第12話 王者の剣を受け取る

「時間通りだね♪」

「では……剣を渡す前に、アスちゃん!」


「成長出来たね♪」

「このままダメに成ってしまったらと……覚悟はしていたけど!」


「この苦難を乗り越えてこそ、本当の黒魔法使いだよ!♪」

「アスちゃん!♪♪」


 コハルは笑顔で俺たち三人に話すが、直ぐにアスへ話し始める。

 アスは恥ずかしい表情で、コハルに話し始める。


「コハルさん/// この度は本当に、ご迷惑をお掛けしました///」

「裏切り者のフウゴルでしたが、フウゴルでも人間には変わり有りませんでしたし、養護施設の仲間としても交流も有りましたから///」


『ペコリ』


「うん、うん♪」

「アスちゃんの伝えたい気持ちは、私でも分かるよ!」


「だけど、人は成長していくんだよ!」

「あっ、でも、蛇の私がそんな事を言っても意味が無いね~~。あはは~~♪」


「……」


「……」


 アスは言葉の後。頭をコハルに下げた。

 コハルは理解している感じで、和やかな表情でアスに話しているが、茶化している様にも聞こえてしまう///

 俺とリンは理解しがたい表情で、コハルとアスの会話を聞いていた。


「こほん!」


 コハルは気を取り直すためか、軽い咳払いをしてから、俺に向けて和やかな表情で話し始める。


「では、本題入ろう。スズヤ!」

「今から、スズヤに王者の剣を授ける!!」


「だけど、知っての通り。鋼の剣倍近くの重さが有るから、鋼の剣の様に扱える様に成るのは時間が掛かるだろう!」

「今度からは両手で剣を持つことに成るから、盾は持てなくなるけど、剣を盾代わりにする事も可能だから!!」


「そして、王者の剣は魔法剣に適しているが、魔法剣ばかりに頼ると、スズヤの魔力が直ぐに消耗するだろう!!」

「臨機応変に剣を扱い……最後は、魔王を退治して欲しい!」


「……」


(コハルまるで、自分が王の様な素振りで言うな……城の守り神=国の守り神にも成るから間違って居ないと言われればそうだが…)


 俺は真面目な表情で、コハルに話し始める。


「はい! コハルさん!!」

「俺は王者の剣を授かり、鍛練を積んだ後。魔王討伐に向います!」


「~~~❤」


「…………(汗)」


 俺の言葉を聞いていたリンは目を『❤』にして聞いているが、アスは『やれやれ』の表情でリンを見ていた。

 あれ……アスも、俺の事は気にしているんだよね?


 コハルは嬉しそうな表情で俺に言い始める。


「うん。うん。勇敢な戦士らしい言葉だ♪」

「では……今から。衛兵に剣を持って来るから、少し待っていてね」


 王者の剣はどうやら、コハルの部屋に置いて無かったらしい?


(事前に置いておけば良いのに……)


 俺が心の中で感じていると……部屋をノックする音が聞こえて来る。


『コン、コン』


「コハル様。剣をお持ちしました!」


 ノックの後。衛兵だと思われる、若い男性声がドア向こうから響いてくる。

 コハルは和やかな表情で、ドア向こうに衛兵に話し始める。


「ドアは私が開けるから、開けたらそのまま入って来て~~♪」


「はっ、分かりました。コハル様!」


『バタン』


『キュラ、キュラ、―――』


 コハルは話し終えて、衛兵の返事の後。ドアは自動ドアの様に開く。

 衛兵は、料理を運ぶ様な台車を押しながら室内に入って来る。


 台車の上には白い布がかぶされており、台車の上に王者の剣が乗っているのだろう。

 台車は俺たち三人の目の前で止まり。衛兵は次の指示待ち態勢に入る。


 ちなみに、ドアは開いたままで有る。


「衛兵!」

「カバーをめくって!!」


「はっ!」


『バッ!』


 コハルは和やかな表情で衛兵に言うと、衛兵は機敏に台車上のカバーを捲る。

 カバーが捲られると……鞘に収められた新品の剣が鎮座している!


(これが……王者の剣か!)

(当たり前だが、鋼の剣より風格が有るな!!)


 王者の剣は、鋼の剣より一回り小さいが、握り手上部にはメルメーサ王国の紋章が入っており、鞘も真鍮しんちゅう製なのか、凄く豪華で有り高価な剣を醸し出している。

 コハルは和やかな表情で、俺に話し始める。


「スズヤ!」

「受け取りなさい!!」


「はい、コハルさん!」


 俺は元気な表情でコハルに返事をして、王者の剣を両手で持ち上げ受け取る。


(うん……想像以上に重いな!)

(だけど、これで俺は今日からは勇者も兼ねた、児童養護施設厨房の仕事も持つ男だ!)


「衛兵!」

「下がって良いよ!!」


「はっ、コハル様!」


『キュラ、キュラ、―――』


 コハルが和やかな表情で衛兵に言うと、衛兵は真面目な表情で返事をして、台車を押しながら部屋から出て行く……

 俺はその間。王者の剣を腰に装着する。


『バタン!』


 衛兵が出て行ったタイミングで、ドアは自動ドアの様に閉まる。

 コハルは笑顔で、俺に話し始める。


「さて……先ずは戦士の姿を、私に見せて貰おうかな?」

「スズヤ!」


「!」


 俺はコハルの言葉で、勇ましい勇者の姿を想像し始める。


(えっと……格好よく鞘から剣を抜いて、高々持ち上げるか!)


『シャッキーン☆』


『バッ!』


 俺はRPGの勇者を想像して、剣を颯爽さっそうと抜き、高々持ち上げてポーズを取る!


「…………(汗)」


(引き抜くのは片手でも良いが、持ち上げるのはかなりキツいな……)


 直ぐに右腕が疲れを感じてきたので、俺は両手で持つ姿勢に変える。


「あはは~~!」

「それでは、新米戦士さんと変わらないよ~~。スズヤ~~♪」


 その姿を見たコハルは、笑いながら俺に話す。


(だって……剣が重いから仕方ないだろ。コハル///)

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