第15話 桜さんと雨宮君
「雨宮君、私達、別れましょう。」
大好きな桜さんからそんなことを言われて、僕は頭がおかしくなりそうだった。
「ど、どうしてですか桜さん?僕たちはこんなに愛し合っているのに。」
「ごめんなさい。私だって雨宮君のこと大好きよ。でもね君の名字が悪いのよ。雨宮なんだもん。」
「ん?というと?」
「雨は桜を散らすもの。桜散るなんて受験生には禁句でしょ?」
た、確かに。それは盲点だった。受験生に桜散るなんて縁起が悪すぎる。彼女が言うことがもっともだ。
「な、なら、一年後、アナタが大学受験に受かって、それでも僕らの気持ちが変わっていなかったら再び付き合いましょう。」
「えっ?良いの?」
「はい、もっとも僕の気持ちは変わることはありませんがね。」
「ありがとう。やっぱり雨宮君は優しいね。」
こうして僕らは涙ながらに別れた。やけにあっさり別れたように思われるかもしれないが、彼女の気持ちを考えればそれも仕方ない。彼女だって三浪はしたくないだろう。大学受験はゲン担ぎも大事なのだ。
その五年後、僕らは再び付き合い始めるのだが、それはまた別の話。
終劇
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