第19話 ~願い~

朝目覚まし時計がけたたましく鳴る。

俺は目覚まし時計を壁に叩き付けると起きた。


前日夜更かしすると目覚まし時計のお世話になるのだ。

何も無い日は目覚ましよりも早く起きる。

朝飯を食って、髪の毛をセットする。

バッチリ決まった。

そしてチャリに乗って学校へ行く。



学校に着くとクラスメートがもう大半はいた。今日はちょっと遅すぎたか。

「おはよう!」と言ってクラスのみんなに挨拶すると「おはよう」と返って来た。

ホームルーム前のわずかな時間あゆと雑談する。


そして出席を取る。返事をするとわずか5分位で眠くなった。

しかし1時限目は体育なので起きてなくちゃいけない。

何が悲しくて朝から体を動かさないといけないのだ。

男女別にクラスを移動し着替えをする。

男子がまた女子を覗きに行ってボコボコにされて帰ってくる。

日常の光景だ。

覗きに行った男子が俺に近づいてきてこう言う。


「あゆちゃん結構胸ついてきたよ」

俺は「興味ないね」そういうと男子は戻って行った。

今日はグラウンドでマラソンと背面飛びだそうだ。

日々トレーニングを積んでる俺には他愛も無い事。

クラスでぶっちぎり1番手を走ると遅い奴等を周回遅れにした。


男子はジャージ、女子は体操服にブルマである。

女子は小さな胸を揺らして走っている。中には相当育ってる女子もいる。


ちょっと走ってる姿を見て興奮してしまった。

言っておくが決してロリコンではない。

あゆに近づくと「お前遅いな、もっと体力付けた方がいいんじゃね?」

と言うと、「うっさい! 運動は苦手なのよ」と言ってきた。すぐに追い越して女子を見学しつつ猛烈に走った。

そしてマラソンが終わると今度は背面飛びをやらされた。

順番に飛んでいくとあっという間に授業終了の合図がなされ、マットや棒の片付けをさせられた。

そして教室に帰って着替えをする。

また男子が女子を覗きにいってボコボコになって帰ってくる。

教室を移動し席に着くとシャワーを浴びたくなった。汗ビッショリなのだ。


今度生徒会にシャワー室でも作ってもらうか~とか思い浮かんだ。

1時限目動いたから、2時限目からは動いたから良く眠れた。

起きたら11時58分だった。

あっという間にチャイムが鳴って昼休みだ。


あゆにノートを借りて弁当を食べながら内容を見つめる。

そして記憶の宮殿内に刻み付けていった。

佐伯は他のグループで飯を食ってるようだった。

俺は暇なので中古車雑誌を見ていた。


1200万も奪ったので大抵の車は買える。


ここはポルシェだろうと思いポルシェを検索して見て行った。

しばらくするとあゆが「車欲しいの? いつも中古車雑誌見てるけど」と話しかけてきた。

「速くてカッコイイ車に乗りたいんだよね~。っていっても免許取るのまだ先だけど」と言うと「いいわね。車買ったら乗せてね」意外な答えだった。

そしてあゆと2人で中古車雑誌を2人で眺めた。


あゆはフェラーリを指差してこれがいい、と言う。

さすがにフェラーリは高い。

この時代のフェラーリは値段の割にポンコツなのは良く知っている。


「高校生がフェラーリだなんてありえないだろう」


「え~でもスポーツカーの中じゃカッコイイじゃん」

フェラーリテスタロッサを指差してあゆが言う。


「こんな車だったら隣に乗ってあげてもいいわよ」

さすがにフェラーリに乗る気は起きない。いい音してるのだが。

そうしてる間にチャイムが鳴った。

6時限目の授業はちゃんと聞いていた。

そして学校が終わるとチャリでジムに向かった。



「コーチこんにちわ。ちょっと練習に来ました」


「おぉ。尾崎かよく来たな。頑張って練習しろよ」


「はい!」

そういうと準備運動をしてサンドバッグを叩き続けた。そして腕立て、腹筋、縄跳びといつもの練習メニューをこなしていった。

しばらくすると小柳が来た。どうやらバイトは終わったらしい。


「尾崎君早いね。今日も頑張ってるね!」


「練習しないと体力落ちてきますから」

