第27話 町の郊外に出る
ゲートからしばらく離れた所で、リンが興奮気味の表情で俺に言い始める。
「しかし……さっきの衛兵さんの対応には参りましたね!///」
「スズヤを不審者扱いしまして!!///」
「……うん」
「だけど……俺は難民から王国民に為ったからな。リン…///」
「そして、その難民が王国軍の兵士に為るのだから……疑われるのは仕方ないよ///」
俺は微妙な表情でリンに話す。
俺は元々。難民では無く異世界から来た人間で有るし、灰魔法使いの素質を持っていたのも偶然で有る?
俺とリンの言葉を聞いていたアスは、困った表情で俺に話し始める。
「普通に考えれば、衛兵の取った行動は正しいでしょう…!」
「偽王国軍に扮して、その偽物を町への出入りも許してしまったら、その衛兵は先ず処刑されますからね!」
「偶々。リンさんのお父さんが地位の有る方でしたので、問題なく済んだだけです」
「……そうだよな。リン、アス!」
「リンの父親は戦死してしまったが、師団長までの地位が有るから、衛兵もリン(父親)の名前で納得した」
「もし、リンが普通の白魔法使いで有ったなら、俺たちは町の外に出るのは疎か、王国城に通報されて間違いなく足止めをされていただろう!」
「そう成ってしまったら、今日はバリックペペンには行けなく成っていた……」
「…………」
俺は感慨深い表情で、リンとアスに向けて話す。
リンは不満の表情を見せているが、大事へ成らずにゲートから出られたので、俺の中では割り切る事にする。
リンも俺の気持ちを理解してくれたのか(?)、それ以上の愚痴は零さなかった。
……
俺たち三人は、バリックペペン向けて歩いている。
バリックペペンまでの道は平坦の道らしく、山越えや大きな川を越える必要は無いらしい。
また、平野部に位置するので見晴らしも比較的良く、見通しも良い。
俺の後ろをリンとアスが並んで歩いているが、アスは周囲を気にしながら歩いている。
「~~~」
「…………」
リンの方は周囲を気にするより、ピクニック気分で歩いている?
なので、俺に話し掛ける時も緊張の
「スズヤ!」
「今日はそんなに暑くないから、絶好の冒険日だね♪」
今の季節は夏の時期に入っているが、蒸し暑い夏では無く、爽やかな夏で有る!
リンとアスは魔法使いの関係上。マントを羽織っているが、二人はそれを暑いとは訴えない。
俺は戦士の姿で有るが、暑苦しい(?)鉄の鎧等は装着はしておらず、皮で出来た鎧や肘当て・肩当て程度の軽装で有る。
『……ピタ』
俺は穏やかな表情で、リンに話し掛けようとした時。アスが急に立ち止まる?
「…………」
アスは、雑木林の方に顔を向けて観察を始める……アスの雰囲気からして……遂に魔物のお出ましか?
アスは雑木林の方を見ながら、落ち着いた口調で俺とリンに話し始める。
「スズヤさん、リンさん…」
「あちらの方向に、魔物が居ます!」
「多分……ゲルか大鼠程度だと感じますが、どうしますか?」
アスの口調からして、雑木林(方向)に魔物が居るらしいが、俺たちに攻撃を仕掛ける気配は無い?
魔物達は俺たちに気付いていないのか、それとも身を潜めているのだろうか??
俺は真面目な表情でアスに話し始める。
「アス。そっちは進行方向では無いから……無理に戦わなくても良いのでは無いかな?」
「これで、魔物達が攻撃を仕掛けて来たら、別だけど……」
「……私も、スズヤの案に賛成です!」
「魔物とは言えども、生き物ですからね!!」
俺の言葉の後。リンは和やかな表情で俺とアスに向けて話す。
アスは『分かりました…』の表情で、俺とリンに話し始める。
「では、刺激は与えないように……このまま行きましょう!」
「私も……悪戯に命を奪うのは嫌いですから……」
これがゲームの世界なら、レベルアップの為に魔物を倒さないと行けないが、この異世界にはレベルアップの概念は無さそうだし、俺だって無闇な殺生は嫌で有る。
俺たち三人は魔物への相手はせずに……そのまま、バリックペペン方角に向けて歩き始める。
……
『にゅる、にゅる、―――』
『にゅる、にゅる、―――』
しばらく歩いていると……前方の方に、何かが動く姿が見える?
アスはいち早くそれに気付き、緊張した表情で俺とリンに話し始める。
「スズヤさん、リンさん!」
「ゲルの集団です!!」
「スズヤさん指示を!!」
「ゲル……例のスライムか!」
「だけど……何処に居るんだ? アス??」
俺はゲルの存在を見付けようとするが……スライムらしき形は全然見付けられない?
あんな分かりやすい魔物……馬鹿でも見付けられる容姿だ!?
あの水滴見たいな奴は、一体何処に居るんだ??
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