第20話 ~炸裂~
朝学校へいくと柏が教室で待っていた。
「おぅ! 朝からどうした」
「今日緊急で族長会議があるんですよ。もし良かったら一緒に出てくれませんか。神埼も出席します」
「俺なんかが行っていいのか?」
「竹内がなんか話あるみたいなんですよ」
「おう分かった。今日何時だ?」
「20時に迎えに行きます」
そうして柏は一礼してクラスを出て行った。
「あんた族長会議にまで顔出すようになったの?」あゆが言ってくる。
「頼まれたら断れないタチでね」
「暴走族に関わるのやめなよ。危ないって」
「まぁ、族っても喧嘩あるわけじゃないからな」
フラグが立ったような気がした。
そうして雑談をしていた。
ホームルームのチャイムが鳴り出席を取るとクッションを抱いて爆睡した。
その日は特に何も無かった。
学校が終わるとチャリで家に帰った。
族長会議か、何か俺に用なのかな。
そう思っていると原と真也が窓から入ってきた。
「お前等教習所は?」
「今日はお休みだよ」原が言う。
「たまにはのんびりゲームでもしようと思ってね」真也が答える。
「まぁ久しぶりにゆっくりするのも悪くないな。楽しく遊んでいけ」
俺がそう答えると原と真也はゲームを始めた。
「そういえば今日緊急族長会議に呼ばれてな~。なんかあるんかな~とか思って」
「えっ!真吾が族長会議に!」
原が驚いて言った。
「神埼も来るよ」
「真吾もついに族長会議デビューか」
真也がそう言った。
「デビューって程でもないけど。だから今日は20時になったら帰れよ」
「しょうがないな~20時過ぎたら帰って教本でも見るか」
真也が言った。
「教本はいいけど勉強もちゃんとやってるか?」
「学校の勉強はボチボチやってるよ」
原が答えた。
「テストで赤点とらないようにな」
2人からの反応は無かった。
俺は2人のゲームしてる姿をずっと見つめていた。
「飯は食っていくか?」
「うん! ご馳走になる」
2人がそういったのでリビングに行き母に3人前の晩御飯を作ってもらうように言った。
そして30分が過ぎ晩御飯が出来たと知らせが来た。
3人でリビングにいくと「いつもご馳走様です」と、原が言う。
「遠慮しないでどんどん食べてね」母が言う。
そして3人で食事をすると部屋に戻った。
まだときメモにはまってるようだった。
「どうしても詩織ちゃん落とせないんだよな~」
原がそう言う。
「まぁ、そう簡単にはクリアできないようになってるのさ」
俺は答えた。
そうしてゲームを続けていく。
20時近くになった。
「お前等今日はもう出かけるから帰れ」
「しょうがないな~また来るよ」
原がそういい、真也も帰ってゆく。
まもなくするとV8サウンドが聞こえてきた。
「よぅ! 行くか」
「お願いします」
そういってリンカーンマークVの助手席に乗り込んだ。
「場所はどこでやるんだ?」
「
「そうか。俺が出席するのはなぜだ?」
「竹内から直々に来るように言われています」
しばらく雑談をしてると埠頭に着いた。
竹内と神埼も着いてるようだった。
俺は竹内に近づくと自己紹介する。
「尾崎真吾です。今後とも宜しく」
「俺は竹内信介だ。初めましてだな」
竹内も自己紹介した。
神埼、柏、竹内、俺で集まると俺は話を切り出した。
「今日なんで俺なんかが呼ばれたの?」
「実は明日静岡県から
竹内は物騒な事を言った。
ハイ!フラグ回収。
「
神埼が言う。
「相手は1000人を越える大所帯だ。とても
竹内が言った。
「一時休戦で共闘というわけか。ま~県外からの連中にこの街を荒らされるのは嫌だからな~。どうします尾崎さん」
柏が言う。
「よし、分かった。協力しよう。その代わり半年は神鬼没に手を出さないと約束してくれ」俺は提案する。
