第22話 俺も養護施設の一員 その2

 リンは俺を見ながら、和やかな表情で話し始める。


「スズヤ!」

「着替えが終わったら、私も直ぐに手伝いへ入りますからね!!」


 リンとアスはまだ、各魔法使いの姿をしている。

 着替えの前に、俺への帰宅挨拶をリンたちはしたかったのだろう。 


 アスはメルコを見ながら、和やかな表情で話し始める。


「メルコ。スズヤ先生の補佐お疲れ様です!」

「リン先生も戻って来ましたし、後は私たちに任せてください!!」


「……あっ……うん」


 だが、メルコは困った表情でアスに返事をする。

 アスはメルコの異変に気付き、尋ねる表情でメルコに話し始める。


「?」

「メルコ……どうしましたか?」


「……アス先生……僕はこのままスズヤ先生のお手伝いを続けたい///」

「ダメかな…///」


「!」


 メルコは拗ねた表情でアスに話す。

 アスはメルコの言葉で驚く!


 その言葉の後。

 アスは目を細めながら、俺に話し始める。


「スズヤ先生…。どうします?」

「メルコが手伝いの継続を希望していますが…」


「……」


(俺に話しを振って来たか、アス!)

(メルコは間違いなく、俺に気が有るな!///)


 俺が心の中で感じていると……案の序。

 リンが少し怒った表情でメルコに言い始める。


「メルコちゃん!」

「私たちを困らせない!!」


「アスちゃんが『良いよ』と言ったんだから、素直に戻る!!」


 リンは俺に、著しく好意を持っている。

 なので、俺に近付く恋敵ライバルはアスでも積極的に排除する。


 しかし、メルコも突然。怒った表情に成ってリンに言い始める!


「リン先生!(怒)」

「その言い方は酷く有りませんか!!(怒)」


「僕は善意で言っただけで有って、スズヤ君を困らせる事は言っていないよ!!」


「それを困らせているのよ!」

「メルコちゃん!!(怒)」


 リンの方もメルコの言葉を買って、ヒートアップさせている。

 アスが『やれやれ』の表情で、メルコでは無くリンに話し始める?


「リン先生……今晩は、メルコに任せてくれませんか?」


「えっ!? 何で、アスちゃん!??///」

「アスちゃんはメルコちゃんの味方ですか!???///」


 リンは非常に驚いた表情でアスに話す。

 リンの中では、アスは味方だと思っていたのだろう。


 アスは困った微笑み表情で、リンに話し始める。


「メルコは……私たちを気遣っているのですよ!」

「そうですよね……メルコ」


「あっ……うん。そうだよ///」

「アス先生!///」


「僕はリン先生と、アス先生を気遣ったの!!///」


 メルコは取って付けた様な表情でアスに話す。

 絶対嘘だろ。メルコ……


(アスも……メルコが俺に気を持っている事に気付いているな!)

(でも、アスも俺に気が有るのでは無かったのか??)


 アスは穏やかな表情で、リンに話し始める。


「リン先生……今晩は、メルコの好意に甘えましょう」


「うーん……アスちゃんがそう言うなら……仕方ないです///」

「でも、今晩だけですからね……///」


 リンは渋々の表情でアスに話す。

 リンの方が年上で有るから、大人の対応をリンが取ったのだろう?


 アスは和やかな表情でメルコに話し始める。


「では、メルコ!」

「スズヤ先生の補助を、しっかりとするのですよ!!」


「スズヤ先生……メルコをお願いします!」


「あぁ。分かった、アス!」


 メルコへの言葉の後。アスはそのまま表情で俺に話す。

 俺は理解した表情でアスに話す。


 メルコは笑顔で俺に話し始める。


「スズヤ君!」

「二人三脚で、美味しい晩ご飯を作ろうね!♪」


「!///」


 メルコが笑顔で言う中。リンが嫉妬心を見せたのは言うまでも無い。

 その後はアスが連れ出す様に、リンを引っ張って外に出て行った。


「スズヤ君♪」

「私。頑張るからね!♪」


 メルコは笑顔で俺に言う。

 何を頑張るかは分からないが、今日の夕食はメルコの調理補助で作り上げた……だが、リンは絶対に不機嫌だろうな?///


 ☆


 夕食の時間……


 児童養護施設の食堂で夕食が始まる。

 今晩のメインメニューはポークピカタ。


 副菜はアボカドのサラダ。スープはコーンスープで有る。

 後はライ麦パンと牛乳が付く。


 アスも前方の職員席(?)で食事を一緒に摂る。

 アスは元養護施設の子どもだが、今は教会の一員だ。


 メルコはまだ養護施設の子どもなので、他の子どもたちと一緒に摂る。

 養護施設の切り盛りは基本。俺たち三人に任せられているので、神父やシスターは用事が無い限りは来なく成った。


 食事の方も、俺が作った食事は基本食べない。


「パクッ♪」


 アスがポークピカタを一口食べた後。

 幸せそうな表情で、一人しゃべりを始める。


「うあぁ~~。美味しい~~♪」

「ポークピカタは、本当に久しぶりです♪♪」


「スズヤ先生たちのお陰で、毎日美味しい物が食べられます!♪」

「ありがとうございます!!♪」


 この異世界で、ポークピカタは高級料理に入る部類らしいので、庶民の常食で無く、養護施設の食事でも、年に一~二回位しか出ないメニューらしい。

 クリスマスの時や建国記念日位の時にしか、養護施設では出ないそうだ。←これは子どもたちから聞いた


「~~~♪」


「~~~♪」


 子どもたちもみんな、笑顔で食べている。

 リンは和やかな表情で俺に話し始める。


「スズヤ! 今日も美味しいです!!」

「スズヤは元旅人の癖に、何でも作れますね!♪」


 リンはかたくなに、俺が異世界から来た人間とは信じていない為。何処かの国の旅人で見ている。

 俺が行き倒れの場面をリンが助けているから……そう見られているのだが、実際は転生させられて倒れていた所を、リンに助けてもらっている。


「旅人だからこそ……何でも作れるんだよ!///」

「リン…///」


 俺は困った笑顔でリンに話す。

 信じてくれない者を無理に信じ込ませる必要は無いし、リンのお陰で俺はメルメーサ王国民に為れたのだから、俺は旅人の設定で貫き通そう? 

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