第29話 ~乱戦其の四~

「綾のお父さんは何の仕事してるの?」


「パパは建築士をやってるの。前々から事務員が欲しいって言ってたから、あたしが卒業したら働くって言ったら賛成してくれてね。だから就職活動はしなくていいんだ。見た目もこのままだしね。そしていつかお嫁さんになるんだ」


「綾ならモテるだろうからすぐ結婚できるよ」


「真吾が旦那さんだったらいいな~」


「ホラ、俺なんてまだ16だし結婚なんて当分先の話だよ。俺が大学卒業してる頃にはもう綾は結婚してるんじゃないかな~」


「真吾も結婚とか考える事ある?」

グサッと来た。


「ま~いい人がいればね。一生独身でも俺はそれでいいと思っているし」


「真吾が大学卒業してもあたしが結婚してなければお嫁さんになってあげる」


「裕福な暮らしは出来ないかもしれないんだぜ?」


「それでも真吾と一緒ならあたしは幸せ。出来たら子供も欲しいな~。あたし達の子なら最強の子が産まれるわ」


「いやいや子供に最強とか求めてないし。子供出来てもちゃんと学校に行って平凡にサラリーマンやってくれたらそれでいいと思っている。しかもあと10年もすれば時代が変わってくるかもしれないしな」


