第26話 親友の声が女性声優だったら

俺の名前は押村 翔(おしむら かける)。中学生二年生である。

平凡な俺だが実はとある悩みを抱えており、中二という歳頃も相まって、最近は日々悶々としている。

朝の登校時、親友の秋月 光(あきづき ひかる)をいつもの公園で待っている。

光は小学生の頃からの俺の親友であり、家が近所ということもあり、何をするにも一緒に行動するほど仲が良い。

しかし、俺は最近になって、とある重大な事実に気付いてしまったのである。実はそれが悩みの種でもある。


「おーっす♪おはよう♪」


いつもながら光の綺麗な声に耳が幸せな気分になる俺。なんと俺の親友はCVが女性声優。佐倉 綾音さんなのである。


「お、おはよう。」


「なんだか、たどたどしいな。何かあったか?」


「べ、別にたどたどしくねぇよ。は、早く学校に行こうぜ。」


「ん?変な奴。」


クソ、朝から聞く、あやねるさんボイスは威力抜群である。佐倉 綾音さんが少年声もやることがあるのは知っていたが、まさか自分の親友の声が佐倉 綾音さんだなんて思いもしなかった。

光が中性的な容姿なのも相まって、それがケミストリーを起こし、見事にガッチャンコしている。

これからどう接して良いのか非常に悩んでいる今日この頃。

とにかく学校に向かうのが先決か。俺達は学校に向けて歩き出した。

登校中、光が突然こんなことを言い始めた。


「今日の朝、こんなにデカいウ〇コ出たんだぜ♪」


身振り手振りでウ〇コの大きさを表現する光。これはいかん。


「やめなさい‼はしたない‼」


「えっ?本当にどうしたんだよ?いつもはウ〇コの話で盛り上がるだろ?」


「駄目だよ‼ウ〇コとか言ったら‼イメージが悪くなるよ‼」


「イメージって何だ⁉」


光が下品なことを言えば、佐倉 綾音さんのイメージダウンに繋がる。そんなこと声豚である俺が許すわけにはいかない。


「な、何か別の話しようぜ。唐揚げの話とかさ。」


「はぁ?何で唐揚げなんだよ?・・・でもさ、そういえば、いつか言おうと思ってたんだけどよ。」


「な、なんだよ改まって。」


まさか愛の告白ではあるまいな?腐女子の読者からの熱い視線を受けることになるぞ?

しかし、光からの言われたことは、俺にとって予想外のことであった。


「お前の声って、下野紘さんに似てるよな?」


「えっ?嘘だろ?」


どうやら俺のCVは下野 紘さんらしい。

今度思いっきり「朝比奈を守るんだーーーー‼」とでも叫んでみようか。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る