そんな会話をした。

小柳と並んでサンドバックを叩き続けた。


「2回戦目の相手は決まったんですか?」


「まだ決まってないんだよね~、まぁ相手がどんな奴だろうと負ける気はしないけどね」

威勢のいい事を小柳は言った。

するとPHSが鳴り出した。


「ちょっと失礼します」

そう言って電話に出た。


「はい、もしもし?」


「綾だけど。今日ちょっとお願い事があるんだ。夜行っていい?」


「いいよ。何時ごろ?」


「19時位に行く」


「わかった。待ってるよ」

そうして電話を切った。


「彼女からかい?」小柳はニヤリとしてそう言った。


「そんなんじゃないですよ。友達ですよ。さぁトレーニングの続きをしましょう。」

そう言って、トレーニングを始めた。

集中してトレーニングをしてるとあっという間に日が暮れた。


「コーチ、もう今日は帰りますんでありがとうございました」


「おぅ!またいつでも来いよ」

そしてジムを後にチャリで家に向かった。



とりあえず汗臭いので朝から入りたいと思ってたシャワーを浴びた。

そして晩飯を食う。

真也にベルを入れてみる。ポケベルの使い方は一応教わった。『電話して』とポケベルにメッセージを入れると真也から電話がかかってきた。

「おぅ。お前等今日来るの?」

「今日は俺のうちで原と教習所の教本の勉強するよ。来て欲しいの?」

「来ないんだったら別にそれで構わない。好都合だしな」

「なんだそれ?」

「まぁこっちの話さ。じゃあまた今度な」

「また真吾の家行くからまたね」

そう言って電話を切られた。

まぁお邪魔虫が来なくて何よりである。

それより綾の言うお願いとは何だろう?ふと疑問に思った。


部屋を綺麗にしてると外からゼファーの音が聞こえた。

俺は外に出ると綾に近づいた。


「今日はどうした? 高橋は?」


「高橋の奴、あたしをおいて峠に行くって言ってたよ。今日は1人なの」


「まぁ、部屋に入れよ」


「うん♪」

そうして綾を部屋に通した。


「さっき言ってたお願いって何? 何かトラブッた?」


「そうじゃないの。真吾お願い、あたしを抱いて」


「もう高橋の彼女じゃないか」


「1度だけでいい。そしたら真吾に迷惑かけないから」

そういうと綾は服を脱ぎだした。


「ずっと我慢してたんだよ。真吾が襲ってくれないから」


「いやいやいやいや待て待て、もう高橋の彼女なんだから」


「あたしの事嫌い?」服を脱ぎながら綾はそう言った。


「嫌いなわけないだろ」


「お願いシテ・・・・・・」


「恥ずかしいから電気消して」

そういうと俺は部屋の電気を消してデスクのライトを付けた。

綾が唇を合わせてくる。


「ずっと好き、これからもずっと」

そう言って何度も唇を合わせた。

俺も脱いで裸でベッドの上で抱き合った。


またしてもやってしまった。


「初めてが真吾で良かった。ありがとう。もう出来ないんだね。隣にいるのはあたしじゃないもんね」

そういうと綾は涙を流していた。

俺は賢者タイムに入った。


「今回限りだぞ。俺も綾とヤリたいがもう高橋の彼女だ。人の女に手を出し続けるわけには行かない」


「高橋に内緒でHしよ?♪」


「そうしたいけど、そういうわけにいかないだろう。浮気になっちまう」


「真吾が気が向いたらいつでもヤラせてあげる」


「1度だけって言ったじゃないか。今回だけだぞ」


「まだ真吾の事好きなんだからね。この気持ちは絶対に変わらない」


「その気持ちだけで嬉しいよ。俺も綾に出会えて本当に良かった。怖い思いさせたけど、楽しい時間沢山過ごせたしお礼を言いたい。ありがとう」

綾はまた涙を流し、「真吾が好き。もう真吾無しじゃ嫌なの」


「これからは高橋と一緒に楽しい時間を過ごせ。綾の隣にいるのは俺じゃない、高橋だ」


「これからも仲良くしてくれる?」

綾が涙目で言ってくる。

思わず可愛いと思ってしまった。

そして抱きしめてキスをすると、「もちろんだとも、綾は俺の大事な友達だ」

