第13話 ~小悪魔達~

原が急いで窓から入ってきた。


「神鬼没襲撃されたってよ」


幽霊スペクターの連中か!」


「そうじゃなくてレディースの小悪魔らしい、なんでも武装して神鬼没に喧嘩を売ったらしい」


「なぁんだそんな事か」

だから柏は傷だらけだったのか。


「親衛隊の半数が壊滅だってよ。小悪魔もえげつないよな~」

真也が言った。


「その小悪魔とやらは何人位いるの?」


「50人位ってきいたけど?」

原が答える。

俺は急いで柏に連絡を取る。


「はい、柏です」


「お前等襲われたんだってな。大丈夫か。」


「さすが尾崎さん情報が早いですね。小悪魔に奇襲くらって親衛隊の半数がやられました。そして正式に喧嘩吹っかけられました」


「数では勝ってるんだろ?しかも相手は女だし、特攻隊は何をしていた?」


「それがいきなり現れて大暴れして、宣戦布告して帰って行ったんですよ」


「そうか、詳しい話しは学校で聞く。じゃあな」


「ご迷惑おかけしたようでスミマセン」

そして電話を切った。

どうやら本当らしい。でもどうして原が知ってたのか。


「原なんで知ってたん?」


「神鬼没に皇帝エンペラーが偵察隊出してたんよ。んで総長の耳に入ってみんなに知らせてくれたわけ」

偵察隊なんているのか。どこまでデカイ組織なんだ、と感心した。


「まぁわかったよ。何とかしてみる」

そう言って2人を追い出した。

またシャワーを浴びパジャマに着替えるとベッドに潜った。

レディースか。そんなやつ等もいるんだな。

そう考えつつ眠りに落ちた。



日曜日特にやることが無かったのでジムに行った。

そしてトレーニングメニューをこなして帰ってくる。

原と真也はデートかな~と思いつつ1日をゆっくり過ごした。



月曜日学校へ行くと柏がクラスの前で待っていた。


「よぅ教室に入れよ」


そう言って俺の机の前まで案内した。


「席替えしたんですね。いい位置じゃないですか」


「それはいい、小悪魔とかいうレディースの件なんだが。放っておいて大丈夫か?」


「相手もかなり武装していて親衛隊がすぐにやられました。あいつ等は危ないと思います。尾崎さん力を貸してくれませんか? 相手が女だから迂闊に手出せないんすよ。水曜日に小悪魔が来ます」