「分かった。神鬼没には手を出さないと約束しよう」
「んで、決戦場所はどこだ?」
「この埠頭に来ることになってる」
竹内が言う。
「じゃあ明日、この場所に神鬼没全員連れてくる。喧嘩にならないように竹内からも言っといてくれ」
柏がそう言う。
「わかった。
竹内が言った。
「しっかし、なんで県外から遠征になんて来るのかねえ~」俺が呟くと竹内は、「横浜は日本でも有名だ。だから潰しに来るんだろう」
「どんな部隊編成なんだ?」俺が問うと竹内は答えた。
「総長に親衛隊、特攻隊、切り込み隊に偵察隊の4グループに分かれてる。それぞれの規模はかなり大きい。偵察隊から昨日連絡が入って宣戦布告してきた」
「わざわざ負けに来ることはないだろうに。俺が潰してやんぜ」
神埼は意気込んでいた。
「じゃあ
俺はそう提案した。
「それがいいかもな。いざとなったら幹部も全員出撃だ。敵の頭の強さは分からない。1000人を束ねる総長ともなるとかなり強いだろう」
竹内が言った。
「総長討伐には柏、神埼、高橋、近藤を当てる。
「分かった。こっちも何人かピックアップして頭対策に備えよう」
竹内が答える。
「頭がやられると終りだ、竹内さんはこの戦闘に参加しないでくれ。陣頭指揮を取ってもらう。もし頭を倒せなかったら俺が相手の頭をやる。それでいいな?」
俺はそう提案した。
「わかった。尾崎とやらに任せるよ」
「頭なんぞグチャグチャの挽肉にしてやんぜ」
神埼が笑いながらそう言う。
「1000人を束ねる頭だ。相当強いと思え」
俺は神埼にそう言った。
「所詮俺達の敵じゃない事を見せてやりましょう」
柏がそう言う。
「協力感謝する。昨日の今日でどうしようかと思ってた所だ。援軍が来ると安心出来る」
竹内がそう言った。
「明日は戦争だ。俺たちの街は俺たちが守る」
神埼がそう言う。
「無理しなくていいからな。いざとなったら俺が頭を潰す。まぁ出番は無さそうだが」
「戦力を確認させてくれ
「今回レディースは入れないから神鬼没は350人だ。この戦争に女を投入するわけにはいかない」
「950人程度か、悪くない数字だな。総力戦でもいいとこいけるだろう。こっちは武闘派もいるわけだしな」
竹内が言う。
「元鬼没だけでもかなりの戦力になるぜ。日常的に喧嘩してたからな」
柏が答える。
「ところで明日は何時に
俺の問いかけに竹内が答える。
「22時に埠頭に来る事になってる。静岡県からだから多少時間はズレるかもしれないがな」
「じゃあ神鬼没と
俺はそう提案した。
「わかった
「神鬼没はとりあえず公園に19時30分に集合させますね。移動もあるし」
柏がそう言った。
「おぅ頼むわ。俺の所には19時に来てくれ」
「尾崎よぉ! お前相当強いんだってな。街の噂になってるぞ。お前が頭を潰してくれると有難いんだが」
竹内が言った。
「俺はメンバーじゃなくてあくまでも影だ。前面に出ることは無い。ピンチになったら出るけどな。まぁ明日は仲良くやっていこうぜ」
そう言うと俺は竹内に握手を求めた。
すると竹内は手を握り返してきた。
「今の握手で分かったよ。あんたは強い。明日は宜しく頼む」
竹内が言った。
「要は頭潰せば勝ちだろ? そんなの俺等にかかれば余裕だぜ。俺等はこの街でも5本の指に入る強さだ、そんな俺等が組んだら相手なんて無いぜ!」
神埼が言う。
「柏ぁ。高橋に連絡を取ってレディースは明日公園で待機だと伝えておけ」
「江川に連絡とるなら尾崎さんの方がいいのでは?」
「何でも俺に頼ろうとするな。お前が神鬼没の頭だ。そこんとこ覚えとけ!」
「すみません。高橋に伝えます」
「明日は
そう言って竹内はタバコに火をつけた。
