第12話 ノーパン村

○○県✕✕山の奥にノーパン村と呼ばれる村があるという。

そんな情報を聞いた一人の若者がバスで山奥に入って行き、狭くて険しい山道を越え、とうとうノーパン村に辿り着いた。


「ようやく着いた。ここがノーパン村か。」


村の入り口にあった“ようこそノーパン村に”と書かれた立て看板を見ただけで、今までの苦労が洗われていくようである。


「あら観光の方ですか?」


男は青い制服の女性警官に声を掛けられた。ショートボブの髪型のスレンダーなボーイッシュタイプな美人を見て、男が真っ先に思ったことは、この人もノーパンなのかということである。


「はい、観光出来ました。婦警さん、つかぬ事を聞きますが。婦警さんもノーパンなんですか?」


すると婦警さんは顔を赤らめて、思わず股間の辺りを両手で隠す。


「は、はい。村のしきたりでして、産まれてこの方パンツはおろか、オムツも付けたことはありません。」


「むほーーーーー‼それは凄い‼」


男は鼻息荒く興奮した。それにしてもオムツも駄目とは不便な村である。赤ちゃんは糞尿垂れ流しでは無いか。

男には、とある野望があったが、流石に婦警さん相手にそれをするのは気が引けた。

男は婦警さんと別れた後に村を散策、コンビニが無い、車もそんなに走ってない、特別なことは何も無く、普通の村と変わりはない。ノーパンアピールも最初の看板だけの様だ。

と、そこに一組の女子高生が二人歩いているのが見えた。これがチャンスとばかりに男は走り出す。下手すると捕まるかもしれないが、その程度は覚悟の上である。

男の野望というのがノーパンの女の子のスカートを捲ることであり、それをする為だけに苦労してこの村に辿り着いたというワケである。

女子高生達は驚きはすれど逃げることはせず、男はスカートにもう少しで手が届きそうであった。


「やった‼」


男は少し早めに歓喜の声を上げたが、それは些か早かったと言わざるを得ない。


“パーン‼”


「えっ?」


女子高生を前にしてドサリと仰向けに倒れる男。

その後ろには先程の美人警官が銃を構えており、銃口の先からは煙が立っている。

端的に言えば男は後ろから拳銃で脳天を撃たれて、女子高生を前にして前のめりに倒れた。それだけの話である。

男の後ろで冷淡な顔で拳銃を構えている先程の婦警さん。銃口からは煙が上がり彼女が男を撃ったことは確実である。

婦警さんは男を怪しんでおり、こっそりと後を付けていたのである。


「駄目ですよ。合意が無く女性器を見ようとすることはこの村では御法度なんですから。特別に銃殺刑が許されているんです。」


拳銃を仕舞いながらニタリと笑う婦警さん。それが国が認めた法律なのかは定かでは無いが、読者の男性諸君はノーパン村に来た際は、ちゃんと同意の上で見せてもらうことにしよう。


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