「なる程、俺は老若男女差別しないからな。女子供、ジジィババァだろうが容赦はしねえ」


「さすが尾崎さん。頼りにしてますよ。水曜日また迎えに行きますから」


「20時30分でいいよな?」


「ハイ。その頃迎えに行きます」

柏はクラスへ戻って行った。

あゆが来た。

「おはよう!」と挨拶すると。「おはよう。朝から元気がいいのね。さすが猿だわ」

っと失礼な事を言ってきた。

とりあえずホームルームが始るまであゆと雑談してた。


「金曜日お前に告白するとか言ってた男子はどうした?」


「全部振ってやったわよ。面倒くさいったらありゃしない。どうせ見た目目的なんでしょ」


「お前見た目以外にも頭いいもんな。スタイルは微妙だけど」


「微妙ってどういう事よ!ウエストもちゃんとくびれてるわ」


「そうじゃなくて胸がな~」


「うっさい!これから成長するのよ!このピンク猿が」


そんな雑談をしてるとチャイムが鳴った。ホームルームだ。

今日は特に何も無いようだ。出席を取って終り。

1時限目からまた爆睡した。

4時限目の終りにまた目が覚めた。

すぐに昼飯だ。

チャイムが鳴って昼になる。

佐伯がまた弁当を持ってやってくる。

中古車雑誌を眺めながら2人で雑談をする。

そしてあゆからノートを借りる。

15分位眺めてノートを返した。

佐伯はそんな時間で覚えられるの?と聞いてきたが俺は高校の授業なんて簡単だと言った。


「俺にも勉強のコツ教えてほしいもんだよ」


「常人には多分理解できない。幼少の頃からの特訓の成果かな」

俺はそう答える。

そうして昼休み終りのチャイムが鳴る。



午後くらいはまともに授業を受けよう。

午後からは体育だった。

男が奇数クラスで女が偶数クラスで着替えをすることになっている。

男子が着替え終わると女子を覗きにいこうぜ。という。

俺は興味ないので自由に行かせた。

結果バレて男子はボコボコにされた。


今日はバスケだ。コンビを組んでパスの練習らしい。

あゆが近づいてくると「コンビ組みなさいよ」と言ってくる。

俺はOKするとパスを繰り返した。

そして全員でシュートの練習。

バスケはあんまり得意では無い。


スラムダンクを読んでも心が動かされなかった。面白いとは思うが。

適当にやってると授業終了のチャイムが鳴った。

男子はまた女子の着替えを覗こうとしてた。

結果ボコボコになって帰ってくる。

そうしてその日の授業は終わった。

俺はチャリに乗って家に帰る。



原と真也はまだ来てないようだ。

そしてベッドに横になる。

考え事をしていた。小悪魔をどうするかだ。

やはり力ずくで勝負した方がいいかな。そんな結論に達した。

その日は原と真也は来なかった。

俺はシャワーを浴びて寝る準備をしベッドに潜る。

今日はゆっくり寝れそうだ。


そう思うと眠りについた。



翌日、柏が俺の机の前で待ってる。

こいつ登校だけは早いんだな。

柏に近づくと、「おはようございます。今日はよろしく頼みます。夜迎えに行くんで」

そう言ってクラスから出て行った。


あゆが登校してくる。

ホームルームのわずかな時間あゆと雑談するのが日課になっていた。


「なぁ? 1人位まともに付き合おうとかいう奴はいなかったの?」


「全然ダメ。みんな普通すぎるくらい普通よ」

他愛もない話をすると始業チャイムが鳴った。

俺はまた爆睡を始めた。

昼休み前に目が覚める。

ボーッとしてるとチャイムが鳴った。

佐伯が近づいてきて「一緒に昼食べよ」そう言ってきたので雑談しながら飯を食った。

そしてあゆにノートを借りまた復習をしてあゆにノートを返した。


今日は特に何も無い。午後からも寝よ~っと。そう思うと午後からも寝た。

不思議なのは誰一人として起こしにこない事だ。

睡眠の邪魔をされては俺も機嫌が悪くなる。


そして放課後になり学校から解放される。

午後からの授業受けてなかったのであゆからまたノートを借りる。


「あんたいい加減にしなさいよね。あたしがノート取ってなかったらどうするつもりだったの?」


「別な奴から借りるさ」


「あんたクラス委員長なんだからちょっとはしっかりしてよね」


「ん!あぁ」

としか出てこなかった。

やることがないので校門を出て学校を後にした。



家に着くと、今日は集会があるからもう少し寝ておくか、そう思って寝た。

特攻服の原と真也が家に来る。それで起こされた。


「起こさないで黙ってゲームでもしてろよ。今日は疲れる予感がするんだから」


「やっぱ家主がいないとじゃん?」


家主は父親なんだが・・・・・・そうツッコミたくなったが我慢した。


「今日、小悪魔が攻めてくるんだろ?どうすんだよ?」


真也が言った。


「グチャグチャの挽肉にしてやんぜ!」


俺がそう言うと、「相手は女の子なんだから少しは手加減してあげなよ」原がそういった。


「真の男女平等主義者の俺は女の子相手でもアッパーを喰らわせられる男だ、そこんとこ甘く見ないで欲しい」


「小悪魔が可哀想だな」真也が言う。


「喧嘩吹っかけてきたのは向こうだ。こちらには何の落ち度もない!」


俺がそういうと、「程々にしときなよ。相手が嫁に行けなくなったら真吾のせいだぞ」原がそう言う。


