第19話 リンの放つ。ホーリーフレア!

 リンは、左手に持っていたウリンの杖を腰ベルトに収納してから、魔法を唱える体勢を作って目を瞑る。


「~~~」

「~~~」


 リンは目を瞑ったまま、詠唱を始め出す!

 白魔法使いの攻撃魔法だけ有って、その出し方も特殊の様だ。


 その間にも、魔物の連合軍はと俺たち四人に近付いている。


「……」


 アスの方も臨戦態勢に入っている。

 リンが魔法を唱えるのに失敗した時は、直ぐにアスの攻撃魔法『ドクキラー』で攻撃する為である。


『ドクキラー』の魔法は魔法で毒霧を発生させて、相手に毒を吸わせて、じわじわ体力を奪っていく全体攻撃魔法で有る。


「スズヤも、魔法剣を作っておこうか!」

「万が一の為に!!」


「はい。分かりました!」

「コハルさん!!」


 コハルは和やかな表情で、俺に指示を出す。

 俺は緊張した表情で、コハルに返事をする。


 俺は澄ました表情で魔法を唱えて、王者の剣で魔法剣を作る。


「モージスク・スバッド ブランド」


『ゴオォォーー』


 俺たち三人は攻撃態勢を作る。

 魔物の連合軍が射程圏内に入り始めた時……コハルが真面目な表情でリンに指示を出す。


「リン!」

「ホーリーフレアを唱えて!!


「………!」


 コハルの指示の後。リンは目を開いて、魔物の連合軍に向けて両手を広げる!

 普段の魔法は右手だけなのに『ホーリーフレア』に関しては両手の様だ。


「……ホーリーフレア!」


 リン緊張した表情とその声でホーリーフレアを唱える。

 すると……白い花の様な光が突如無数現われて、魔物の連合軍の上に雪が降る様に魔物達の体に付着すると……


『グギャーー』


『グオォォーーー』


『グェ、グエ、―――』


 魔物達は、その白い花の光に侵食されながら苦痛を上げる!

 そして、その白い花の光に侵食された部分は、薬品で溶かした様に、綺麗に魔物肉体が溶けていた!!


『グギャーー』


『グオォォーーー』


『グェ、グエ、―――』


 ……魔物の連合軍は、悲鳴を上げながら……その多数となる、聖なる白い花の光の中に消えていった……倒したと言うより、消したの言葉の方が相応しいだろう。


「…………///」


『くらっ……バタン!』


『キラーン』


『にょろ、にょろ、―――///』


 多数の、白い花の様な光が消えると同時に、リンが気を失って倒れ込む!

 その時に、リンが唱えていたワットブライトの光球効果も消えて、辺り一面は暗闇となるが……直ぐにコハル自身が光を発し始める。


 コハルは直ぐさま、リンの元に駈け寄る!


「…………」


『ジーー』


 だが、コハルは倒れたリンに……何かをする訳で無く観察を始める?

 しばらくの後。コハルは俺とアスに向けて、和やかな表情で話し始める。


「スズヤ、アスちゃん……リンちゃんは、軽い気絶をしているだけ!」

「極度の緊張状態でホーリーフレアを唱えたから、その影響だと思う!!」


「私は此処で、リンちゃんが目を覚ますまで居るから、二人は掃討を続けて!!」


(まだ、魔物は奥に居るんだ!)

(だが、これでリンの魔力は使い切ったはずだから、後は俺とアスで対処するしか無い…!)


 俺が心の中で感じていると、アスが緊張した表情で俺に話し始める。


「スズヤさん!」

「この先の奥に、魔物が隠れている気配を感じます!!」


「ですが、見えない魔物に対しては、魔法を放つ事が出来ません」

「ですので、スズヤさん……突撃をお願いします!///」


「魔物がスズヤさんに襲い掛かる前に、ブランド等で倒しますから!!///」


「!」


(俺に突撃しろと!?)

(俺は戦士だから当然だけど……アスも切れ者だな!///)


 何か今回の戦闘は、コハルとアスが出しゃばっている感を感じまくるが、アスは優秀な仲間で有るから……俺はそれを受け入れる。

 俺は真面目な表情で、アスに話し始める。


「じゃあ、アス行くよ!」


「はい。お願いします!」

「スズヤさん!!」


 アスは真剣な表情で、俺に返事をする。

 俺は戦争物の突撃シーンを思い浮かべながら、薄暗い奥地に足を踏み入れ始める。


 だが『○○陛下 万歳!!』等の声は発しない!

 あんなのはみずから、居場所を教える様な物だからな!///


『グオォォーーー』


 岩場に隠れたオークが突如、姿を現す!

 オークの奇襲攻撃は成功であり、俺は先ずは防御体勢を作る。


『ブン!』


『ガチン!!』


 オークが振り下ろした石斧を、俺は王者の剣を盾にして防ぐ!

 その時に、石斧が少し砕ける。


 石よりタングステン合金の方が、硬度が高いからだ。


(よし、攻撃は耐えた!)

(俺の攻撃が早いか、アスの魔法攻撃が早いか……)


『シュ、シュ、シュ、―――ボン!』


「ギャオォォンン~~」


 俺が攻撃を仕掛ける前に、アスが放った『ブランド』がオークに命中する。

 だが『ブランド』の力だけではオークを倒せないので、は俺の魔法剣で仕留める。


『ザシュ!』


「グギャアアァァーー」


 オークは燃えながら、俺の魔法剣(ブランド)で止めを刺されて断末魔を上げる。

 

『バサ、バサ、―――』

『バサ、バサ、―――』


「キッキッキッ~~~」

「キッキッキッ~~~」


 その時。一羽の大型コウモリが、俺に向けて飛来してくる。

 オークに意識を向けている俺に、飛来攻撃を仕掛けたのだろう。


 大型コウモリに俺は意識を変えて……飛来してくる大型コウモリ目掛けて剣を振り下ろす。

 この時。魔法剣の効果が切れてしまうが、大型コウモリなら通常剣でもいけるはずだ!


『バシュ!』


「グッギャ!?」


『……ズドン』


 大型コウモリは一刀両断されて、二分割にされた状態で地面に落ちる。

 大きな抵抗をさほど感じず、大型コウモリを一刀両断出来た!


 大型コウモリは驚き表情と、小さな悲鳴で即死した。


「……」


『タタッ―――』


 アスが真面目な表情で、俺の方に駈け寄って来る。

 周囲の魔物は、倒した事になるのだろう。

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