「どういう意味?」


「科学の進歩がめざましいって事だよ。今はPHSが主流だけど携帯になってどんどん小型化されていくと思う。インターネットも当たり前のような世界が」


「インターネット?」


「まぁそういう時代が来るって事だよ」

食後のコーヒーを飲みながらちょっと未来の事を教えてみたが理解できないようだ。

それもそのはず。あと20年もしたらネット社会になってるわけだから。この時代のインターネットはまだ発達していない。

だから今は何を言っても無駄なのだ。例えばスマホとかね。


「真吾はたまに未来から来たような事を言うのね」


「これからの時代は情報が武器になる。学校のパソコンの授業あるかわからないけどしっかり勉強しておいたほうがいいぞ」


「うん。わかった」

そしてコーヒーを飲み干す。


「よし、ジムに戻るか」


「うん。午後からも頑張る。ボクシングって楽しいね」

お会計を済ませるとジムに向かった。

「お嬢ちゃん午後からはもっと厳しくいくぞ~覚悟しておけ」


「はい。よろしくお願いします」


「まずはランニングマシーンで走ってもらおう」

綾はコーチに任せても大丈夫だな。俺は俺の出来る事をしよう。

そして準備運動を始めた。

しばらく自主練をしていると小柳が入ってきた。

俺の方に向かってくる。


「今日は午前中バイトでね。午後から鍛えようかと思ったんだ。尾崎君は朝からいるの?」


「こんにちわ。俺は10時ちょい過ぎくらいからいますよ。ずっと自主練です」


「尾崎君頑張ってるね~辛くないの?」


「辛いと思ってたら来ませんよ。楽しいからやってるだけです」


「最近練習するのがきつくなってきたんだ。バイト忙しいってのもあるんだけどね」


「たまにはゆっくり休んだらどうですか? 気分もリフレッシュしますよ」


「休んでる間にライバルが練習してると思うと休めなくてね。ちょっと追い込まれてる感じ」


「そういう時こそゆっくり休んでまた新たな気持ちで頑張ればいんですよ」


「そうだね。明日は仕事も休みだし家でゆっくりしようかな」


「たまにはダラダラするのも気分転換になっていいですよ。俺は学校とか色々な事が嫌でジムに逃げてる感じですけどね」


「楽しく練習できてるんだね。羨ましいよ。じゃあトレーニングあるのでまたね」


「応援してますよ。頑張って下さい」


そうして小柳は準備運動を始めた。

しばらくして綾が着替えて戻ってきた。


「今日の練習はもう終りだって。真吾まだ続ける?」


「あぁ。俺もそろそろ上がろうかな。ちょっと疲れてきたし」

そしてコーチに挨拶をして家に帰った。


「ちょっと眠いな。今日は夜遅くなりそうだし」


「じゃあ一緒にお昼寝しましょ」


「その前にシャワー浴びてくるわ。本でも読んで待ってて」

そして俺はシャワーを浴びて着替えた。

「綾もシャワー浴びたら?」

「うん、シャワー借りるね」

綾が部屋に戻ると綾が俺の手を掴んでベッドまで連れてきて横にされた。


「腕枕して」


「そのくらいならいいよ。マジでちょっと眠い」

そうして綾に腕枕をして眠りについた。

起きたら17時だった。

綾を起こすと目を擦りながらよく寝たといっている。


「今日は集合ちょっと早いぞ」


「じゃああたし集会の用意があるから帰るね。また後で会いましょ」

そして綾を外まで見送った。


「今日は楽しかったわ。また今度遊ぼうね」

そう言って綾のゼファーは走り去って行った

しばらくして原と真也が来た。

「おぅ。またゲームでもしにきたか?」


「ま~いつも通りだね」

原が言った。

「今日は18時45分になったら出かけるからそれまで好きにしてていいぞ」


「18時45分ってもうすぐじゃん。集合時間早いの?」

真也が言った。

「今日は公園に19時集合なんだよ。だからお前達は好きにしてていいぞ」


「そういえば今日皇帝エンペラーも20時集合なんだよね」

原が答えた。

「まぁそれまでダラダラしてるといい。んが今日の戦争の事は忘れるなよ」


「わかってるって~。心配しなくても先陣切ってやるよ」

真也がそう答えた。