「そんな事は知らん。ボコボコにしてくれるわ。ワーッハッハ」


原と真也は呆れかえっていた。

そうしてゲームをやっていた、俺はヒマなのでバーベルでトレーニングをしていた。

20時になった。原と真也がゲームを止め「俺たちもういくわ」と言って窓から出て行った。

柏が来るまであと30分か~。そう思うとベッドに横になった。


何も考えずに横になってるとあっという間に30分が過ぎ、V8サウンドが聞こえてきた。

よしいくか!気合を入れて外に出る。


「尾崎さんよろしくお願いします」


「おぅ! 任せとけ」

そう言って公園に向かう。

柏に缶コーヒーを買ってこさせると飲みながらブランコでユラユラ遊んでいた。

21時になると神鬼没の連中が揃った。

集った輪の中に俺が入ると高らかに宣言した。


「たかだか女如きに負ける事は許さない。特に特攻隊、今回お前等が攻撃の要になるからな」

俺はそう言った。

場の空気が盛り上がる。

そして10分もしないうちに小悪魔が来た。


「やる準備は出来てんだろうな?」


「勿論です。いつでもかかって来いですよ」

高橋が意気込んでそう言った。

小悪魔はバイクやスクーターから降りると即襲ってきた。


「特攻隊行け~!」そう号令をかけると特攻隊が小悪魔達に向かって走り出した。

3分位経つ。ちょっと様子がおかしい。特攻隊が一方的にやられている。


「高橋!」そう言うと高橋を呼んだ。


「一方的にやれれてるぞどう言う事だ!」


「やっぱ相手が女だと顔は殴れないし、かといって有効な手段が思いつきません」

消極的な事を言ってきた。


「もういい俺がやる!」そう言って喧嘩の輪の中に入って小悪魔達を次々と殴り倒してゆく。

顔面にも思い切りパンチを入れ優しさとしてボディーブロー中心に攻めていった。

約50人位を1人で相手するのはさすがに疲れた。小悪魔達は戦意喪失あるいは気絶してる。

最後の1人は小悪魔のボスだった。


「女の顔に手出すなんてサイテーね。卑怯者!」


「お前等から喧嘩売ってきたんじゃねえか。こっちも容赦はしねえぞこら! 俺は真の男女平等主義者だ、女だからって勘弁してもらえると思うなよ!」

そう言ってボスの女にボディブロー何度も喰らわせた。

そうしてボスの女が倒れる。


「顔殴らなかっただけ有難いと思え」


「あんた容赦ないのね」


「だから言ったろ? 真の男女平等主義者だって。女だって容赦はしねえよ」


そう言って小悪魔のボスは気絶する。

皆を呼び集めて説教する。


「女相手に何やってんだ! こんなんじゃ幽霊スペクターが攻めてきた時、太刀打ちできねーぞ!」

特攻隊の連中が口々にこう言う。


「さすがに女を殴るのはちょっと・・・・・・武器取り上げて無力化しようとしたんですけどね」


「そうそう女殴るなんてできませんよ。尾崎さんよく殴れますね。鬼じゃないですか」


「俺の前に立ちふさがるなら女だろうと容赦はしねえ。お前等も覚えとけ!」


「ウッス!」

皆が一斉に返事をする。


「俺がやった女共介抱してやれ」

そう言うと、神鬼没は小悪魔を広場に寝かせた。

しばらくすると小悪魔達は次々と目を覚ました。

やる気が失せたのか大人しくしている。

そして小悪魔のボスが意識を取り戻した。

「あたし達が悪かった。もう神鬼没には手を出さないわ」


「じゃあお前等もうちの傘下な」

俺は提案する。


「わかったわ。あなたの言う通りにする」


「小悪魔は解散して神鬼没に入れ」

柏が近寄ってきて俺にこう言う。


「神鬼没は女厳禁なんですよ。これまでも硬派で通してますし」


「男女平等主義だ小悪魔も入れてやれ。そうしたら裕子も集会来れるだろう?」


「わかりました。小悪魔を迎えます」


「あたしは江川綾、あなたの名前はなんていうのピンクの悪魔さん」

小悪魔のボスが自己紹介してきた。


「俺は尾崎真吾、別に神鬼没に入ってるわけじゃない。用心棒みたいなもんだ。宜しくな」

そして綾と握手をする。


「顔殴らなくてありがとう。ボディーはかなりキたけどね」


「ボディーで沈まなかったら顔にも入れてた所だぞ」


「尾崎君ほんと容赦ないのね」


「俺は真の男女平等主義者だ。女だろうが容赦はしない」


「今度デートしよ! 強い男って好きだわ」


「別にいいよ。結構忙しいがな」


「約束よ。GWゴールデンウィークあたりデートしようね」

そう約束してPHSの番号も交換した。

俺は全員を集めて気合入れろ、女に負けてんじゃねえ。と言った。

負傷したやつ等も元気に挨拶してくる。

お前等傷が深い奴は明日病院行け。そう言った。

中には骨折してるやつもいる。


「すみません。明日病院行ってきます」

こうして神鬼没はまた1つ大きくなった。

しっかし女も凶暴だな~と心の中で思った。


全員を集め「クスリにだけは手出すんじゃねえぞ。手出したら俺が直接制裁をくわえてやる」

そういうと「ウッス!」という返事が聞こえた。

柏を呼ぶと元小悪魔達に服装について教えるように言った。

すると柏は綾に伝えてるようだ。


「これから走りに行くんですが尾崎さんも行きませんか?」


「ここでボーッとしてるのもアレだし付いて行くよ」

