第4話 勇者パーティの女子会

「勇者様ってウザくない?」


勇者パーティの女子三人が酒場で喋っていると、唐突に女戦士がそんなことを言い出した。

普通ならパーティの仲間として勇者を立てるべきなのだろうが、その発言に女僧侶も女拳法家も同意した。

次は女僧侶がこう言った。


「分かります。強敵とか倒した時にする、私達に向けたドヤ顔とか腹立ちます。」


「あぁ、あれムカつくよね。あとやたら筋肉自慢してくるよね。」


戦士と僧侶の二人が盛り上がって話していると拳法家の女の子も話に参戦。


「あと、やたらとお母さんの話多いよね。《ウチの母さんがさ~》から始まるヤツ。」


『あるある―。』


拳法家の意見に二人はシンクロしてリアクションをする。シンクロするということは二人とも常日頃からそう思っているということである。


「あとアイツ私達の格好ジロジロ見過ぎだよね。あれ絶対エロい目で見てるよ。後でオカズにされてるんだろうね。ビキニアーマー着るの嫌になってきたわ。」


「分かります。あと私なんか前掛けとタイツの格好じゃないですか。砂漠歩いて汗かいてる時、汗ばんだタイツ凝視してくるんですよ。」


「ボクも戦闘終った後、しれっと脇の匂い嗅がれた。」


「それはキモイね。アイツの性癖歪んでるわ。」


旅をする中で三人の勇者に対する評価は駄々下がりであり、最早少しの尊敬の念も抱けないでいた。


「あとさ、アイツ絶対に私達のことビジュアルで選んだよね。女ハーレムパーティ作りたかったんだよ。」


「ですよね。私達、大した実力の無いのに旅に出されて良い迷惑ですよ。」


「王様の命だし逆らえないよね。ボク家に帰りたいよ。」


三人からは勇者に対する愚痴ばかりが出て来る。雇用主が悪いと雇われている側からの不満が溜まるのは異世界においても変わらない。


「ねぇねぇ、アイツ魔王倒したら、私達の誰かに告白するのかな?」


「するんですかね?その時は女戦士さんじゃないですか。」


「いやいや生理的に無理。僧侶ちゃんじゃないの?」


「いやいや、たとて神の御神託で付き合えと言われても無理です。拳法家ちゃんは?」


「ボク14だよ。勇者告ってきたら犯罪だからね。」


「そりゃそうだ。あっはははは♪」


勇者パーティの女子会は夜通し続けられ、酒場からは笑いが絶えることが無かった。








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