第26話 ~乱戦其の壱~
朝教室に行くと柏が待っていた。
「お疲れ様です。今日竹内が族長会議やりたいと言ってますがどうします?」
「昨日の今日でまたやるのか、最近忙しいな。まぁ、出てやるよ」
「では出るように伝えますね」
「神鬼没も埠頭に連れて行くぞ」
「ハイ。20時に公園に集めます。尾崎さんの家には19時30分に行きます」
「おぅ、待ってるよ」
あゆが口出ししてきた。
「また喧嘩でもするつもり?」
「族長会議だよ。喧嘩するとは言ってない」
またまたフラグが立った様な気がした。
「危ない事しないでよね」
「ハイハイ、わかりましたよ」
そしてあゆと雑談しているとホームルームのチャイムが鳴る。
出席を取ると爆睡した。
4時限目に体育があるといい起こされた。
クラスを移動して着替えをしてると男子が女子の着替えを覗きに行くと言っていた。
着替えを覗いてた連中は女子に気ずかれボコボコにされた。
「あゆちゃん育ってたよ」覗いてた1人が報告してくる。
「別に興味ないから」そう言って無視した。
今日もグラウンドでマラソンという事でひたすら走っていた。
女子の揺れる胸を見ながら、ちょっと興奮してしまった。
あゆに近づく。
「お前ホント体力ないな。子ギャルでもマラソンくらいできないと」
「うっさいピンク!体力には自信ないのよ」
そして俺は爆走を続け何人もの生徒を周回遅れにするほど走った。
マラソンの後は100m競争をやらされた。
瞬発力も自信がある。
ブッチギリで1位だった。
陸上部が悔しそうにしている。
でも日頃のトレーニングの成果なのだ。
そして授業が終わるとまた着替えをした。
汗ビッショリだ。
タオルで身体を拭くと学生服に着替えた。
男子はまた女子の着替えを覗きに行って、バレてボコボコになって帰ってきた。
昼休み裕子が遊びに来る。
「日曜日のデート忘れないでね。一緒にお昼しましょ」
そうして裕子と一緒にお昼を食べた。
そして雑談をしながら昼休みは過ぎていった。
そしてあゆにノートを借り授業の内容を覚えた。
午後からは体育の疲れもあってかグッスリ眠れた。
授業が終わっても俺は寝ていた。放課後を過ぎても爆睡していたのだ。
掃除当番に起こされると俺は学校を後にした。
帰りにジムに寄っていく。
ジムにつくとコーチが言ってきた。
「ライト級ボクサーが移籍してきたぞ。紹介してやるからついてこい」
すると1人の男の所に案内された。
「彼が日本20位の上川勇人だ。仲良くするんだぞ」
「尾崎真吾です。よろしくお願いします」
「上川だ。尾崎君強いんだってね。小柳から聞いたよ」
「それほどでもないですよ」
「今度スパーリング付き合ってもらっていいかな?」
「是非ともお願いします」
「じゃあ約束だよ」
「暇な時相手させてもらいます。今日はちょっと寄っただけなので」
そう言って握手をした。
準備運動をしてサンドバックを叩き始めた。
腹筋、腕立て、縄跳びをしてまたサンドバック叩きの繰り返しだ。
そうしてる間に日が暮れた。
「コーチ、遅くなってきたので帰ります」
「おぅ、尾崎また来いよ」
そしてジムを後に家に帰った。
家に帰ると原と真也が居た。
「昨日集会やったばかりなのに今日も集会あるんだってさ」
原が言った。
「今日は俺も何も聞いてない。ただ神鬼没も連れて行く」
「また大人数でお喋りかな」
真也が言った。
「まぁ、そういう事じゃねえの」
俺は楽観視していた。この後に起きる事を全く予想していなかった。
「今日は19時30になったら家を出るからお前等は20時までゲームでもしてろ」
「神鬼没は集合が早いんだね」
原が言うと俺が答える。
「移動とかもあるからな。お前等最近デートはしてないのか?」
「最近集会続きでデートするヒマないよ」
真也が言う。
たしかに最近集会が続いてる。今日だって本当は集会は無しのはずなのになぜか竹内が集会をすると言っている。何かありそうだ。
「お前等また飯食ってくだろ? ちょっと母さんに言ってくるから待ってろ」
そしてリビングに行くと3人分の食事を用意してもらうよう言った。