神埼もタバコを吸う。
「俺等ならま~負ける事はないだろう。俺が頭をとってやるぜ」
神埼が意気込む。
「まぁ明日になってみないとどうなるかわからんがな」
俺はそう呟いた。
「この街の族を甘く見てもらっては困る。力を見せ付けるいい機会だ」
竹内が言った。
「勝ったあとはどうする?俺の配下でいいか?」
俺は言った。
「それは任せる。県外の族なんぞに興味はないからな。好きにするといい」
竹内が答えた。
「じゃあ明日ここに集合な」
俺が言うと皆頷いた。
「じゃあ帰るとするか。おい柏帰るぞ。」
「わかりました」
竹内に挨拶すると俺はリンカーンマークVの助手席に座る。
そして埠頭を後にした。
「今回は共同戦線を張るが俺との勝負はついてねえぜ」
神埼が言う。
「わかってる。必ずケリは付けてやる」
竹内がそう言うと、神埼はジェイソンに跨りエンジンをかける。
「明日は頼むぜ」
竹内がそう言うと、神埼は猛烈なスピードで走り去って行った。
翌日、昼間はジムに行ってトレーニングをした。
そして夕方になると原と真也が来た。
「真吾聞いたかよ、県外から遠征軍来るらしいぜ。
「あぁ聞いてるよ。昨日その事で話し合ってきた。一時的に
「あぁ。切り込み隊長の座にかけて今日は負けねえよ」
真也も意気込んでいる。
「今日の集合はちょっと早いんだよな。何するのかな?」
原が聞いてきた。
「
そして雑談してると18時になった。
俺らは先行くわ。徒歩で合流だし。
「お前等、今日は気合入れていけよ」
「おぅ。任せとけ」
真也が元気よく答えた。
PHSが鳴った。相手は綾だった。
「真吾県外の暴走族と喧嘩するんだって?」
「あぁ。危ないからレディースは待機だ。公園でガールズトークでもしてろ」
「怪我しないでね。本当はあたしたちも行きたかったんだけど」
「俺の判断だ。レディースは今回の戦闘には参加させない。どんな連中かわからないからな」
「あたし達のこと心配してくれてるのね。真吾優しいね」
「顔に怪我してお嫁に行けなくなったら困るだろ?だから今回はレディースはお留守番だ。レディース同士仲良くやれよ」
「うん♪ わかった」
そしてしばらく雑談した。
「じゃあな。また」
「じゃあね♪」
そして電話を切った。
あっという間に19時だ。柏が迎えに来た。V8サウンドが聞こえる。俺は外に出た。
「今日は宜しくお願いします」
「あぁ。何も心配する事は無い。行くか」
そう言ってリンカーンマークVの助手席に乗り込む。
公園に着いたらもう神鬼没の大半が集まってた。
「
神鬼没のメンバーがそう言う。
「あぁ、共同戦線だ」
柏は答える。
周囲がざわめき始める。
柏にコーヒーを買ってこさせると時間までブランコで待った。
するとレディース達がやってきた。
どうやら応援にきたようだった。
レディースは神鬼没の輪の中に入って楽しそうにお喋りしていた。
綾は高橋と共にいる。
裕子がこっちに気がついて近づいてくる。
「真吾、怪我だけはしないでね」
「俺を誰だと思ってる。ザコ相手になんて負けねえよ」
そして裕子と雑談してると19時半になった。
「お前等埠頭に移動だ~!」柏が叫ぶ。
レディースに見送られながら神鬼没は埠頭へと向かった。
埠頭に着くと
竹内に神鬼没と
そして
15分おきにメンバーを交代させ。5人~6人グループを作るように竹内に命じた。
すると
原と真也が俺に気が付いて近づいてくる。
「真吾やっぱり来てたのか」
原がそう言う。
「まぁな。俺が来ないわけにはいかないだろ?」
「これで勝利は確実だな」
真也が言う。
そして竹内が近づいてくる。
「お前等知り合いか?」
原と真也は緊張している。
「はい、中学時代からの親友です」
