第3話 何時も通りの仕事をこなす その2
……
メルコとの買い出しが終わった後は、夕食作りまでは自由時間と成るが、俺はその時間を使って日頃の鍛錬をする。
鋼の剣を持っての素振りや、ランニング等の体力作りなど、俺は何時でも冒険に出られる準備や、魔物が来襲しても素早く対応出来る体制作りを空き時間にする。
「ふぅ……今日は、こんな物だ!」
「……」
俺はランニング終えて、教会裏手で休憩をしていると、修道服を身につけたアスが養護施設から出て来る。
修道服姿のアスも可愛く見えるが、暗い表情では折角の修道服姿も、色あせて見える。
(あの感じだと……今日も懺悔の時間か)
(懺悔しても何も変わらないのに……)
最初の数日こそは、アスを見掛ける度に俺は声掛けをしたが、上の空の返事しかアスはしないので、今ではアスを見掛けても静かに見守るしか無い。
アスの目線には間違いなく俺が入っているはずなのに、いない目線で教会の方に歩いて行った。
(俺が大事と言ってフウゴルを殺した割りには、フウゴルを殺した事をアスは悔やんでいる)
(フウゴルはやんちゃ者だと神父から聞いているが、そのやんちゃをアスは惹かれていたのかも知れない?)
俺は心の中で感じる。
この養護施設は、男子より女子の方が遙かに多いし、男子がいても前世界で言う中学生や高校生男子がいない?
この国の成人は18歳からで有るが、未成年から働いている男子も非常に多い。
兵士の方も、少年兵の区分が有るそうだし、中学生以上からは大人同等と働けるのだろう。
(それなら、フウゴルも自立をすれば良かったのに……やはり、母親の料理が恋しかったから留まった?)
俺が神父から聞いた話しでは、前厨房担当者が作った料理をフウゴルは好んでいた。
前厨房担当者が戦争の悪化で辞めて、それが原因とシスターの体制が不服で、一気に素行が悪くなったと聞いている。
(まぁ、どちらにせよ、俺には終わった話だ)
(フウゴルはもう、この世にはいないし、タングステン鉱石も採取出来た!)
俺は休憩時間後。
再び、夕食作りの時間まで自己鍛錬に励んだ。
☆
夕食作りの時間が来たので、俺は厨房で調理を開始する。
夕食作りにはリンが補佐がしてくれるので、リンと一緒に調理をする。
「今日の夕食はベーコンエッグですか♪」
「スズヤ。奮発しましたね♪♪」
リンの機嫌は直っていて、夕食のメニューを聞いたリンは、嬉しそうな表情で俺に話す。
俺は穏やかな表情でリンに話し始める。
「今日は卵が特売で買えたし、メルコが買い物を手伝ってくれたからな」
「……メルコちゃんを使ったのですか?」
「……スズヤ…!」
俺の言葉でリンは急に目を細め、疑問を感じた口調で俺に聞き始めるリン!
しまった……余計な事を言うべきでは無かった///
俺は弁解する表情で、リンに言い始める。
「リン! メルコが勝手に付いて来たんだよ!!///」
「何時もはリンと一緒に行くが、今日が俺一人で有ったからメルコが気を遣ってくれてたんだよ!///」
「……分かりました」
「……そう言う事にしておきます」
リンは俺を疑った目線で言う!
リンは直ぐに焼きもちを焼くタイプか!?///
リンは『やれやれ』の表情に成って、俺に話し始める。
「メルコちゃんが副纏め役に就いてからは、一気に自己主張を始めましたからね」
「何でも積極的なのは良いのですが、偶に空振りをしているのですよね…」
「メルコは、アスとは真逆の感じがするからな」
「だが、子どもたちはアスとメルコの両方を、気に入っている感じがするが」
俺は澄ました表情でリンに話す。
リンは『でもね…』の表情で俺に話し始める。
「メルコちゃんは少し子ども過ぎるのです!///」
「まぁ……この線引きが難しいのですが、メルコちゃんは何でも感情で動いている気がして成らないのです…」
「感情か……確かにメルコは、理性より感情で動いているな!」
「だが、それは悪くないと思うがな」
「はぁ~~。スズヤはお気楽ですね!」
「スズヤは子どもたちの相手を直接しませんから、そう言う事が言えるのです!///」
「…………」
(リンの奴。また不機嫌に成って来たな///)
(やっぱり、メルコに対して焼きもちを焼いている)
俺の言葉の後。リンは嫌みを含ませた口調で言った。
俺は少しモヤッと来たが、俺は子どもたちの管理をしていない。
今のリンは俺の厨房補佐と、子どもたちの健康管理や積極的な見守りを、シスターから言われているそうだ。
メルコが副纏め役で居るが、事務的な仕事はまだ早いとシスター判断しているのだろう?
「まっ、まぁ……メルコももう少し、大人に成って欲しい者だな///」
俺は困った笑顔でリンに言って、その場を濁すしか無かった……
☆
夕食作り・配膳・食事・後片付けも問題なく終わって、俺は自分の個室に戻る。
俺の個室はベットや本棚が有るが、本棚は白・黒魔法に関連する本と、王から貰った『王国兵の心構え』の本しか無い。
「この世界は当たり前だが漫画も無いし、ネット環境も無い」
「活字の本は、商業地域で売っている店を見付けたが、ラノベなんかは絶対に置いてないだろう?」
俺は『あはは』の表情で一人しゃべりをする。
この夜の短い時間が、息抜きの時間と成るが、俺は現在娯楽を持っていない。
リンやアスと談笑を楽しんだり、リンやアスと楽しい事するのが(!?)、本来の娯楽にこの世界は成るのだろう!??
せめて、新聞やラジオでも有ればな……それか、自分で小説を書くか!?
(リンやアスで出したいとは思わないし……寝るしか能が無いな!)
(明日も朝が早いし、無駄に起きていても意味が無いからな…)
俺は心の中で感じ、ベッドに潜り込む。
社会人らしい生活で有るが(?)、これでは前世界と変わらない生活をしているなと、俺は思わず感じてしまった///
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