そんなやりとりをしてる間に18時40分が過ぎた。

原と真也はいつも通りゲームをしている。

そして窓の外からV8サウンドが聞こえた。


「じゃあ俺先に行ってるから。お前等も気をつけて来いよ」


「いってら~」

2人声を揃えて言った。

外に出ると柏が立っていた。


「お待ちしてました行きましょう」


そういって俺はリンカーンマークVの助手席に乗り込む。


公園に着くと神鬼没のメンバーがもう集まっている。

いったいいつからここにいるんだと不思議に思ってしまった。

柏にコーヒーを買いに行かせるとブランコの所へと向かった。

すると綾が近づいてきた。


「さっきまでは楽しかったね。また今度ジム連れてってね」


「いつでもいいよ。体動かす事は良い事だし」


「それと今日はちゃんと守ってね」


「余裕があればな。自分の身は基本自分で守れよ。戦場なんだから余裕はないぞ」


「わかってるよ」


「神鬼没のメンバーや高橋を応援してきてやれ」


「うん。わかった」

そうして綾は神鬼没の輪の中に消えて行った。

しばらくすると神埼が来た。


「今日は俺1人で頭2人取ります。いいですよね?」


「あぁ。神埼に任せた。俺は竹内の火消しをやるよ」


「井森なんぞに遅れは取れません。俺1人で十分だという事をみせます」


「頼もしいな。しかし気をつけろよ。1VS1と1VS多数では状況が全然違う。まして相手は総長クラスだ油断はするなよ」


「ご心配には及びません。俺がキッチリ頭獲りますよ」


「キレるなよ。冷静にやれよ」


「わかってます。ある程度手加減してやりますよ」


「それは頼もしいな。では宜しく頼んだぞ」


「わかりました」


「神埼も神鬼没の輪の中に入って来いよ。レディース達が待ってるぞ」


「ハイ。そうします」

そして神埼は神鬼没の輪の中に消えて行った。

しばらくすると裕子が近づいてきた。


「またこんな所で1人ぼっち?」


「ここにいると色んな奴等がくるんだよ。ぼっちじゃない」


「今日の戦争頑張ってね。明日デートなんだから怪我しないでね」


「あぁ。明日デートの約束だったっけ。まぁ俺は何もしないから怪我もクソもないんだけどね」


「日曜日デートしようねっていったじゃん。だから無事に帰ってきて。公園で祈ってるから」


「大袈裟だなあ。俺の事は心配しなくていいって。柏の心配でもしてやれ。あいつ多分ボロクソになって帰ってくるぞ。予想だけどな」


「正樹はどうでもいいの。真吾が心配」


「俺は誰にも負けはしない。俺の心配はいいから柏のとこいってやれ。アイツ喜ぶぞ」


「うん。わかったわ。どうか無事に帰ってきて。待ってるから」


「ご心配ありがとう。俺は大丈夫だからさ」


「じゃあ正樹の所行ってくるね」


「じゃあな。また後で」

そしてブランコで1人コーヒーを飲みながら考えていた。

綾を守りながら竹内の援護を出来るだろうか?っと。

最悪綾ならそこらの男よりも強いと思うから平気っちゃ平気だと思うけど人質にとられたら詰むしな。

そんな事を考えてると柏が近づいてきた。


「そろそろ埠頭に移動しますよ」


「おぅ。わかった」

そしてリンカーンマークVの助手席にのるとレディース達の応援を受けて埠頭へと向かった。

埠頭に着くと物凄い台数の車とバイクが居た。

もう黒鴉ブラッククロウ悪魔サタンは着いてるようだった。

竹内達の近くに行くと各総長にグループを作るように指示した。


すると黒鴉ブラッククロウ悪魔サタン皇帝エンペラーと神鬼没のグループが出来上がった。

喧嘩しないように雑談するように各総長に指示をした。

竹内は皇帝エンペラーの偵察部隊に黄色い鉢巻を渡し各族に手渡してるようだった。


各総長と神埼、綾、俺が集まり話し合いの場が設けられた。

「今日は井森と神埼に頭を獲ってもらう、各親衛隊は竹内さんの周りに集め特攻隊、切り込み隊は総力戦だ。1人で1~2人相手してもらう事になるがそこは問題ないと考えている。石川も竹内さんの護衛だ。柏と2人で竹内さんにザコ共を近づけさせるな。とは言っても相手も竹内さん対策でそれなりに強い奴等を集めてると思うので油断するなよ」

