第10話 日常生活に戻るアス

 ……


 アスが倒した、魔物処理も後は神父たちに任せて、俺たち三人は厨房に向う。

 コハルの方は先ほど、王国城に帰って行った。←もちろん、瞬間移動である


 厨房内のテーブルで、俺とリンはアスから話しを聞く。

 掻い摘まんで言えば、アスが礼拝堂で懺悔中に、二人の女子が呼びに来て、アス其処で我を取り戻し、魔物を退治したと……


「変な話しですが……魔物のお陰ですね!///」

「あの、大型コウモリがメルコたちを襲った切っ掛けで、私は自分自身を取り戻す事が出来ました///」


 アスは顛末を語った後。恥ずかしい表情で俺とリンに話す。

 好ましい切っ掛けでは無いが、アスはフウゴルを殺した呪縛から解かれた。


 アスの話しの後は、俺は王国城に呼ばれた顛末をアスに話す。

 俺の話しを聞いた後。アスは困った表情で俺に話し始める。


「そうですか……魔王軍はまた、パプテトロンに侵攻を計画していますか」

「それで私たちは、市街地の守備を命じられたと……」


「まぁ、でも、アスが回復してくれたから、三人で協力すれば問題は無いだろう!」


 俺は穏やかな表情でアスに話す。

 リンは和やかな表情で、アスに話し始める。


「けど、アスちゃんが元気に成ってくれて成りよりです!」

「これでまた、一緒に冒険が出来ますね!♪」


「……はい。凄くご迷惑をお掛けしましたが、私は吹っ切れる事が出来ました!」

「そして……私は、絶対に魔王を許しません!!」


「私の両親を殺し、フウゴルまで洗脳させた事は、私の中で許される行為では有りません!!」


 最初二行の文章は、申し訳ない表情で俺とリンに話すが、最後の行の文章は、決意を込めた表情で俺とリンに話す。

 この感じだと、フウゴルに対してアスはかなり好意を持っていたな!


 アスも立ち直り、これで魔王討伐も再会出来るが……まだ王者の剣が完成していない。

 なので、王者の剣が完成するまでは、俺たち三人は養護施設の仕事をしつつ、空いた時間で自己鍛錬をして、王者の剣が完成するのを待つ……


 ……


 それから数日が過ぎる。


 養護施設。子どもたち纏め役の仕事にアスは復帰して、今日も何時もの業務をこなしている。

 アスが業務に復帰したので、リンの方も通常業務に戻る。


 これで、何時も通りの生活に戻ったと言いたいが……


「スズヤ君~~♪」

「僕暇なんだけどさ~~、何かお手伝いは無い?♪」


 メルコが笑顔で、俺に尋ねてくる。

 メルコは、子どもたちを纏める副纏め役で有るが、アスが完全復帰してしまうとメルコは仕事が無くなる。


 そして何故か、メルコが怪我をして以降……俺の元へ積極的に来る事が増えた?

 今までは必要な時しか来なかったのに、今は暇が有れば俺の元にやって来る!!


「……今は何も無いよ。メルコ!」


 俺は澄ました表情でメルコに言うが、俺の隣に居るリンが呆れた表情で、メルコに言い始める。


「メルコちゃん!」

「メルコちゃんは私たちでは無く、子どもたちと遊んでいなさいよ!///」


「アスちゃんが動けなかった時は凄く助かったけど、もうアスちゃんは元気に成ったし、メルコちゃんはまだ施設の子なんだから…///」


「リン先生!」

「僕は施設の子だけど、先生のお手伝いをしての駄目の決まりは無いよ!!」


「シスターとかアス先生は『ありがとう!』と言って、何時も僕に手伝わせてくれるよ!」


(これがリンが言っていた……メルコの積極性か!)

(忙しい時なら良いけど、暇な時に言われてもな……)


 今の時間は、夕食作りまでは暇の時間で有る。

 俺はリンと自己鍛錬をしようかと思った時に、メルコが尋ねてきた。


 リンが、俺に耳打ちをする様に話し始める。


「スズヤ。どうします……」

「何か適当に仕事を与えませんと、メルコちゃんは引きませんよ///」


「なら……良い機会だし。メルコに自己鍛錬を手伝って貰うか!」


 俺は小言でリンに話すが、リンは驚いた表情と普通の声量で俺に話し始める!


「えっ!? メルコちゃんを自己鍛錬に付き合わせるのですか!?」

「どうしてです!!///」


「!!///」


 耳元で普通にリンが話すから、俺もする。

 俺はしながらも、リンに話し始める。


「いや……だって、先回の時。メルコはで大型コウモリと対峙しただろ(汗)」

「その勇ましさは買うが、もう少し真面な武器を持たせれば、メルコが一方的にやられる事は無かっただろう」


「……まぁ、それはそうですが!」

「でも……でも……あ~~。もう仕方ない!///」


「良いでしょう。メルコちゃんを鍛錬に付き合わせましょう!!///」


 リンは破れかぶれの表情で俺に言う。

 リンは俺に強い好意を持っているから、メルコを恋のライバルとして見ているのだろう。


 そして、俺たちが冒険に出ている間は、メルコは再び魔物と対峙しないと行けない時が有る。だからリンは折れた……

 俺は和やかな表情でメルコに話し始める。


「じゃあ、メルコ!」

「俺とリンは今から自己鍛錬を始めるから、メルコも付き合ってよ!!」


「うん! 分かった、スズヤ君!!」

「僕も一緒に強くなる!!♪」


 ……


 こうして、夕食作りの時間まで、俺・リン・メルコの三人で自己鍛錬を行った。

 試しに、鋼の剣をメルコに持たせたら……やはり無理だったので、リンが普段使っているウリンの杖を持たせたら案外さまに成った。


 近日中に、ウリンの杖をメルコ用に一本貰って、それを使って訓練をさせれば、大型コウモリぐらいなら退治出来るかも知れない?

 メルコはリンより腕力が有るし、運動神経も上回っているからな!


 そしてメルコも、この養護施設を守る大事な一員だからな!


 ……


 ☆長い休息☆


 ☆おわり☆


 次章『王者の剣と魔法剣』に続く……

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