そういうと柏は皆を集め走りに行こうと伝えた。

前方に特攻隊と元小悪魔達、中番手にリンカーンマークVが後方に警察対策に親衛隊を配置した。

そして走り出す。


「そういえば幽霊スペクターとは時間被ってないよな?」


「大丈夫です幽霊スペクターはまだ後ですから」

そうして国道を流すと対向車方面から皇帝エンペラーが走ってきた。

相変わらず凄い台数が連なっている。

この中に原と真也もいるのだろうか、と思いつつ皇帝エンペラーを眺めていた。

いつかこいつ等ともやりあわなくちゃいけないのかな?そう思った。


原と真也を敵に回したくはないが・・・・・・そんな思いがかけめぐる。

しばらく走ると柏がホーンをならして公園へと引き返す。

公園の駐車場に続々とバイクや車、スクーターが集ってくる。

今日は親睦を深めるために話し合いをしろと命令した。


すると神鬼没4人に対して元小悪魔1人のグループを作って話し合いをさせた。

女が入ってきて嬉しいんだろう。皆積極的に元小悪魔の女の子にアピールしている。

そうしてグループを15分毎に交代させ60分が経った。


柏も高橋も綾も楽しそうにお喋りしてる。

俺は柏にコーヒーを買って来るように命じた。

そして俺はブランコで缶コーヒーを飲みながらその光景を見ていた。


すると綾が近づいてくる。


「1人で何やってるの?グループに入ってお喋りしたらいいじゃない。楽しいよ」


「俺別にメンバーじゃないからいいよ。面倒くさいし。ここでコーヒー飲んで待ってるわ」


「じゃあ、あたしとお喋りしましょ」


「別に構わないよ。言っておくが面白い話とかは特にないぞ」


そして綾とお喋りをした。

綾は化粧が濃く整った顔立ちをしている。とても暴走族の真似事をしてるとは思えない綺麗な女だ。


「今度デートするのを忘れないでね。それと名前で呼んでもいい?」


「あぁ、別に綾の方が先輩だから呼び捨てで構わないよ。俺も綾って呼んでるし」


「じゃあ、真吾彼女とかいるの?」

グサッと来る質問が来た。


「それがいないんだよね~。さっき話した問題児2人組が家に来るからなかなか彼女作れなくてね。ま~彼女いらないっちゃいらないんだけどね」


「じゃあまだチャンスはあるのね。真吾の事狙っちゃうからね♪」


「俺は忙しいんだ。彼女なんてとても作ってられないよ。もし作ったとしても寂しい思いや、怖い思いさせることになりそうだし」

そして裕子が誘拐された事を話した。


「真吾の彼女って大変なのね。その裕子ちゃんって子も気の毒に。あたしね、皇帝エンペラーの総長を狙ってたの。でも彼女がいるみたいで諦めたわ。皇帝エンペラーの総長ともなるとモテるのよね~。あたし以外にも狙ってた女はいたわ」

そう言って雑談をしてるうちに柏が来た。


「お取り込み中の所すみません。そろそろ帰りますよ」

そういうと俺は綾と握手をしてその場を後にした。


「あのな~柏、空気ってモンを読めよ。いい感じで喋ってたのに」


「すみません。もう神鬼没が解散しちゃったのでそろそろ帰ろうかなと」


家まで送ってもらうと柏が「今日はありがとうございました。助かりました」等とお礼を言ってくる。

俺はいいっていいってと言うと、ちょっとだけ部屋に来いよといい。柏を部屋に呼んだ。


「あの程度のメス共にナメられるのは気が緩んでる証拠だ。女だから手を出せないって考えも改めさせろ」


「でも女に手を上げるのは男としてどうかなと・・・・・・」

柏は消極的な事を言った。


「お前も男女平等主義者になれ。女だからって言ってたらナメられっぱなしだぞ」


「はい。わかりました! そろそろ時間も遅いんで失礼します」

そして柏を送り出した。言いたいことは伝わったかな?そう疑問に思った。



そうして俺は部屋でボーッとしていた。綾か~可愛いな。

そう思ってるとあゆの怒った顔が浮かんできた。

なんであゆを思い出したんだろう。

その時電話が鳴った。


「さっきはありがと。まだお喋りしたいんだけどいいかな?」

綾からだった。


「別に20分位なら構わないよ。俺も暇だし」

そういうと20分位雑談をした。


「そういえばなんで神鬼没狙おうと思ったの?」


「走りの邪魔だったから。幽霊スペクターは追いつけないし、皇帝エンペラーは規模が大きすぎる。襲うには神鬼没がピッタリだったのよ。ゴメンね」


「大体わかった、武装していきなり襲うのは反則的だぞ。今後考えを改めなおせ。俺もう寝るからまたな」


「わかった。じゃあまたかけるね、おやすみ♪」

そう言って電話を切った。

もう午前1時近い、寝よ。

シャワーを浴びパジャマに着替えて、リビングで牛乳を一気飲みした。すると母が起きてきて、「遅かったのね。夜遊びは控えないさいね」そういうとまた部屋に戻って行った。

俺も部屋に戻りベッドに潜る。


綾かぁ綺麗な人だな。1回デートしてみるのも悪くない。あと3日でGWゴールデンウィークかぁ。何しようかな~っと。

そう思って深い眠りについた。


GWゴールデンウィークに波乱が起きるとはしらずに俺はのうのうと生活しているのであった。


Coming soon!!

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