俺がそう言うと柏と石川が頷いた。


すると井森が言ってきた。

「うちは親衛隊は連れて来てない。全員切り込み隊だから全員前にだしていいか?」


「30人位竹内さんの周りに入ってもらってあとは全員戦ってもらって構わない」


「わかったメンバーを選別しておく」


黒鴉ブラッククロウは混合で連れて来た。親衛隊は皇帝エンペラーの頭と俺の周りに展開させよう」

石川がそう言った。


「そうしてくれると助かる」

俺がそういうと井森と石川はメンバーを集めて作戦会議をしていた。


「今回俺の出る幕は無さそうだな」

竹内が言う。


「そういうのフラグって言うんだぜ。問題無いとは言い切れない。敵もそれなりの戦力を投じてくると思われるからな」

俺は竹内にそう言う。


「ま~兵隊ザコに負ける様なら皇帝エンペラーの総長を辞める」

竹内がそう言った。喧嘩には絶対の自信があるのだろう。


「そうそう言い忘れてたが今日は1人見物人が来てる。神鬼没のレディースの頭だ。基本俺が守るからみんなは竹内さんを守ってくれ」

俺がそういうと綾が挨拶した。


「江川綾です。今日はどうしても見たくてついてきちゃいました。皆さんの邪魔はしないようにしますのでよろしくお願いします」


「これはまた綺麗な子を連れてきたな。尾崎さんの彼女かい?」

井森がそう言った。


「元カノです。今は別の人と付き合ってますが真吾の事はまだ諦めていません」

綾がそう言った。


「人質にでも取られたら大変だぞ」

あせって石川が言った。


「俺が責任を持って綾を守るから心配しないでくれ。俺の強さはみんな知ってるだろ?」

俺がそう言った。


「江川の守りは尾崎に任せよう。俺なら何の心配もいらない」

竹内がそう言った。竹内も俺を信じてくれているのだろう。


「皆は自分の役割だけ忘れないでくれ」

俺がそう言うと神埼が口を開いた。


「10分持たせてくれたら頭は必ず獲る。だから10分粘っててくれ」


「そうだな10分も必要ないんじゃないか?」

井森がそう言った。


「頭を倒すだけだったら5分あればいい。しかし簡単に倒しては恐怖を植えつける事はできない。相手がもう二度と手出ししたくないという絶望感を味わわせなければならん」

神埼がそう言った。


「そうだな。相手に恐怖と絶望感を与えなければ勝利とはならないだろう」

竹内がそう言った。

そうこう話してるうちに21時前になった。

すると予定よりも早く青龍連合せいりゅうれんごうが着いた。

石川と井森は自分の部隊を集め情報を伝えた。


「準備に抜かりは無い」

竹内がそう言った。

青龍連合せいりゅうれんごうの頭らしき人物近づいてくる。


「そっちの頭は誰だ?」


「俺がこの場の頭だ」

竹内が言う。

「今日でこの街の族も終りだな。せいぜいゆっくり眠るといい」

青龍連合せいりゅうれんごうの頭の1人がそう言った。


「聞いていた人数より多くないか?」

青龍連合せいりゅうれんごうの頭のもう1人が言う。


「所詮は烏合の衆纏めて蹴散らしてやる」

青龍連合せいりゅうれんごうの頭の1人がそう言う。

そして青龍連合せいりゅうれんごうの頭は人混みに紛れて行った。


「神埼、井森、相手の顔覚えたか?」

俺が神埼と井森にそう伝えると神埼が答えた。


「わざわざ殺してくれと言いにきてるようなもんですよ」

「そうだな顔出さなければ分からなかったものを」

井森がそう言った。


「他を確認しないとは馬鹿だな」

神埼がそう言った。


「えぇ馬鹿ですね」

井森が言った。

青龍連合せいりゅうれんごうの頭が1番奥へと引っ込むと声を荒げた。


「いけ~1人残らず叩き潰せ~!」

すると竹内も叫んだ。


「全員血祭りに上げろ~!」

そして戦争が始まった。


神埼と井森、そして皇帝エンペラーの精鋭隊が切り込み隊の後に付いてゆく。

悪魔サタンのメンバーは強かった。あっという間に敵を薙倒していく。

戦争の中先に総長の元へと辿り着いたのは青龍連合せいりゅうれんごうの方だった。

1人1人が結構な強さを持ってると見た。

皆竹内に向かってゆくが親衛隊に阻まれていた。

それでも抜けてきた奴等は柏と石川が相手をした。

柏も1VS1なら負けなかった。しかし取り囲まれてやられ始める。すると石川が柏の援護に回った。

次第に状況は巻き返していた。

柏と石川を無視して強引に竹内に近づく者さえいた。

何人か竹内の側まで辿り着くものの竹内に倒されていた。


そして女に気が付いたのか綾の方にも相手の精鋭部隊が走ってきた。

竹内の心配はいらないだろう。綾に近づいてくる相手を全て俺1人で処理した。

そして俺の強さに気が付いた連中は綾に近寄らず竹内の方へと走って行った。

その頃神埼と井森と皇帝エンペラーの精鋭部隊は敵の総長の元へと辿りついた。

青龍連合の親衛隊は皇帝エンペラー悪魔サタンの精鋭隊が相手していた。数が少ないのか弱いのか、見ていると一方的に相手を倒してるように見えた。

