第20話 下準備の完成と言いたいが

「…………」


 アスは俺の側に近付いても、俺への声掛けより周囲索敵をしている。

 魔物気配を感じ取る事が、三人の中では一番出来る!


 索敵が終わったらしく、アスは穏やかな表情で俺に話し始めた。


「スズヤさん!」

「どうやら先ほどの大型コウモリで、魔物の連合軍は壊滅した感じです…」


「私たちの勝利です……!」


「そうか……アス!」

「この辺りの魔物は殲滅したか!!」


 俺は和やかな表情でアスに話す。

 まだ奥にも魔物が居る可能性は高いが、これ以上は暗闇のため侵攻は出来ない。←コハルがリンの側に居るから


 俺とアスはコハルの側に戻る……リンの方は目を覚ましており、コハルはリンを抱卵ほうらんする様に、長い胴体を丸くしてリンを保護している。

 リンが話し始める前に、コハルが和やかな表情で俺とアスに向けて話し始める。


「その感じだと、周囲の魔物は倒せた感じだね!」

「ご苦労さん!!」


「はい。コハルさん!」

「アスとの協力で、周囲の魔物は殲滅させました!!」


 俺が代表で、コハルに勝ち気の表情で話す。

 俺の言葉の後。アスが心配する表情でリンに話し始める。


「リンさん……大丈夫ですか?///」


「……私は大丈夫だよ。アスちゃん……///」

「ちょっと……張り切り過ぎちゃった見たい……」


 リンは困った微笑み表情でアスに話すが、顔色は余り良くない。

『スイスイ』等の回復魔法は、怪我等からの回復は出来るが、体力を回復させる事は出来ない。


 コハルは困った笑顔で、俺たち三人に向けて話し始める。


「えっと…。訓練成果を見させて貰ったけど……リンちゃんはもう少し、補講が必要だね!」

「これが実戦で有ったなら冒険に支障が出るし、ビバークがその場出来るとは限らないからね///」


「……そうですね。コハルさん……」

「これが魔王戦で有って、魔王を倒しても……自力で、王国城まで戻らないと行けませんもんね///」


「魔力ゼロでは、テレポリエタが使えませんから///(汗)」


 リンは弱った表情でコハルに話しているが……リンの中ではもう、魔王戦を意識しているのか!?

 まだ、本格的な冒険には一度も出ていないのに!?


 アスの方も、参った表情で一人しゃべりを始める。


「私は……もう一度。体力向上訓練を受けたいと考えています」

「私も、体力を考えずに張り切りすぎる時が有りますから……///」


 ……


 こうして、コハルに訓練成果を見せる場面は終わった。

 コハルから満点を貰えれば数日以内に、魔王討伐に出る流れに成ったのだろうが、リンは補講と成り、アスもみずから体力向上訓練を再度受けると言ってしまったので、しばらくはその様な流れと成る。


 その場で引き返して、俺たち四人は鉱床入口に戻ったが……魔物と遭遇する事は一度も無かった。←リンはコハルが背負った

 さっきの戦いで、鉱床内の魔物はほぼ掃討出来たのだろう?


 ☆


 それから、しばらくの時が過ぎる……


 リンとアスは王国城に補講、訓練に行ってしまっているので、俺はほぼ一人で養護施設の厨房仕事をして、子どもたちの見守りもシスターから命じられてしまう!///

 だが、子どもたち副纏め役のメルコが居るので、俺はメルコと協力し合いながら、リンとアスの穴を埋める。


 その為。市場への買い出しも一人に成ってしまうが……有料の宅配を使えば、一人でも買い物が出来る事を知り、俺は一人で買い出しを行う。

 荷物の方は15時までに、運んで貰う様に各店にお願いする。←それぞれの店で当然手間賃は掛かる///


 シスターやアスも、これを利用していたらしい。

 俺が買い出しから養護施設に戻って来ると……子どもたちと楽しくメルコは屋外で遊んでいた。


「きゃはは♪」


「~~~♪」


「~~~♪」


「~~~♪」


 メルコの性格上。屋外で遊ぶ事が好きなんだろう。

 俺はメルコの方に近付いて、和やかな表情で声を掛ける。


「ただいま。メルコ!」


「あっ、お帰り~~スズヤ君!♪」


 メルコは笑顔で帰宅挨拶をしてくれる。

 メルコはその表情で、俺に言葉を続ける。


「スズヤ君! 買い物に行って来たのでしょ?♪」

「それで、今日の晩ご飯は何に決まったの?♪」


「……今日の夕食はポークピカタだよ。メルコ!」

「豚ロース肉が特売でね!!」


 俺は和やかな表情で、メルコからの質問に答える。

 子どもたちから好きなメニューを聞いて、その中から俺が選んだメニューで有る!


 ポークピカタは、俺も好きな料理の一つで有る。

 メルコは表情で、三人の女子に向けて話し始める。


「みんな。聞いた!♪」

「今晩はポークピカタだって!!♪」


「凄い! ポークピカタだ!♪」

「今日は普通の日なのに!?」


「スズヤ先生が料理を作るように成ってから、一気にご飯が豊かに成ったね~~♪」


「もう、今から、楽しみ~~♪」

「スズヤ先生はお代わりも用意してくれるから、嬉しい~~♪」


 メルコの言葉の後。

 三人の女子は、嬉しそうな表情で話す。


 豚肉が特売で有ったのは事実で有るが、俺のポケットマネーが無ければ完全赤字で有る///


(幾らシスターから許しを貰っているとは言え、何時までもこんな事を続けられないよな……いっそ、ナポレン王に補助金引き上げ申請をしてみるか!)


 俺たち三人はみな。教会に関わる人物だし、その三人が魔王を倒しに行くのだから、それぐらいの融通をは受け入れてくれるだろう……

 養護施設一日当りの食事予算は約一万キランで有るが、これでは子どもたちが喜ぶ料理を頻繁には出せない。


 俺のポケットマネーで、その穴を埋めているのだが、これも本来は正しいやり方では無い。

 俺は魔法討伐の見返りとして、養護施設への補助金の引き上げを意識した……


 ……


 ☆王者の剣と魔法剣☆


 ☆おわり☆


 次章『新しい冒険仲間?』に続く……

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