俺は汗だくなのでシャワーに入る事にした。
「シャワー浴びてくるからゴロゴロしてていいぞ」
そう言って俺はシャワーを浴びた。
そして髪をセットする。
部屋に戻るとまだ原と真也はゲームをやっていた。
しばらくゲームをボーッと見てると、母さんから晩飯が出来たとの知らせが入った。
3人でリビングに行くとカレーがあった。
2人ともいただきますと言うと、カレーをもの凄い勢いで食べた。
俺はゆっくりカレーを食べると原と真也が喋り始めた。
俺がカレーを食い終わると部屋に戻った。
「あんなあせって食べなくても誰も取らないよ」
「だって美味しかったんだもん」
原が言う。
「真吾の家は恵まれてるよな~」
真也が言った。
「恵まれてるとは?」
「いつ来ても俺達の食事まで用意してくれるじゃん」
真也が言った。
「決して裕福じゃないんだけどな」
俺が言った。
そして原はゲーム、真也は漫画を読み始めた。
「新しいゲームと漫画買ってやろうか?」
「まだときメモクリアしてないしいいよ」
「俺も同じ漫画読むのが好きなんだ。面白いし」
「気が向いたら新しいの買ってきてやるよ。金には困ってないからな」
「いいなあその台詞、言ってみたいよ」
原が元気なくそう言う。
「そうそう、もうそろそろ単車の免許取れるんだぜ」
真也が言った。
「中古の
原が嬉しそうに言う。
「来週にでも免許は取れるぞ」
真也が言う。
「よかったな~2人でバイクの免許取れて、金儲けの話も次があるから楽しみにしとけ」
「親に必死に頭下げて金借りたよ。でも真吾の儲け話で借金はチャラだな」
真也が言う。
「今度はイカついから大儲けさせてやるよ」
「やった~」
原が喜ぶ。
そして真也もゲームに加わる。
俺はする事がないので大学受験のテキストを解いていた。
すると19時30分になった。
「俺そろそろ準備するからお前等は遊んでていいぞ」
そう言うと外からV8サウンドが聞こえてきた。
「じゃあいくわ」
「いってら~」
そして外に出ると柏が待っていた。
「今日も宜しくお願いします」
「おぅ。任せとけ」
「じゃあ行きましょう」
そしてリンカーンマークVの助手席に乗り込む。
「竹内何の用かな?」
「集まってから話すらしいです」
「物騒な話じゃなければいいな」
「集まってみないとわかりません」
そうして雑談をしてると公園に着いた。
もう何十人か神鬼没のメンバーは集まってるようだった。
柏に缶コーヒーを買ってこさせると、1人でブランコの所まできて座った。
ユラユラ揺られながら缶コーヒーを飲む。
すると神埼がやって来た。
「今日は嫌な予感がします。くれぐれも用心しといて下さい。族長会議は本来3週間から4週間に1回あるものです」
「俺も何か嫌な予感がする。昨日集会があって今日も呼び出されるなんて、何かあったに違いない」
「そういう事です。今回ばかりは何かあっても不思議では無いでしょう」
「まぁ、行って見ないとわからないさ。竹内は何も言ってないんだろう?」
「会ってから話すとだけ言ってました」
「まぁ、竹内に会ってみようじゃないか」
「そうですね。何か秘密を持ってる気がします。ご用心を」
「わかったよ。神鬼没の輪に入って来い。レディースがお待ちかねだぞ」
「ハイ、わかりました」
そうすると次は綾が来た。
「真吾元気ぃ?」
「あぁ、おかげさまで元気だよ」
「今日は緊急集会なんだってね。何があるんだろう」
「いい話があるとは思えない。緊急事態なんだろう」
「真吾なら何が来てもヘッチャラよね」
「まぁ、表に出ることは無いと思うが」
「今度またデートしましょうよ」
「あぁ、今度な」
「日曜日なんてどう?」
「悪い。日曜日は先約が入ってるんだ」
「まぁ、平日でも真吾の家に行けるしね」
「平日でも別にいいよ」
「ほら、高橋が来たぞ。行ってやれ」
「じゃあ、またね♪」
そして綾は高橋の元へ行った。
神鬼没でかくなったよな~。とか思いつつ、缶コーヒーを飲みながらボーッとしていた。
しばらくすると柏が大声で叫んだ。
「埠頭に移動だ~!」
そして柏が近づいてくる。
