第25話
3000万マリを手にしてみて冷は思った。
日本の紙幣と同じような紙幣を使用して、量はたっぷり持ちきれないくらいはある。
「これは、どこに置いたらいいの?」
「そうね困ったわ。クエストに行くとき隠すのも怖いし、かと言って持ち運べる量じゃない」
アリエルにもいい案はなかったら、ユズハ店員が問題ないと。
「それなら問題ないです。我々のギルドがマリをお預かりします。いつでも出し入れできますし安心してください」
「ああ、良かった。そうします」
そこへ男が冷の近くに来る。
鎧を着た男であった。
「君が冷さんかい?」
「冷です」
「私は王都から来た王都騎士団の衛兵だ。今回はお礼を伝えに来た。国王が大変喜んでまして3000万マリを報酬としました。それと王都への許可証です」
「許可証とは?」
「王都は壁で仕切られていて、入り口には衛兵がいます。中に入る時はこの許可証を提示すれば入れます。無ければ入れません。これを差し上げます」
「どうもです」
「オーク討伐は魔族に激震を与えると言われてますから、今後は下級魔人に加えて残りの中級魔人が動き出すとしたら大混乱するでしょう。冷さんにの力が必要になると思います。では私は王都に帰ります」
王都騎士団の衛兵はギルドを出ていった。
アリエルは3000万マリが手に入って一番最初に思ったのは、魔人の標的にあうこと。
「冷、今後は魔人に命を狙われる可能性がある。危険な毎日になりそうよ」
危険と言われて冷は思いついたのは、アリエルとは全く違う別件についてで、それは。
「危険があるなら、こうしてはいられないぞ。早く奴隷商館に行ってネイルちゃんを助けなくちゃ〜〜〜」
3000万マリの重みは冷とみんなでは違ったのだ。
魔人に命を狙われるなど、大した事ではなかったのだ。
早く新しいハーレムを作りたい気持ちが勝った。
商館での取引では800万マリ必要なので、そのぶんだけギルドから引き出した。
取引相手は他にもいると言っていて、今週中にも契約が成立するとのことで、大金が入ったのはジャストタイミングであった。
「みんな、急いで奴隷商館に行くぞ!」
「お前がひとりで行ってくれよ!」
「リリスも行くんだ、新しい仲間ができるんだからな」
渋々ではあるが3人も連れて奴隷商館に到着した。
(間に合うかな〜〜)
「いらっしゃいませ、こ、こ、これは冷さん。話は聞きました。まさか魔人オークを倒されたと」
バタが対応してきたが前回と違い冷や汗をかいている。
[バタ]
性別 男
種族 人族
職業 奴隷商人
隷属契約
「ああ、倒したよ一撃でね。ネイルはまだいますか?」
「い、一撃? はい、他の取り引き中のお客様は、名のある貴族の方だったんですが、この町を出ていったそうです。理由はあの中級魔人と言われたオークが来た際に慌てて出ていったそうです。ネイルを連れて来ます」
少ししてバタがネイルを連れて来た。
恐る恐る冷をみていて、怖がる様子であった。
「ネイル、今日は契約に来た。俺の仲間になってくれ」
「私が仲間?」
「そうだよ。キミの為に大金を用意してある」
「話しでは、どこぞの有名な貴族の方が契約されると聞いてた、あなたが貴族の方?」
「貴族は契約には来ないようだ、訳あって。俺は冒険者さ」
「冒険者さんですか。よろしくお願いします」
ネイルはこくりと頭を下げる、嫌がってはいなかったようで冷は安心した。
[ネイル]
性別 女
種族 獣人族
職業 整体師
スキル 癒やしの手
「それでは冷さん、契約書にサインをお願いします」
「はいよ」
契約書にサインをして約束通りに800万マリを支払った。
貴族がすでに居なくなっていたのもあり、金額は高くはなっていなかったのがありがたかった。
冷の仲間が新しく増えて4人になった。
奴隷商人のバタも商売がうまくいき上機嫌であり、全員がハッピーとなったと思われるが、ただひとりだけは違った。
奴隷のひとりである魔族のキルギスである。
キルギスは魔族の出身であるために、客の好みもあり契約は進まなかった。
オークとは元同僚であり同じ仲間で、探して助けに来るのは承知してて、実は待っていたのである。
「冷さん、実は魔族のキルギスが話がしたいと言ってるのですが」
「魔族の子ですよね、いいですよ時間はあるから」
「キルギス、どうぞ来なさい」
奥から現れたのはキルギスであったが、顔色は悪くとても恐れている風であった。
「た、た、倒したのかい、オークをあんたが?」
「倒したさ、みんな嬉しがってくれてる。キルギスは魔族だからオークを知ってたのかい」
「それ以上の仲さ。彼は私のボスだった。だからこの町には私を救出するのが目的で来た。それを倒したとは、信じられない、こんな人族に負けるとは、どうやって倒したのだ」
「一発ケーオーだった」
「な、な、な、オークを一発で!!!! 化け物かよキミは。人族で彼を倒せるわけないのに、ヒエエエエ!」
恐れをなしたキルギスは真っ青になって、悲鳴を上げながら奥に引っ込んでしまった。
「よほど冷を怖がってたわね今の子」
「俺はキルギスには何もしないのになあ、まいったな」
「それだけ冷が魔族からも恐れられる存在だってことね」
「アリエル、俺を悪者扱いするなって」
「冷がこの町にいたのが運が悪かったのよ」
冷は困ってしまいキルギスに謝りたいが、もう会えそうにないので悪者でもいいかとなった。
(オークはキルギスを救出するのが目的だったとはな)
その話を聞いてバタはも顔色が蒼白となっていた。
手足は震え立っていられないほどに。
「バタさん、どうかしましたか気分が悪そうですよ?」
ネイルがバタの様子が変なのできいた。
「い、いや、初めて聞きました、オークがキルギスを救出すると。てことはここに乗り込んで来る予定だった。考えただけで恐ろしいです」
「あはは」
バタ以外は笑って喜んだが、バタだけは笑いは引きつっていた。
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