綾は何度もキスをせがんでくる。俺はそれに答えた。


「ねぇ、腕枕してよ」


「あぁ、いいよ」


そして腕枕してやった。

顔が近い、綾の綺麗な顔を見てると振ったのが惜しくなってきた。

そして綾の胸を揉み、また何度もキスをした。


「真吾あたしの事好きでしょ?」


「あぁ。別れても好きだよ」


「嬉しい♪」


「これからは友達になるけど仲良くやっていこうな」


「うん♪」


そして30分位キスを交え雑談した。

濃密な時間はあっという間に過ぎていった。


「シャワー入っていけよ」


「今日は一緒に入ろ?」


「あぁ、いいよ」

そうして2人でシャワーを浴びた。

バスルームの床には生々しい血が流れていた。

バスルームの中でもキスをする。


そして綾の身体を洗ってやった。シャワーから出ると綾の身体を拭いてバスタオルを巻き部屋に戻った。

「Hぃ匂いが部屋でしてるね。今日はありがとう。最高の思い出が出来たわ」綾が恥ずかしそうに言う。


「俺も綾との最後の思い出が出来て嬉しいよ。これからも宜しくな」


「真吾の事愛してる」そういってまたキスをしてきた。


「俺も綾の事愛してたよ、正直ずっと一緒に居たいと思った。でも俺の彼女は危険すぎる。いつまた誰かに襲われるとも限らない。そんな危険に晒すわけにはいかないからな」


「うん、分かってる。真吾の優しさなんだよね」


「綾の安全が第一だ。二度と辛い思いはさせたくない。俺は一人で平気だよ。そうやってずっと俺は生きてきた。彼女がいない事には慣れてる。一時期だけだったけど綾が彼女で良かったと本当に思ってるよ」


「ずっと生きてきたって真吾まだ15歳でしょ? 振り返るのは早いよ」


うっかり口を滑らせてしまった。俺がタイムリープ者である事を誰にも言ってない。


「まぁ、俺の事は心配しなくてもいい。綾との思い出だけで幸せだ」


「そう言ってくれると嬉しい。あたしも幸せになるね」


「あぁ、綾の幸せを祈ってるよ。もし高橋と上手くいかなかったらその時は・・・・・・」


「その時は??」


「いや、何でもない。高橋が綾を悲しませるような事があれば俺が鉄拳制裁を下す。綾と高橋の事応援してるよ」

そう言って俺は綾にキスをした。

バスタオルを奪い胸をまた揉んだ。


2回戦ヤリたいけど綾は痛いだけだろう。そう思い綾にバスタオルを巻いた。


「ねぇ、今日は恋人のままでいい?」


「あぁ、でも最後の夜な。綾には幸せになって欲しい。綾の人生では俺は邪魔な石ころみたいなもんだよ」


「全然邪魔なんかじゃない。真吾と過ごした時間はキラキラ輝いてる宝石のような思い出だよ。今でも真吾と過ごした日々を鮮明に思い出せる。だからあたしから離れていかないで」

綾は涙を流した。


「俺はずっとここにいるよ。どこへもいったりなんてしない。これからも綾を見守り続けるよ。たとえどんな事があろうとも。綾も普通の恋愛していつかは結婚するんだ。その結婚式に俺も呼んでくれたら嬉しいな」


「本当は真吾のお嫁さんになりたかったんだけどな。残念。あたしは諦めるよ」


「綾が卒業して遠くに行ってしまう事があっても俺は綾を思い続けるよ。だから泣かないで。人に涙は見せちゃいけない。強く生きろ」


「なんか真吾と話してると年上と話してる気分になる。年下なのにね。まるで優しいお父さんに言われてるかのよう」

まぁ、20歳で結婚して子供生まれてれば綾位の歳になっていてもおかしくはない。

見た目は高校生に戻ったが中身は38歳のままなのだ。


「おっさんくさくてすまなかったな。最近オヤジ化が進んできてね~どうしようかと思っていた所だよ」

綾がクスッと笑う。


「ほんと真吾って不思議な人ね。恋したのが真吾で本当に良かった」


「俺も久しぶりに恋をしたよ。綾の事が本当に大好きだった。もし違う出会いをしてたら未来は変わったかな?でも俺は俺だから違う出会いは多分無かっただろう。小悪魔を率いて神鬼没に喧嘩売ってきて、綾を倒したときからすでに綾の事が気になってたんだ」