「お待たせしました。行きましょう」
「あぁ、行こうか」
そして神鬼没は埠頭に移動を開始した。
埠頭に着くと竹内に
竹内はそれを皆に伝える。
そして竹内に呼ばれ竹内、柏、神埼、俺の4人になった。
「実は昨日ゲームセンターから戻ってきたら千葉県から喧嘩売られてる事が分かった。偵察隊が喧嘩売られたと戻ってきてな」
竹内が言うと、俺は質問した。
「相手はどんな奴等だ?」
「相手は2つの族が手を取り合った
竹内がそう言った。
ハイ、フラグ回収。
「数では圧倒的に不利か」
柏が呟く。
竹内が口を開く。
「神鬼没は何人位いる?」
すると柏が答える。
「レディースを除くと400人だ」
「
竹内が言うと、神埼が答える。
「数なんて問題じゃねえんだよ。頭取った方が勝ちだ」
「今回頭は2人いる。片方取った位じゃ収まらねえ」
竹内が言う。
「じゃあ2人共取っちまえばいいじゃねえか」
神埼がタバコに火をつけながら言う。
「じゃあ
俺が提案する。
「そうしてもらえると助かる」
竹内が言った。
「いつ
「今度の土曜22時だ」
竹内はそう答えた。
俺はPHSで
そして電話に出た
続いて
「
「尾崎、感謝する。これでこっちは1450人か。悪くない数字だ」
竹内が言った。
「問題は
神埼が言う。
「心配ない、電話では友好的だったぞ。来なくても500人位の差は埋めれるだろう。それにしても立て続けに来すぎる。誰か裏で糸を引いてる奴がいるんじゃないのか?」
俺が言った。
「これだけの族を動かせるやつなんていない。もしかしたら暴力団が情報をリークしてる可能性はあるが」
竹内がそう言う。
「今度の作戦はどうしますか?」
柏が問う。
「今回も竹内さんと柏は陣頭指揮だ。
俺がそう言うと竹内が答えた。
「わかった。こちらも精鋭隊を用意しよう。とはいっても数は知れてるがな」
「俺は頭2人取ればいいんだな?」
神埼がタバコを吸いながらそう言う。
「戦闘が始まったら真っ先に頭2人を取ってくれ。頼んだぞ」
俺がそういうと神埼が答えた。
「ザコが1人増えようが関係ねえ。きっちり頭取らせてもらうぜ」
神埼はたしかに強い。だがこの自信はどこからくるのだろう。謎だ。
「竹内さん、黄色い鉢巻400本分用意してもらっていいか?
「あぁ、分かった。大量に余ってるのでそれを使おう」
「
俺は言った。
「かつて戦った事があるから言える事ですね」
柏が言った。
竹内が皆を集めて宣言した。
「土曜日に県外から戦争を仕掛けに来る。皆気合入れろよ!」
「「ウッス」」
すると
「今回は外部勢力が頼りだ。来なかったら終わりだな」
竹内が呟く。
「
俺がそう言う。
「まさかの千葉の族が連合組んで潰しに来るとは思わなかったぜ」
神埼が言った。
「いつか来るとは思っていたがまさか連合組むとは思わなかった。しかも相手は1500人クラスとはな」
竹内が言った。
「千葉県のほぼ全ての族だろうな。まさか族同士手を組むとは思わなかった」
神埼が言った。
「偵察隊によると相手も仲良しグループらしい。人数は多いが戦力はあまり無いと思われる」
竹内が言った。
「こっちには
柏が珍しく強気な事を言った。
「あぁ、たしかに
竹内が言った。
「相手が1500人クラスとなると親衛隊の数もバカにならないだろう。
俺がそういうと竹内が答えた。
「じゃあうちの切り込み隊は全部親衛隊潰しに回そう。言っても400人程度のはずだ。うちの切り込み隊は喧嘩が強いからな。歴代の総長も全て切り込み隊上がりだ。まぁ俺もだがな」
「柏ぁ敵が抜けてきても全体を相手にしようとするなよ。1人1人確実に倒していけ。お前はそこそこ強いんだからな」
俺が柏に声をかけると柏が返してきた。
「わかりました。なるべく1人ずつを倒すようにします」
「竹内さんは基本何もしなくていい。抜けてきた相手を倒す程度でいいよ」
俺は竹内にそう伝えた。
「尾崎、お前のとこに向かってきた相手はどうする?」
竹内が言った。
「原が盾になってくれますよ。崩れたら俺が直接相手を倒しますんで大丈夫です」
俺が答えると神埼が言った。
