効果が有るのか!?///)


 俺が心の中で思っていると、アスが緊張よりテンション高めの表情で、俺とリンに言い始める!


「スズヤさん、リンさん!」

「ゲルは六体います!!」


「神父が言っていた通り集団ですし、私にはゲルから殺意を感じます!」

「間違いなく、ゲルの攻撃範囲に入ったら攻撃を仕掛けるでしょう!!」


「ゲル単体は弱いですが性質上。防御が難しい魔物です!!」

「リンさんや私が(ウリン)杖でゲル防いでもますし、剣でも同じ事です!///」


「ゲルは特殊な酵素を持っており、皮や布でも平気で溶かし、肉体を硫酸のように焼き激痛を与えます!!///」

「その程度なら『スイスイ』で回復出来ますが、集団で来ると厄介な相手には変わりません!!(汗)」


 アスは、誰かに説明する様に言ってくれる?

 ゲル一~二匹程度なら剣で刺したり『ブランド』の炎魔法で燃やせば良いが、六体も居ると成ると少々面倒で有る。


(仕方ない……ここはアスの『ドクキラー』でも使うか?)


 俺は澄ました表情で、アスに指示を出す。


「……アス。ドクキラーだ!」

「ゲル相手に勿体もったいないが、ゲル程度なら直ぐに効いて絶命するだろう…」


「!///」

「スズヤさんも案外大胆ですね……///」


「集団とは言え、ゲル相手にドクキラーを唱えるなんて、訓練の時でしたら叱責もんですよ!///」


 アスは頬を染めた、素っ頓狂な表情で俺に話す。

 だが、俺は冷静な表情でアスに話し始める。


「六体いるからな……アス。俺がに早くゲルを突いて走っても、ゲルからの反撃無しで終わるはずは無いし、防御が難しい魔物なら、全体攻撃を仕掛けて倒した方が手っ取り早い!」


「……分かりました。スズヤさん!」

「では、ドクキラーを唱えます」


『にゅる、にゅる、―――』


『にゅる、にゅる、―――』


 俺とアスが会話している間にも、ゲルはで有るが俺たち三人に近付いている。

 アスは右手を広げて……ゲルの方向に右腕を差し向けて、攻撃魔法を唱え始める。


「…………」


 リンは詰まらなそうな表情で、アスを見ている。

 リンも取って置きの攻撃魔法が有るが、普段のリンは防御専門か、リンだけが持っているピストルで、魔物の意識を逸らす事しか出来ない。


「……ドクキラー」


『ブシューーー』


 アスは真面目な表情で『ドクキラー』を唱える。

 アスの右手からは、紫色の毒霧がスプレーの様に噴出して、ゲルの集団の向って吹雪いていく!


『にゅる、にゅる、―――』


「!?」


『にゅる、……、……』


 ドクキラーの毒霧を吸ったゲルは直ぐに動きを止めて……そのまま即死状態で絶命する!

 ゴキブリよりもにゲルは絶命した!!



 この毒霧はかなり強力らしく、小動物系魔物なら瞬殺出来るそうだ。

 それを見ていたリンは、不満そうな表情で呟き始める。


「なんか……ゲル相手に凄く勿体ないです!///」

「ドクキラーの魔力消費も、馬鹿に成らないのに!!///」


「私も……自慢のピストルが有るのに……ちぇ!」


 最後は舌打ちまでするリン!

 俺とアスが話を纏めてしまったので、リンは不満なんだろう///


「…………」


(そう言われてもな……ゲルならリンのピストル攻撃も有効だろうが、こっちが無傷で勝てる保証が無い以上はしか無い!)


 俺は心の中で感じながら、微妙な表情をしている。

 だが、アスだけは和やかな表情で俺に話し始める。


「やりましたね。スズヤさん♪」

「訓練では大幅減点ですが、実戦ではやむを得ないでしょう!♪」


『ドクキラー』は上級魔法に入るので、失敗する時も有る。

 だが、アスは『ドクキラー』を一発で出せたので、ゲルを倒した事より、その魔法を一発で出せた事がアスは嬉しいのだろう。


 アスも何だかんだで、まだ立派な少女だからな……

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