真也が答えた。
「切り込み隊長として向井には頑張ってもらわないとな」
「原も頑張れよ。期待してるからな」
「はい!頑張ります!」
2人はそう言った。
すると竹内は神埼と柏の元に向かって行った。
「ハァ~、緊張した。総長に話しかけられるなんて思わなかったよ」
原が言う。
「緊張なんてするのか?あんなやつに」
「当たり前じゃないか。雲の上の存在だぞ」
原が言った。
「そんなもんかね~。お前等もグループの中に入って輪を広めておけ。特に神鬼没とは仲良くするんだぞ」
「うん、わかった」
原と真也はそう言って輪の中に入っていった。
俺は柏の元へ向かう。丁度いい事に神埼、竹内もいる。
「敵も総長である竹内さんを狙ってくるだろう。親衛隊を竹内さんの周りに重点的に配備しろ。神鬼没の親衛隊もだ。神埼は頭を潰せ」
そういうと竹内と柏は親衛隊を集めてその旨を伝えた。
皆を集めて気合を入れさせる竹内と柏。
そうして時間より早く
総長らしき男が近づいてくる。
「お前等今日で解散させてやんよ。覚悟しろ」そう言った。
「こっちこそ横浜の族の力見せてやんぜ」竹内が答える。
総長らしき男が戻ると合図を出す。
一斉にこちらへ向かってくる。
竹内と柏が「行け~!」と大声で叫ぶ。
大乱闘が始まった。
柏、神埼、高橋、近藤を呼ぶと頭を潰すように命じた。
包囲網を突破して何人かやってくる。
竹内を狙いに来たのだ。
そして竹内はあっという間に突破してきた奴等を倒すと、「お前等!気合入れろ~!」と雄叫びを上げた。
俺に向かってくる奴がいたが原が盾になってくれた。
「真吾はそこを動かなくていい。俺らがヤルぜ」
原が言った。
真也は敵の頭の元へ向かっていた。
高橋と近藤は乱戦に巻き込まれて戦っている。
柏と神埼が頭の元まで辿り着いた。
「総長さんよぉ~もう終りにしようぜ」
神埼が挑発する。
柏が殴りかかった。
何発かパンチや蹴りを当てたが相手の総長にやられた。
「柏を倒しただけでいい気になるんじゃねーぞコラ!」
神埼が雄叫びを上げた。
そして闘いが始まった。神埼が一方的に圧倒している。
そこへ
神埼1人でも倒せたのだが
そして相手の総長は地に膝をついた。
神埼は強かった。相手が地面に転がっても永遠と蹴りを繰り出していた。
しかし相手の親衛隊に取り囲まれる。
その中には真也の姿もあった。
相手の部隊も混戦をすり抜け竹内のもとへと何人か来た。
しかし竹内は強かった。5人をあっという間に倒した。
俺の元へも何人か来たが、原がボコボコになっているのに俺を守ろうとする。
相手の総長はもう虫の息だった。神埼が圧倒的な強さを発揮していた。
柏も起き上がって相手の総長に暴行を加える。
相手の総長は、「もう降参だ許してくれ」と言った。
柏はそれで攻撃を止めたが、キレた神崎は止まらなかった。
俺はヤバイと思い、相手の総長の所まで走って行った。
何人かの兵隊をなぎ倒しながら。
そして神埼の元へ辿り着くと、「神埼、もうその辺にしといてやれ。死んでしまうぞ」
すると神埼が冷静に戻り、「わかりました。敗北宣言をさせます」と言って相手の総長を立たせた。
「これ以上痛い思いしたくなければ、兵隊を止めさせろ」
相手の総長は震えながら「ハイ」といい、全員に撤退命令を出した。
竹内も「戦闘中止!」っと叫ぶと乱戦は終わった。
俺は相手の総長の元へ行き、「これからは俺の配下な。文句あるんだったらもっとボコにすんぞ!」というと、「わかりました。あんたの配下に入るよ」と言った。
PHSの番号も交換しておいた。
「あんたが頭なのか?」相手の総長がそう言うと。「そうだ。俺が本当の頭だ」と言った。
「一騎打ちしないか?」と言われたが相手はもうボロボロだ。