「敵が抜けてくる前に相手2匹の頭取ってやるから心配すんなって」
「相手の強さは未知だぞ。神埼より強い可能性だってある。ましてや2人共総長だ」
竹内が言う。
「
神埼がタバコを捨てるとそう言った。
やはりこの自信はどこからでてくるのか謎だ。
「とりあえず頭の処理は任せたぞ」
竹内が言うと神埼が答える。
「まぁ、大人しくみてるといい開始5分で頭両方とも潰してやんぜ」
「神埼がもしやられたら俺が前に出て総長を潰す。まぁ、そんな必要は無いと思うけどね」
俺がおちゃらけて言った。
「尾崎さんの手は煩わせませんよ。きっちりカタ付けます」
神埼がそう言った。
「神鬼没の特攻隊と切り込み隊はザコ討伐でいいんですよね?」
柏がそう言った。
「神鬼没の特攻隊、切り込み隊、
俺がそう言った。
「わかりました。皆に伝えておきます」
「加えて
俺がそう言うと竹内が言った。
「それでいこう。
「前回も前々回も
俺がそう言った。すると竹内が言う。
「そこら辺は任せてもらおう。切り込み隊は全て親衛隊を潰す方向で動く」
「こちらの親衛隊は全て竹内さんに付いてもらう。いいな?」
俺が言うと竹内が答える。
「神鬼没の親衛隊も全て俺に付いてくれ。今回は相手が多い。抜けてくる奴等も多いだろう」
「わかった。神鬼没の親衛隊も全て竹内に付けよう」
柏が言った。
「基本的な作戦は
俺がそう言った。
「ザコの頭なんて取っても面白くねえぜ」
また神埼はタバコに火をつけそう言った。
竹内もタバコに火をつけ言った。
「今回はデカイ戦争になるぜ。規模が今までとは違うからな」
「頭取ればそれで終了だろ?任せとけって。あっという間にケリつけてやんぜ」
神埼がそう言った。
「700人以上を束ねてる頭だ。相当強いと思え。仲良しグループでも竹内さんや神埼のような奴がいるかもしれない」
俺はそう言った。
「俺より強いのは尾崎さん位でここらで喧嘩強いってやつ聞いたことありませんよ」
神埼がそう言った。
「他県の事はわからないだろう?一応用心しておけ」
俺は神埼にそう言った。
「明日も緊急集会を開きたいんだが大丈夫か?」
竹内が言った。
「神鬼没は大丈夫だけどな」
柏はそう言った。
俺の意見は無視か?そう思った。
「俺明日来なくてもいいよね?」
俺が言うと柏が慌てて言う。
「尾崎さんいないと困りますよ。こうして
「しょうがないな、明日も出てやるか」
俺がそう言うと柏は言った。
「ありがとうございます。助かります」
そんな話をしてたら原と真也が俺に気付いてやってきた。
「真吾こんな所に居たんだ。結構探したよ」
原が言う。
「何を話してたんだ?」
真也が言う。
そして竹内が口を開く。
「原ぁ。向井ぃ土曜日は原が盾を向井が精鋭隊だ。気合入れていけよ」
「ハイッ!」
2人共元気よく返事をした。
「俺が真吾の盾になります」
原が言った。
すると竹内が言った。
「そうかそうか。友達思いの奴が居て本当にお前が羨ましいよ尾崎」
「無理はしなくてもいいからな。ヤバイと思ったら抜けさせろ。怪我しないようにな」
俺は原にそう言った。
「全部止めてみせるよ。任せておけって」
原は自信満々にそう言う。
「裕子と綾も来てるはずだから行ってやれ。お前達が行くと喜ぶぞ」
「うん。わかった」
原と真也はそう言うと
竹内が口を開く。
「よかったな~友達思いがいて」
「親友ですから」
俺が答える。
「じゃあ明日もよろしくな」
竹内が言う。
「あぁ、任せておいて下さい。明日には
俺は言った。
竹内が口を開く。
「この戦いは援軍にかかっている。尾崎、頼んだぞ」
「援軍が来なかったらボコりに県外へ行ってきますんで大丈夫ですよ」
俺は竹内にそう言った。
「援軍なんぞ来なくても俺が1人で何百人でもぶっ倒してやんぜ」
神埼が言った。
「じゃあ明日もよろしく頼むぞ」
竹内が言った。
この後怒涛の展開が待ってることを俺はまだ知らなかった。
Coming soon!!
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