第23話 饅頭
養護施設での夕食後は、各自の分担で養護施設の業務を進めていく。
俺とリンは食事後の後片付け。アスは子どもたちの見守り。メルコは子どもたちと遊ぶと……夕食後の時間が過ぎて行く……
……
今日の養護施設業務を終えて、最近は定番と成りつつで有る、俺たち三人は厨房内のテーブルに集まる。
今晩は、リンとアスの補講や訓練結果を俺が聞くためで有る。
だが、只テーブルに座って、リンやアスから話しを聞くのでは無く、お茶もきちんと用意する。
俺がポケットマネーで買った紅茶を用意して、お茶菓子の方は今回もコハルが土産を持たせてくれたらしいが……何時もの焼き菓子類では無く、なんと
どうやらこの異世界にも、前世界で言う和菓子が存在したらしい!!
此処まで来ると、もう何でもありの異世界で有る!?///
「スズヤ。この塩饅頭はコハルさん、門外不出のレシピらしいですよ♪」
「そして、コハルさんの大好物らしいです!」
「そして、この塩饅頭を作ったのはコハルさんの世話係である、ココアちゃんの手作りですって♪♪」
「私たちの激励も兼ねてらしく、超特別らしいです!♪♪」
リンは笑顔で俺に説明をしてくれる。
ココアと言うのは……リンが先日話していた。コハルの世話係で有る。
ココアは世話係で有るが、菓子作りに
間違いなく俺より上手だろう///←スズヤはココアの菓子類をまだ食べていない
「塩饅頭か……もしかして、
「この世界で塩饅頭が出て来るとは、思いも依らなかったよ…!」
「えっ!?」
「どうして知っているんです。スズヤ!??」
俺が尋ねる表情でリンに聞くと……リンは驚いた表情を見せる!
リンはその表情で俺に話し始める。
「何で饅頭どころか、餡子の事まで知っているのですか。スズヤ!?」
「コハルさんと一部の人物しか、知らない食べ物ですよ!??///」
「餡子の元で有る小豆は、ナポレン王様やコハルさん用に
「…………(汗)」
(あ~~。余計な事を言ってしまったな///)
(前世界での話しをリンにすると、また呆れた目線で見てくるからな…///)
俺が心の中で感じていると、アスが澄ました表情で俺に話し始める。
「その感じですと、スズヤさんは塩饅頭を知っていますね?」
「うっ……うん。アス///」
「食べた事は無いが、しょっぱい饅頭だと聞いた事が有る///」
俺はバツの悪い表情でアスに話す。
すると、リンが困った微笑み表情で俺に話し始める。
「スズヤはやはり知識人ですね…」
「レシピは門外不出らしいですが、この塩饅頭は他国等に献上されていたそうですから、スズヤは何処かで聞いたのでしょう…?」
「あっ、まぁ……そんな感じだ。リン!///」
「少し、小耳に挟んだ事が有ってね///」
俺は困った笑顔でリンに話す。リンがそう感じ取ればそれで良い。
この後は特に突っ込まれる事は無く、話しは無事終わる?
……
俺たち三人は会話の前にお茶を楽しみ、紅茶のお茶請けに塩饅頭を食べ始める。
俺は食べる前に、塩饅頭の観察を始める。
(饅頭は饅頭でも、あんまんに近い饅頭だな…)
(分かりやすく言えば、塩味のあんまんみたいな物か?)
(コハルは何処でレシピを聞いたかは知らないが、あの大蛇は本当に謎多き大蛇だ!)
『パクッ』
俺は心の中で思いながら、塩饅頭を一口食べる。
食感はまさに冷めて固く成ったあんまんで有り、塩味の利いた餡を感じる。
(不味くは無いが、旨いとも言いにくいな…)
(これは食べる前に、少し蒸せば良かったな///)
「うーん!」
「初めて食べましたが、餡子が美味しいです!!」
「世の中。まだ知らない食べ物がたくさん有りますね♪」
「生地と塩餡のバランスが絶妙です!♪」
リンとアスは笑顔で、塩饅頭を食べた感想を一人しゃべりしている。
リンとアスは小豆の味を知らないから、塩餡でも美味しく感じているのだろう。
俺には及第点で有った塩饅頭で有るが、リンやアスは大変満足していた。
あんまんも作ろうと思えば、俺でも作れるが……小豆が特権階級品と成ると、作りようが無い。
(だが、肉まんなら出来そうか……いや、中華系の調味料が異世界では手に入らないから無理か…)
(それに、俺はココアと張り合うつもりは無いし……)
三人は塩饅頭を食べ終えて、本題に入り始める。
「では、私から今日の報告をしますね!」
リンが和やかな表情で、俺に今日の補講内容を話し始める。
「今日は午前中。ランニング等の筋肉トレーニングを行いました!」
「昼食後の午後からは、精神力を高める訓練をしました!!」
「後はアスちゃんと合流して、コハルさんと一緒にお茶を楽しんで、その日は終わりました♪」
「……そうか!」
「補講と言っても、筋トレ等が中心で有ったんだな!!」」
俺は理解した表情でリンに話す。
リンの後は、アスの報告で有る。
アスは俺の言葉を終わったタイミングで、穏やかな表情で話し始めた……
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