「あたしも真吾に倒された時からずっと気になってたんだ。一目惚れだね」


「そうだね。あれから随分色々な事があったね。その度にどんどん綾の事が俺の中では大きくなっていったんだ。また食事でも行こうな」


「またボクシングジム言って喫茶店行きたい。叶うならば」


「ジムくらいいつでもいけるさ。喫茶店のオムライスまた一緒に食べに行こう」


「真吾と一緒だと何でも楽しい、そんな日々が永遠と続くものだと思ってた。でもあたし達別れちゃったんだよね?寂しい。そんなのってないよ」

綾はまた涙を浮かべた。


「さぁ服を着ようか。いつまでも裸じゃ風邪ひいちゃうぞお」

そういって俺達は服を着た。


「ねえ、高橋と上手くいかなかったら今度こそ付き合ってくれる?」


「俺の彼女は危なすぎる。高橋と上手くいかなくても綾なら綺麗だからすぐ彼氏できるよ」


「でもお友達のままではいてくれるのよね?」


「もちろんだとも。綾は俺の大事な友達だ。今後もそれに変わりは無い。綾が俺を捨てない限りはね」


「真吾の事捨てたりなんかしない。別れてもずっと好き。この気持ちは変わらない」


「ありがとう。そういってくれるだけで嬉しいよ。綾も早く幸せになってね。それが俺の願いだから」


「真吾に心配させないように頑張って幸せになるわ。相手が誰かまだ分からないけど、素敵な旦那さん連れて真吾を悔しがらせてやるんだから」


「それは楽しみだな。その日がいつか来ることを願ってるよ」

そして綾は俺にキスをせがんできた。俺は応じるままに綾にキスをした。


「それじゃあ今日は日付が変わるまで一緒に居ましょ。なんといっても真吾の彼女なんだから!」


「あぁいいよ。最後の日くらい一緒に居よう。綾、ずっと好きだったよ」


「あたしも、真吾がずっと好きだった。離れたくない。でも、もう2時間位で今日は終りだね。明日からは前を向いて歩かなくちゃ」

俺は綾を心底応援していた。この子は何があっても幸せになって欲しいと。


「高橋とは上手く言ってるかい?」


「昨日の今日だしなんだかぎこちないよ。学校で会っても挨拶してちょっと雑談するだけだからね」


「高橋はなかなか強いぞ。俺のパンチ何発も受けて気絶しなかったんだからな。見所がある」


「高橋って神鬼没に入るまでは神鬼シンキの頭だったのよね。そんな高橋を倒すなんてやっぱ真吾は強いわ」


「鍛え方が違うからね。所詮は素人。今はアマチュアでもプロの俺には勝てないよ。」


「プロ?プロになる気になったの?」


「あ~いや~何でもない口が滑っただけだ」

ふ~危ないバレる所だった。

そうして俺と綾は楽しく会話してあっという間に24時になろうとしてる頃。


「今日はありがとう。凄く素敵な1日になったわ。ねぇキスして」

そういうと俺は綾を抱き寄せ激しくキスをした。


「ありがとう。ずっと真吾の事が好きよ。また遊びに来るね♪」


「俺も綾が好きだよ。いつでも遊びに来るといい。歓迎するよ。高橋も連れてきてもいいぞ」


「もぅ~イジワル」


「2人きりでまた逢いましょ。今日はもう時間なんで帰るね。ありがとう。そしてさようなら」


「さようなら。また機会があれば遊びにおいで。いつでも俺はここにいるから」

そして外まで送っていく。


綾がバイクに跨る。

「ねぇ、もう1回キスしよ」

そういうと俺は綾に何度もキスをした。


「ありがとう。バイバイ♪」


そういって綾は帰って行った。


Coming soon!!