そして神埼を井森は青龍連合せいりゅうれんごうの頭の元へと辿り着いた。


「ほぅ。俺達の前までくるとはやるな。だがお前等如きじゃ俺等を倒せない」

青龍連合せいりゅうれんごうの頭の1人がそう言った。

「その言葉そのまま返してやるぜ。今から挽肉にされるんだからよぉ」

神埼が挑発した。


そして神埼と井森が戦闘状態に入った。

状況は予想通り神埼が圧倒していた。

井森もなかなか強かった。

神埼が相手を一方的にボコボコにして気絶させる。

それを見た井森は神埼に対し恐怖を覚えた。

そして目の前にいる敵に拳をぶつけた。

結構いい勝負だったが神崎が乱入して青龍連合せいりゅうれんごうのもう1人の頭はボロボロにされた。

地面を這いつくばるように青龍連合せいりゅうれんごうの頭は激痛にのた打ち回る。


それでも神埼は攻撃を止めようとはしなかった。

起こしては殴り、倒れては蹴りを浴びせていた。

井森がヤバイと思い神埼を止めに入った。

皇帝エンペラー悪魔サタンの精鋭隊は親衛隊を倒し神埼に魅入っていた。

井森の制止を無視するかのように神埼は攻撃の手を止めない。


「これ以上やったら死んでしまいますよ。尾崎さんに怒られますよ!」

井森が大声で言うと神埼は殴るのを止めた。


「スマンな。ついスイッチが入っちまって」

神埼が冷静さを取り戻した。

神埼に袋叩きにされていた青龍連合せいりゅうれんごうの頭は失禁していた。

そして気絶してるもう1人の頭にちかより揺さぶった。


すると気を取り戻したようで神埼に詫びを入れていた。


ボロボロになった青龍連合せいりゅうれんごうの頭2人は戦争してる兵隊に対して止めるよう大声で言った。

こうして戦争は終わった。

ボロボロの青龍連合せいりゅうれんごうの頭2人に対しちょっとやられた井森、そして無傷の神埼が立っていた。


「あんたがこの中で1番強いのか?」

青龍連合せいりゅうれんごうの頭の1人が神埼にそう言った。


「残念ながら俺は1番じゃねえよ。お前等来い」

そして俺の前にボロボロの2人がやって来た。


「その人は俺より強い。下手な事口にしたらシバキ上げるぞ」

竹内も近寄ってきた。


「この度はスミマセンでした。二度とこの街には手出ししません。許して下さい」

すると俺は悪魔のような笑みで2人にこう言った。


「ちょっといい話があるんだが乗らないか? 乗らないなら神埼にまた相手してもらう事になるが」

神埼が指をポキポキさせている。


「ハイ。何でもします。許して下さい」


青龍連合の頭の1人がそう言った。


「ではPHS番号を教えたまえ。もし出なかったら神埼をけしかけるぞ」


「はい。わかりました」


そうして青龍連合の頭2人のPHS番号をゲットした。


「あとお前等竹内さんに詫び入れろ」


皇帝エンペラーの総長、すまなかった許してくれ」


「二度とこの街に手出すんじゃねえぞ! 分かったか!」


「ハイ」


青龍連合せいりゅうれんごうの2人は同時に声を出した。


「じゃあ君達今後俺の奴隷ね」


俺がそう言うと青龍連合せいりゅうれんごうの割と綺麗目な服の奴が言ってきた。


「奴隷だと! ふざけるな。俺達を何だと思っている」

俺が答える。


「あ~っそう。神埼、やれ」

すると神埼がボコボコにし始める。見ていて痛々しい光景だった。


「分かった。奴隷でもなんでもいい。許してくれ」

青龍連合せいりゅうれんごうの頭1人がそういうと俺は神埼を止めた。


「まぁ奴隷っつってもお前等にリスクはないから安心しろ」

青龍連合せいりゅうれんごうの2人は神埼を見てビビッていた。


「あんた神埼さんより強いのか?」

青龍連合せいりゅうれんごうの頭の1人はそう言った。

「あぁ強いよ。ただ情けがある分神埼とは比べ物にならないくらい大人しいがな。神埼は強いが感情のコントロールが出来ていない。ゆえにお前等は必要以上にボコボコにされたんだよ。俺が相手なら負けはしないがそこまでボロボロになることはなかっただろう」

俺はそう言った。


「じゃあ1番強いやつは皇帝エンペラーの総長なのか?」

|青龍連合の頭の1人がそう尋ねてきた。

すると竹内が答える。


「俺が最強だとは思いたいが神崎とタメだろうな。まだ本気でやりあったことはないんでな。早くこの場から立ち去れ」

そういうと青龍連合せいりゅうれんごうの頭は逃げるようにして帰って行った。

そして埠頭から青龍連合せいりゅうれんごうがいなくなると竹内は言った。


「勝利だ!」


するとその場にいた全員が盛り上がった。

「井森、石川、ありがとうな。代表して礼を言う」

竹内がそういうと井森が答えた。


「尾崎さんの頼みは断れないからな。また神埼さんにボコボコにされちまう。それにしても間近でみた神埼さんはやばかったわ。自分の獲物すぐに倒して苦戦してた俺の獲物までボコボコにするんだからな」


