第5話 雪女その後
雪女は自分の正体を告げると、旦那に別れを告げ雪山に帰った。
「うぅ、話すなって言ったのに。どうして言っちゃうかな?」
旦那が自分のことを話したことに悲しみ憤る雪女。しかし、まさか嫁があの時の雪女だなんて思わんだろ。
“ザッザッ”
その時、雪の山道を歩いて来る者の足音が聞こえた。雪女が誰かと思い近寄ると、それは別れた筈の旦那であった。
「お前さん、どうしてまたここにやって来たんだい?」
雪女が訪ねると不機嫌そうに旦那は答える。
「そりゃお前を探しに来たに決まってるだろ。いきなり居なくなるんだもんよ。」
不意のその言葉に雪女は嬉しさを隠せなかった。わざわざ険しい雪山の道を自分に会うために男が越えてきたと考えると、涙まで出てきた。
「ヨヨヨ、アンタがそこまでアタシのことを想ってくれてるとは、アタシは嬉しいよ。」
雪女のこの言葉に旦那は、はぁと溜息を一つついて、本音を漏らした。
「いや、男一人で子供十人育てるのはしんどいって。」
この後、二人は、よりを戻し、更に十人の子供をこさえるのだが、それはまた別の話である。
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