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同時刻港の埠頭にて。


「よぅ竹内ぃ1人でこんな所に来て何を黄昏れてるんだ」

神埼は言った。


「誠が逝ってもう1年だ、そろそろケリをつけないとな」


「勝負ならいつでも受けて立つぜ、そろそろ最速を決めようじゃねーか。誰がこの街で最速なのかをよぉ」


「誠の追悼式の日、レースをしてどっちが本当の最速かを決めようじゃねーか」

竹内が静かにそう言う。


「受けて立つぜ、俺のジェイソンかお前のZII改、格の違いを見せ付けてやんぜ」


「なぁ、昔の俺等はもっと楽しく走れてたよな、いつからこうなってしまったんだ?」

竹内は静かに言う。


「誠が死んでからお前は皇帝エンペラーの頭になった。大規模集団の長と走り続けてきた俺との違いだよ。俺はずっとスピードの向こう側に魅せられちまってる。しかしお前は皇帝エンペラーを統率しようと必死になってた。今のお前に走る事はできねーよ」

神埼が挑発する。


「なぁいつからタガっちまったんだよ。教えてくれよ誠」

竹内はそう呟いた。


「死者は生き返らない。そして次のレースでも死者が出る可能性はある。皇帝エンペラーの時期総長を決めておいた方がいいんじゃないのか?」

神埼はそう告げた。


「もう戻れないんだな」


竹内がそう呟く。


「俺はいつでも死を覚悟して走ってる。今のお前にその覚悟はあるか? 俺はあるとは思えねえけどな。国道をチンタラ大人数で走る事がお前の望む事か? スピードに魅せられた以上、逃げる事はできねえんだよ」神埼が煽る。


「俺は死ぬのが怖いよ。怖くてたまらねえ。俺の周りにはもう失っちゃいけない大切な仲間がいるんだ。だから俺は死なねぇ。絶対ゼッテーにだ」

竹内はそう言った。


臆病ブルッっちまったのか?お前にはもう走る資格はねえよ。音速の三皇さんこうを名乗る事すらもできねえ。壱暴走族の総長がお前にはお似合いだよ。最速の座は俺が貰う。もしかしたらもう1人速い奴が出てくるかもしれないがな」

神埼はそう言う。


「もう1人速い奴ってのは神鬼没を影から操ってるって奴の事か?」


竹内は不思議そうに聞き返す。


「そうだよ。Rをとんでもないスピードで走らせた。もしかしたら俺等より速いかもしれない。そんな奴が世の中にはいるんだよ」


神埼は顔に笑みを浮かべていた。


「神鬼没は俺の代で必ず潰す。この街の族は1つでいい。4つあった族も今は1人のおかげで2つになった。俺が代変わりする前に必ず潰す」


「今のお前じゃ勝てないよ。総力戦になれば話は変わるだろうがな」


神埼は静かに言った。


「喧嘩も走りも俺は頂点を極める。それが今俺のやるべきことなんだよ」


「言っておく、お前じゃ勝てない。お前の実力を分かってる俺だからこそ言えることだ。尾崎さんには勝てねえよ」


神埼は確信を持って言った。


「ほぉそいつは尾崎って言うのか。楽しみじゃねえか。挽肉にしてやんぜ」


「今のお前は昔のお前じゃない、皇帝エンペラーに縛られた道化師ピエロだ。そんなお前なんて今の俺でも勝てるぜ?」

竹内は拳に力を入れたが、すぐに冷静になった。


「最強、最速の座は必ず手に入れる。最速になるにはまず神埼ぃ、お前を潰す必要があるな」


「公道レースならいつでも受けて立ってやんぜ。まぁ死に怯えるお前に、俺は抜けないと思うがな」


「追悼の日、勝負だ!」


竹内は叫んだ。


「上等じゃねーか。二度と走れねーようにしてやんぜ」



そうして最速戦バトルの日は決まるのであった。




そしてまだ、この後に続く展開があるとは誰も予想出来なかった

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