第18話 俺とリンの訓練結果……

 ……


 それから、しばらく時が過ぎる。

 俺とリンは訓練期間を終えて、今日は訓練結果を試す日で有る。


 リンは『ホーリーフレア』を習得するついで『テレポリエタ』も習得した。

 これは瞬間移動の魔法で有り、リンが一度歩いて行った場所には『テレポリエタ』で簡単に行ける様へなる。


 俺たち三人+コハルの四人で以前。タングステン鉱石の採取を行った、リュウガンロ鉱床で訓練結果を試す。

 リュウガンロ鉱床の守備に就いていた、フウゴルは倒したが、魔物自体はまだ鉱床内に居ると推測している。


 ちなみに、俺は先日。

 リンとアスに、俺の手作りカスタードプティングをご馳走した。


 只、厨房の仕様から本格的な物は作れないので、あくまでカスタードプティングに似た食べ物で有る。

 だが、形その物のはカスタードプティングその物だ!

 

 リンとアスが笑顔で、そのカスタードプティングをスプーンですくって、食べた感想は……


「スズヤの作る、カスタードプティングも美味しいですが……ココアちゃんの方がもっと美味しかったです///」

「私が、ココアちゃんの作ったカスタードプティングを食べていなければ、凄く喜びましたが///」


 と、リンは困った笑顔で感想をべた。

 言うまで無く、王国城の厨房は俺の所より近代的だし、市場では手に入らない調理道具・材料等も有る筈だろう。


「スズヤさん!♪」

「私は初めて、カスタードプティングを食べましたが、甘くて美味しいです!♪」


「リンさんが食べたのは美味しいらしいですが、私はこれで幸せです♪♪」

「ありがとうございます!」


 本当の味を知らないアスは、幸せそうな表情で感想を述べた。

 俺のカスタードプティングは、フライパンを使ってでの蒸し焼きで有るが、本格的なカスタードプティングの場合は、オーブンを使うので有ろう?


 だが、この世界に有るオーブンは薪オーブンで有るから、温度調節機能は勘に頼るしか無いし、また大きいオーブンなので、カスタードプティングを数個蒸し焼きにするには向いていない。

 この材料費は全部、俺のポケットマネーから出しているが、卵から始まり材料費が凄く高い。


 俺たち三人分を作るだけでも、かなりのキランが掛かり、特に(白)砂糖がアホみたいに高かった!

 メルメーサ王国では、砂糖は貴重品扱いとなっているので、気軽に使える調味料では無い。


 俺の前世界で当たり前に食べられた、クッキー等の焼き菓子類。

 プリンやシュークリーム等もこの世界では、特権階級の人達しか口に出来ないそうだ……←これはリンからの話し


 ☆


 リュウガンロ鉱床。鉱床入口前……


 俺たち三人+コハルの四人は、コハルの魔法で瞬間移動をする。

 四人がリュウガンロ鉱床に来るのは、約一月半ぶりで有った。


 フウゴルが倒された影響か、入口付近に居たゴブリン等の守衛は居なかった。

 コハルが笑顔で、俺たち三人に向けて話し始める。


「じゃあ今から、スズヤとリンちゃんの訓練成果を見せて貰うね!」

「スズヤは、適当な魔法剣で魔物を数体倒す事。リンちゃんは魔力の関係上。三体以上の魔物が現われた時に、一回だけホーリーフレアを認める!」


「それ以外の時は、三人が協力して魔物を倒す!」

「三人とも良いね?」


『はい!』


 俺・リン・アスの三人は、真面目の表情でコハルに返事をする。

 一応。奇襲攻撃をされない様にリンが唱えた。ワットブライトで作った光球を先に鉱床内に潜り込ませる。


『バシュ』


 リンが右手を挙げて、光球をフラッシュの様に光らせる!

 だが……魔物が驚いて出て来ないので、待ち伏せはされていない感じだ。


 安全を確認したのち

 俺たち四人は鉱床内に、久しぶりに足を踏み入れる……


 ……


「おかしいですね~~。魔物が全く出て来ません……」

「みんな、逃げ出してしまったのでしょうか~~?」


 鉱床の中間地点まで俺たち四人は来たが、まだ一度も魔物とは遭遇していない。

 リンは少し拗ねた表情で、一人しゃべりをしている。


「…………」


「………!」


 だが、アスは澄ました表情で奥の方を見ていた。

 その時。コハルは何か気付いた様で、俺たち三人向けて和やかな表情で話し始める。


「魔物さん達。奥に集結している感じだね!」

「これはいきなり……リンちゃんの出番かな?♪」


「えっ!? そうなんです、コハルさん!!///」

「幾ら何でも、唐突すぎませんか!?///」


 コハルの言葉で、リンは戸惑った表情でコハルに話す。

 残党達が奥で集結しているのだろう……コハルはリンの言葉を聞き流し、少し真面目な表情でアスに話し始める。


「……アスちゃん!」

「アスちゃんは……ドクキラーを唱える準備だけして置いて!!」


「はい! 分かりました!!」

「コハルさん!!」


 コハルがアスに指示を出す。

 指揮権は俺が持っているのだが……その時、魔物の連合軍が遠くから姿を見せ始める!!


 それを見ていたコハルは、顔をしかめながら、俺たち三人に向けて話し始める。


「ゴブリンが……五体。オークが三体。大型コウモリが三羽か……」

「これは厄介だね……でも、こっちにはリンちゃんが居るからね!」


「リンちゃん! ホーリーフレアの準備!!」

「私が指示をしたら唱えて!!」


「あっ、はい///(汗)」

「コハルさん!///」


 リンは焦った表情で、コハルに返事をする。

 リンが唱えるホーリーフレアは、俺が魔法剣を作る様に、何かのワンテンポがある様だ……


 これは今回。俺の活躍場面は無しか!///

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