第24話
教師に習うのは嫌いだが養成所に通うことに決めた。
その前にオークから奪った武器を売却したかったから武器屋へと足を運んだ。
(けっこう良い値で売れたりしてな)
「武器をお売りに?」
「この武器ですが、見てください」
「ええっと、こ、これは破滅の剣! ちょーレアアイテムですよ。ほとんど目にすることのないお宝級。本当にお売りになりますか?」
オークから奪った剣はめったに流通しない物で武器屋の女性店員の方が驚いていた。
「不要なので売りたいのです。売るとしたらいくらですか?」
破滅の剣は冷には不要だし、アリエルとミーコもタイプが違う、リリスはすでに魔剣グラムをもっていて要らないというので、売却を希望した。
「そ、そうですね、100万マリでいかがですか?」
「えっ! 100万! 高いですが本当なら売ります」
(思ったより高い!)
「ありがとうございました。あのーもしかしてお客様は冷さんで? これはオークの持つ大剣ですかと思ったのです」
「はい冷です。会ったことありましたっけ?」
「いいえ、初めて会いました。とても光栄ですわ!! この町の英雄に会えるなんて幸せです。今日はみんなに自慢しますわ! 嫌じゃなければ握手して欲しいなあ」
「握手でしたら、いいですよ」
「きゃああ、冷さんと握手できるなんて嘘みたい!」
「どうもです」
「じゃあね!!」
女性店員とは手を振って別れたのち、店員は喜びのあまり冷のファンになった。
その一連のやり取りを見ていた3人の女の子は苦笑いするしかなかった。
「けっこう高く売れたのですね」
その値段に最も食いついたのはミーコである。
目をみはる値段には驚くしかなく、しまった!と後悔したのは、もっと早く盗んでいたら100万マリは自分の物になり得たと。
「ラッキーだぞ〜。みんなにも美味しい料理をごちそうするぞ〜」
「やった〜」
3人の嬉しい声だった。
すぐに食事会を開いた。
「冷が中級魔人オークを倒したことに乾杯!」
100万もの大金が予想外に入ったので、祝勝会となり肉やら魚、酒もテーブルに豪華に並んだ。
「でもよく倒せたよ、さすがに私の目は確かだったようです、うふふ」
アリエルは自慢げに言う。
「お前なら、勝てると思っていたぞ!」
リリスも酒を飲みつつ、冷に言ってのけた。
「アリエル、リリス、俺は中級魔人には絶対に勝てないとか言ってなかったか?」
「えっと、聞き間違いってこともあるわよ、あなたにそんな風な絶望を言うわけないっしょ」
「お前の聞き間違いだ」
「わかった、そういうことにしておくよ」
「祝勝会でいうことじゃないかもだけど、冷は知らないが他にも中級魔人は存在しているの。それは転生前からわかっていて、きっとオークが死んだ情報を聞いてるかも。オークの他には、ガーゴイル、ゴーレム、ギガース、サイクロプス、グリフォンと凶悪な中級魔人が揃っていてオークと同等かそれ以上ともせれてるわ。最初がオークで良かったとも言えるの」
「俺は負けないさ、むしろ大金が入って大歓迎、そんでアリエルの太ももでモフモフする〜」
「調子乗りすぎです!」
「痛え〜」
アリエルの太ももに顔を埋めると、平手でピンタを食らった。
世界最強の武術家もアリエルの平手打ちには勝てないという欠点がわかった。
確実にわかったことは冷はすでに中級魔人クラスのランクである。
さらに上には上級魔人が控えており、魔王復活を企む。
「上級魔人については情報はあるかな。中級と比べてどの程度かを知りたい」
「それは、聞かない方が、いいかな」
「どうしたアリエル、知ってるなら教えてくれよな」
「だめよ、知りたい気持ちはわかる。知ったらそれこそ……絶望的」
うつむいてしまい、口を閉ざしてしまった。
「リリスは知ってるのか。魔族なのだし教えてくれよ」
「聞いたら後悔する、今は知らなくていいお前は」
「魔王は、魔王はいつ、どこで復活するんだ」
「復活の地はわからない、だが名前くらいは知りたいだろう。3人の魔王は今どうなってるか不明。魔獣ヘルサモス、魔竜ガノラゴン、魔亀クロノガランは、ひとりでも最悪だが3人揃ったら最悪を越えて言葉がないぞ。歴史上でもこの3人が同時に目覚めたことはない」
「つまり、何が起きるかわからないと」
「オークはまだ弱いほうだとなる」
「なるほど。今の俺は勝てないと言いたいわけだ。ご丁寧に忠告をありがとうございますリリスさん」
(俺の無職狂戦士ならまだまだ成長が可能だろう)
「転生の場での研究結果があり、その見解は全ての異世界地にも影響を与えるとも考察されて、もっとひどい考察だと転生の場をも凌駕し駆逐するというシミュレーション結果がでた。よって一兆個ある異世界は残り僅かな時間で完全に絶滅することになる」
「ずいぶんひでぇ野郎だな魔王はよ」
あまりにも衝撃的な話の内容に冷が落ち込んでしまったのではと思われたのだが、その心配は無駄であった。
なぜなら冷は斜め上に行っていたからで。
「ほお〜。こいつはヤバイな。残りの時間が少ないのなら君たちの胸と遊ばないと損だなあ〜〜〜〜〜」
アリエルのお尻とリリスの胸にダイブして弾力を楽しむ冷であった。
(う〜〜〜ん、最高に気持ちいいぞ〜〜〜〜〜〜)
「ひ、ひとが心配してたのに、このスケベ〜〜〜〜」
「お、お前、最低の変態〜〜〜〜」
アリエルとリリスから同時に平手打ちを食らったのは言うまでもない。
それを見ていたミーコは残念そうに頭をかかえる。
次は飲食店で食べ終えて冒険者ギルドに向かった。
職業養成所の詳しい情報を知りたいからで、パンフレットがあればもらう予定であった。
「あっ、冷さん、良いとこに来ました。たった今、王都から使者が来ましてオークの討伐を大変感謝してると、そして感謝のお礼として3000万マリが授与されると。おめでとうございます!!」
「3000万マリ! それってどれくらい凄いの?」
実際にはどれくらいの価値があるのか、あまりにも巨額なためイメージできないのだ。
「あ、あ、あ、あ、〜〜〜〜〜〜す、すごいっす〜〜〜〜〜」
「おい、ミーコ、大丈夫か〜」
オークの王都からの報酬が膨大な額過ぎてミーコは床に倒れ失神した。
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