「あの程度のザコにやられてるようじゃまだまだ甘ぇよ」

神埼がそう言った。


「尾崎に向かってった奴が途中から俺の方に来たけど何かしたのか?」


「さぁ。俺は目の前の4人位をボコボコにしただけだからな」


「そりゃ精鋭部隊が目の前で4人もボコボコにされたら獲物を変えるわな。江川とか言ったな、尾崎が側に居て安心だったろう」

竹内がそういって笑った。


「真吾は誰が来ても負けないって信じてますから」

綾がそう言った。


「柏ぁ、お前帰ったら説教な」

俺がそう言うと柏が答えた。


「何でですか。メッチャ頑張りましたよ」


「お前ボコボコじゃん。石川が助けに入らなかったらどうしてたわけ?」


「それは・・・・・・」


「やっぱり帰ったら説教な」

綾がクスクスと笑う。

そしてみんな笑い出した。


「井森、石川、ありがとな。助かったよ」

「いえいえ尾崎さんの頼みとあらば何でもしますよ」

石川が調子よく言った。


「神埼さんと一緒に戦えて勉強になったよ。俺もまだまだだな。もっと強くなったら神崎さんに再戦申し込みに来るよ」

井森が言う。


「そんな時は一生こねーよ。実力差が圧倒的に違いすぎるんだよ」

神埼が言った。


「それでもいつか倒して尾崎さんと勝負しにきますよ」

井森が言い返す。


「そりゃ楽しみだ。せいぜい現役中に来てくれよ」

神埼が微笑みながら言った。


「今日はもう遅くなったし解散にするか。井森と石川も自分の県に帰らないとだろ?」


「名残惜しいですがここでサヨナラですね。また何かあったら気軽に声かけて下さい」

石川が俺の問いに答えた。


「俺はもっと強くなって戻ってくる。それまで負けるんじゃねえぞ」


井森がそういって悪魔サタンを集める。


石川も黒鴉ブラッククロウを集めた。


「じゃあ俺たちはこれで帰ります」

そういって車とバイクの集団を見送った。


「俺たちも公園に戻るか」


「ハイ」


「じゃあ先に戻って報告しておく」

神埼がそう言ってジェイソンに跨った。


「竹内ぃ。俺との勝負忘れんなよ?」

そう言って神埼が猛スピードで走り去って行った。

俺は竹内に聞いてみた。


「勝負って何かするのかい?」


「あぁちょっとな。尾崎には関係の無いこっちの話だ」


「ほぉ~怪しい。何を隠れて楽しそうな事しようとしてるんだ?」


「まあ俺と神埼の因縁みたいなもんだよ」


「あっそ~俺には関係ないのね。綾、柏いくぞ」

綾がゼファーにエンジンをかけた。


そして竹内に一言挨拶して帰っていった。

リンカーンマークVを持ってきてもらった。

助手席に乗り込むと竹内が言ってきた。


「今日は本当にありがとうな。皇帝エンペラーだけで勝てる相手ではなかった」


「いいですよ。同じ街に住む者同士仲良くしましょう」


「尾崎。ありがとな」

そういうとリンカーンマークVが空気を読んだの如く走り出した。

帰りの車内で俺の説教が始まる。

「なんで一気に複数相手にしようとするの? 言ったよねえ? 1人相手ならそこそこイケるって」


「敵が複数きたもんでついどれに手出していいかわからなくなって気が付いたら囲まれてました」


「1人ずつ落ち着いてやれば負ける相手じゃないんだから。お前さあ、ついこの間までこの街で3本指に入るって言われた強さ持ってんだろ?」


「3本指っても上が竹内と神埼ですから差はありすぎますよ」


「言い訳はいらん。お前今度特訓な」


「そんなぁ~」

そうこう話してる内に公園に着いた。

柏に缶コーヒーを買ってこさせるとまたブランコに向かった。

一足先に神埼がレディース達に俺たちの勝利を伝えたらしく神鬼没のメンバーを出迎えていた。

すると何人かのレディースの集団が来て取り囲まれた。


「えっ? 何かした?」


「今日は総長を守ってくれてありがとうございました。ずっとついていきます」

そういって一同俺に礼をしてきた。


「まぁそんなのはいいって。頑張った神鬼没のメンバーの所行ってやりな」


「ハイ! 失礼します」

そういってレディース達は戻っていった。

すると裕子が来た。


「大活躍だったらしいじゃない。綾から聞いたわよ」


「大したことはしてないよ。4人位相手しただけだし」


「それでも無傷なんて凄いよ。正樹なんかまたボコボコだよ」


「あぁ。それなら説教しておいた」


「明日はデートね。10時位に真吾の家に行くからね」


「分かったよ。柏の所行ってやりな」


「うん。わかった。またね~」

しばらくすると柏が来た。


「家までお送りします」


「おぅ。頼むわ」

そしてリンカーンマークVの助手席に乗り込む。


「今日は本当に勝ててよかったです」


「お前は負けたけどな」


「それを言われると痛いです」


「まぁ当分この街にちょっかいかけてくるやつもいないだろう。噂はすぐに広まるし」


「そうですね。やっと平穏な日常が戻ってきますよ」

そうして雑談してると家の前に着いた。


「今日はお疲れ様でした」


「あぁ。またな」


「またよろしくお願いします」


「出来れば集会とかは行きたくないんだけどな」


「尾崎さんが来ないと荒れるんですよ~」


「お前がしっかりしてないからだろ。特訓の件忘れるなよ」


「ハ・・・・・・ハイ」


シャワーを浴びてパジャマに着替えると部屋の明かりを消してベッドに潜った。

原と真也は来ないっぽい。


そうして俺の長い1日は終りを告げた。



Coming soon!!

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