「神埼に勝てたら一騎打ちしてやるよ。神埼やれ!」
そういうと神埼が相手の総長をボコボコにし始める。
気絶しかかった所で「神埼、もういいよ」と声をかけ神埼を止める。
もしかしたら竹内よりも強いんじゃないかとも思った。
「今後一切横浜に手を出す事は許さねえ! 次は無いと思え!」
竹内が威圧すると相手の総長は失禁した。
そうして
「これもあんたのおかげだよ尾崎」
竹内がそう言ってきた。
「俺は特に何もしてねえよ。やったのは神埼だ」
「あの程度で総長なんて、尾崎さんの手を煩わすまでもねえ」
神埼は言った。
「勝利だ!」竹内がそう叫ぶと
見ると皆ボコボコになってる。
真也でもボコボコにされている。
俺は柏に近づき言った「お前、弱すぎるぞ。もっと強くなれ」すると「お恥ずかしい限りです。すみません」と言ってきた。
神埼に近寄ると「お前はやりすぎ。限度を考えないとそのうち人を殺しちまうぞ」と言った。
「ちょっとハイになってたもので。今後気をつけます」神埼はそう言った。
原と真也が近づいてきて、「やったな。勝ったぞ!」と真也が言った。
原に「俺を守ってくれてありがとう」と言った。
「友達じゃん。当たり前だよ」原はボコボコになりながらもそう言った。
「原、お前の戦いは見事だった、よくぞ友達を守ったな」
竹内がそう言った。
「とんでもありません。当たり前の事をしただけです」
原がそう言った。
「尾崎ぃ、友達思いの奴がいて良かったな」
竹内は俺にそう言った。
戦場で無傷だったのは竹内と神埼と俺だけだった。
他はみんな疲労困憊でボコボコにされていた。
「皆!よく頑張った!」竹内が皆をねぎらう様に叫んだ。
「ウッス!」という声が聞こえてくる。
「皆。おつかれさん。この街は守りきったぞ」柏が声高らかにそう言う。
すると神鬼没からも「ウッス!」という声が聞こえてきた。
「今後も協力関係を築いていきたい。よろしくな。でも俺の代で神鬼没は潰すからな」そう言って竹内が俺に握手を求めてきた。
「今回別に俺は何もしてないですから」
そういって握手した。
そして竹内は「神埼ぃ! ありがとな」と言った。
「あの位、俺の敵じゃねーよ。もっと強いかと思っていた」
神埼はそう言った。
たしかに神埼は頭1つ飛びぬけた強さだった。
さすが竹内と互角に喋りあえる仲だと思った。
「さぁ帰るぞ~!」柏は言った。
竹内は帰り際に柏と神埼と俺に礼を言ってきた。
「礼には及ばん、この街は俺たちの街だからな」柏がそう言った。
そしてリンカーンマークVに乗り込み公園へと向かった。
「なぁ柏ぁ、神埼と竹内ってどっちが強いんだ?」
「互角の勝負でしょう。あの2人の強さは頭1つ飛び抜けてますから。でも尾崎さんの方があの2人よりも強いでしょう」そう言った。
公園ではレディースが待っていた。
ボコボコになった神鬼没を心配そうに見て皆周囲に集まっていた。
高橋もボコボコだ。綾が心配そうに高橋の元へと行く。
裕子も心配そうに柏の側へ寄る。
他のレディース達も心配そうに皆に駆け寄る。
綾が俺の元へ来る。「真吾は怪我ないのね。良かった」
「俺には強力な盾役がいたからね。まぁいなくても良かったんだけど」
「高橋なんてボコボコよ。情けない」綾はそう言った。
裕子が近づいてくる。「真吾怪我なくて良かった。心配してたんだよ」
「俺は何もしてなかったからな。ただ観ていただけだ」
「怪我するかと思って心配してたんだよ」
裕子が言った。
「何あんた真吾にベッタリして離れなさいよ」綾が言う。
「あんたこそ真吾に馴れ馴れしいのよ」裕子が言う。
女の戦いが勃発しそうだった。
「まぁ俺はいいからお互い相棒の所に行ってやりな」
そういうと2人共俺から離れた。
