第2話 何時も通りの仕事をこなす その1

 ……


 リンがアスの部屋へ食事を持って行く中。俺は食堂の後片付けを始める。

 メルコは子どもたちの相手をしているので、子どもたちの相手はメルコに任せる。


『ジャァァーー』←水の音


 俺は下げた食器類を、教会側に備わっている厨房に移動して洗い始める。

 メルメーサ王国の城下町で有るパプテトロンは異世界の癖に、上水道が整備されているから様な家事も楽で有る!


 食器も洗い終えて、俺が食器を拭き始めると……厨房のドアが開く。


『ガチャ!』


「……///」


 ドアを開けたのはリンで有ったが、その表情は悲しく、またリンが両手に持っているトレイには、殆ど手の付いていない朝食が乗っていた。

 リンはその表情で厨房のゴミ箱に向い、皿に乗っている料理をゴミ箱に捨てる。


『バサッ!』


「……殆ど、手を付けていないな」


 俺はリンが捨てた残飯を見ながら、難しい表情で呟く。

 リンは残飯を見つめながら、悲しい口調で言い始める。


「食べたく無いんですって……流石に、牛乳は私が無理矢理飲ませましたけど……」

「アスちゃんが大好きって言っていたイチゴも、一粒も食べませんでした///」


「アスはイチゴが好きなんだ…。知らなかった」


 俺は澄ました表情で呟く。

 アスも冒険仲間で有るが、アスはプライベートをみずからペラペラ喋る子では無い。


 そして、リンはアスの事を非常に気に入っている!

 自らは言わないアスだが、聞かれれば答えるアスで有るから、リンがアスの好物を何処かで聞いたのだろう。


 リンはゴミ箱の蓋を閉めて、流し場に向かい、アスの食器類を冷めた表情で洗い始める。

 俺は食器を拭きながら、参った表情でリンに話し始める。


『ジャァァーー』


「リン…」

「人間は何日も、空腹に耐えられる作りには成っていないから、何処かでちゃんと食べ出すよ」


「スズヤはやっぱり……女の子の気持ちを理解していませんね///」

「アスちゃんは魔物を倒す感覚で、フウゴルを倒したわけでは無いですよ!///」


 リンは俺に目線を合わせず、辛い表情で俺に話す。

 俺だって……リンやアスの気持ちは理解しているが、悪い事をした人間を退治するのは当然で有ろう。


 ……


 朝食の後片付け後は、何時もリンと一緒に夕食の買い出しに市場へ行くのだが、さっきの失言の所為かリンは『今日は用事が有る…』と言って、俺との買い出しを間接的に拒否してきた!

 リンは優しくて、思いやりの有る少女で有るが、それだけ相手への感情移入をしてしまうため、相手を思いやらない発言をするとに拗ねる!///


 俺は仕方無いので、市場に一人で買い出しに向おうとすると……メルコが笑顔で俺の方にやって来て、俺に話し始める。


「スズヤ君! 買い物に行くのでしょ?♪」

「私も、付いて行って良い?♪♪」


「うん。良いよ、メルコ!」

「今日はリンが用事が有るとかで、俺一人で行く所だったからさ!」


 俺は和やかな表情でメルコに話す。

 都合良く、荷物持ちが現われてくれた!


 メルコはリンとアスと比べて、力が有るようだし、体力も有りそうだから買い物の荷物持ちには丁度良い!?

 今日はメルコを連れて、俺は市場に向う。


 メルコは歩きながら、和やかな表情で俺に話し始める。


「ねぇ、スズヤ君。どうして、スズヤ君はこのお仕事に就いたの?」

「スズヤ君なら、もっと良いお仕事が有るような気がするけど??」


「あぁ……俺はこの世界で(こども)食堂を開きたくてね!」

「その修行も兼ねて、養護施設の厨房で働いているのだよ!!」


 俺も和やかな表情でメルコに話す。

 俺とメルコの関係は最近出来たばかりで有るから、お互いの事は表面上しか知らない。


 メルコは嬉しそうな表情で、俺に話し始める。


「へぇ~~。スズヤ君はパプテトロンで食堂を開くんだ~~♪」

「良いね~~。スズヤ君の料理はとても美味しいし、お店をひらけたら絶対人気店になるね~~♪♪」


「もちろん、常連になるからね♪」

「スズヤ君!♪」


「……///」


(メルコは本当に、可愛い表情で言うな~~///)

(俺がリンと深い関係で無かったら、俺はメルコと関係を深めているよ!///)


 俺とリンの関係は親友関係を通り越して、恋人関係に近い関係で有る。

 一時的で有るが、俺はリンの役も演じた時が有る。


 だが、お互いが正式な告白をしていないし、キスをし合うほどの関係ではまだ無い。

 それにリンはまだ未成年だし、アスも俺に気が有るみたいだし!?///


 普段とは違うパートナーで市場に買い出しに行って、この日の夕食はそのパートナーが食べたい物で夕食の献立を考える。

 ちなみに、そのパートナーが求めたメインメニューはベーコンエッグで有った。


「~~~♪」


 メルコは希望のメニューが通ったので、ニコニコ笑顔で両手に荷物を持ってくれる。

 また、持ってくれる量もリンより多いので、今後の買い物パートナーはリンからメルコに変更したいぐらいで有った///


 市場から教会に戻る帰り道も、俺はメルコと談笑を楽しみながら帰った!

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