第10話 レッスン

レッスン1


「こんにちは。私はカレリンです。アナタの名前は何ですか?」


「私の名前はユキコです。これからよろしくお願いします。」



レッスン6


「ユキコ、それは私のケーキですよ。」


「すいませんカレリン。人の物って美味しそうに見えちゃって。」


「大丈夫、私はアナタを許します。」



レッスン17


「ユキコ、私はタケオと付き合うことにしました。」


「おめでとうございます。私はアナタ達を祝福します。」


「ありがとう、ユキコ。」



レッスン29


「最近タケオが私に冷たいのです。昨日も会ってくれないし」


「それは大変ですねカレリン。でもきっと大丈夫。タケオはアナタのことが好きですよ。」


「私はユキコの言葉に勇気づけられました。ありがとう。」


「いいえ、どういたしまして。」



レッスン47


「ユキコ、アナタはタケオと寝ましたか?」


「えっ?何を言っているんです?」


「とぼけないで下さい。タケオのラインを見たんです。そしたらアナタと愛の言葉を言い合っている会話文を見つけました。これはどういうことですか?」


「・・・。」


「黙ってないで何か喋って下さい。」


「すいません、人の物って美味しそうに見えちゃって♪」


“ドスッ‼”


「うっ・・・カ、カレリン。」


“ドサッ‼”


「ユキコ、アナタが悪いんですよ。」



レッスン100


私の名前はカレリン。日本の高校に通う留学生だ。

人気の無い夜道を歩いていると、とんでもない人物が私の前に現れた。


「はい、カレリン。久しぶりですね。」


それは私が半年前に殺したはずのユキコだった。ユキコはあの時と同じ赤いワンピースを着ているけどボロボロで、足は裸足だった。

体の震えが止まらない。私は心臓を確実に刺してヴィッチ女を確実に殺した筈。なのにどうしてまた私の前に現れるの?

これがジャパニーズ悪霊なの?


「カレリン、アナタに触れさせてください。」


「ノー‼」


私は逃げようとしたけど、ユキコは物凄い速さで近寄って来て、そのまま私を押し倒し、そうしてニッコリ笑って私の首を絞めた。


“ギリギリ”


私はジタバタもがいたけど、ユキコの私の首を絞める力は凄まじく、遂に意識がもうろうとしてきた。


「カレリン。私って人の物って美味しそうに見えちゃって♪・・・今度はアナタの命が欲しいのーーーーーーーーーーー‼」


狂気に歪んだ笑顔を見せつけて来るユキコ。

あぁ、こんなことになるなら日本になんて留学してこなければ良かった。

私は酷く後悔しました。

さよならグッバイ。

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