神埼に近寄ると「今日はよくやった。今日の主役は神埼だな」そう言うと、「あんなカスみたいな奴には負けませんよ。数に物を言わせるだけの奴なんて所詮ザコです。竹内にだって負けませんよ」
「竹内も相当な強さだったぞ。5人相手に一瞬で勝ったんだから」
「ザコなんて何人来ても一瞬で倒せます。強い奴を倒せるかどうかですよ」
神埼は冷静に言った。
神埼の周りにはレディースが集まっていた。
神埼って妙に人気あるんだよな~。
「走りでもそのうち竹内とケリ付けますよ。公道レースで最速を決めるって約束しましたから」
「生きて帰って来いよ」
「もちろんです。死を覚悟して走ってても死ぬわけにはいきませんからね」
「神埼ぃ、女の相手でもしてやれ」
「ハイ」
そして神埼はレディース数人に囲まれた。
俺は柏に缶コーヒーを買ってこさせた。
その間神鬼没のメンバーとも少し話した。なんかみんな俺の事をビビッてる様子だった。
缶コーヒーを手に俺はブランコに腰掛けると、勝利で賑わう神鬼没達を見ていた。
すると裕子が近づいてきた。
「真吾活躍したんだってね。聞いたわ。みんなの士気を高めたって」
缶コーヒーを開けると俺は言った。
「別に今日は何もしてないよ。作戦を立てただけ。柏の方が頑張ったよ。相手の総長に怯まず戦って。まぁボコボコにされたわけだが」
「真吾なら先陣切って戦うと思ってたのに不思議だわ」
「俺をなんだと思ってる。今日は観戦してただけだよ。俺の元まで来れる奴は1人も居なかったよ。友達が盾になってくれたからね」
「原君と向井君?」
「そうだよ。原がボコボコになりながらも俺を守ってくれた」
「真吾なら勝てたんじゃない?」
「俺は表に出ないって決めてたんだ。
「それより柏の所にいかなくていいのか?」
「正樹なら神鬼没のメンバーと話しこんでるのよ。輪に入れない」
「勝利の余韻に浸ってるんだろう。みんなあんなボコボコになるまで頑張ったからな」
「正樹から聞いたんだけど相手の総長神埼君が倒したんだってね。神埼君って強いのね」
「あの強さは尋常じゃなかった。相手の総長をもてあそんでたからね。まぁ俺でも十分勝てる相手だとは思うけど」
「神埼君が余裕なら真吾だったら1発よ~♪」
しばらく話してると綾がやってきた。
「また2人で何をコソコソ喋ってるのかしら?」
「正樹が構ってくれないから真吾とお話してるだけよ。文句あるの?」
裕子が挑発した。
「あたしの真吾に何気安くベタベタしてるわけ。柏のとこ行きなさいよ」
綾が怒る。
「あなただって高橋の所いけばいいじゃない。真吾に何の用なの?」
「真吾とお話しにきたのよ。あなたこそどっかいきなさいよ」
「まぁまぁ2人共落ち着けって。同じチーム内で言い争ってどうする」
「真吾はあたしと綾どっちが好きなの?」
裕子が突然言ってきた。
「どっちも彼氏がいるだろ? 俺には答えられないよ」
「あたしの方が真吾の事好きに決まってるじゃない」
綾が言う。
「あたしだって真吾の事が好きよ。あんたなんかに負けないんだから」
裕子がそう言う。
「2人共自分の彼氏の所に行って来い。これは命令だ」
「またお話しようね♪」裕子が言ってくる。
「今度はあたしとお喋りしましょ♪」綾も言ってくる。
そうして2人はまた神鬼没の輪の中に入っていった。
やれやれ。あの2人はなぜこうも仲が悪いのかね~って原因は俺か。ハァ~そう心の中で溜め息をつく。
今回の一件のようにまた県外からのチームに狙われたりしないだろうか。俺はそう思っていた。
そんな予感がまだ続くとはこの時俺は思っていなかった。
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