第13話
カマイタチを探しに出る。
ピルトの町から徒歩で向かった。
広い草原が広がる地帯に出現すると聞いていて、その地帯に近づいていた。
すると向こうからキツネのような魔物が数匹現れる。
群れをなしていて冷は足を止めて確かめる。
カマイタチ
(攻撃回避)
「あれがカマイタチか。見た感じは俺が知ってるイタチっぽいが」
「あれはカマイタチで間違いない。以前に戦ったことがあるから」
「ミーコは経験があるのか。なら大活躍してくれ。アリエルとリリスも今回は武器がある、1匹づつ戦ってみてくれ」
「賢者の杖があるなら大丈夫」
「魔剣グラムがあれば怖くないぞ」
カマイタチは身構えると即座に走ってきてミーコに襲いかかるのだが、ミーコは攻撃すると見せかけて後ろに振り返るとそそっと逃げるのだった。
「なんで逃げるミーコ」
「この程度の魔物なら楽勝っていいたいけど私の特技は逃げ足。それよりこっちの神族さんらは大丈夫かしら」
ミーコが心配したように次にカマイタチはアリエルに向かった。
冷も本当に戦えるのか疑問があるので近くにいて伺うのだった。
アリエルは賢者の杖で応戦するが、女神のレベルが低いせいなのか元々戦闘向きじゃないのか大苦戦となった。
「風の魔法を使ったのに発動しないの。賢者の杖には魔法が使える効果があるはず」
「アリエル、使い方知ってるのかよ!」
「あっ、いけない、忘れてたわ、すみませ〜〜〜〜〜ん」
「お前は引っ込んでな、このリリス様が直々に成敗してくれようぞ!」
さらにリリスはというと魔剣グラムを振りかぶっていた。
(リリスは期待できるかな)
「うっっっ!」
「どうしたリリス! 敵にやられたか」
「違う、攻撃したら自分にダメージが跳ね返ってきたんだ、使えねえ剣だぞこれ!」
リリスの魔剣はとても強力な攻撃力を持つが、与えた分ダメージも受ける呪いの剣であった為に、すでに瀕死の状態となった。
よって3人ともカマイタチ1匹も倒せずに大苦戦する結果となった。
(こりゃ俺がやらなきゃダメな気がしてきた。だけど俺が手を出せば良いというものでもない)
「アリエルはリリスとミーコの後方につけ! 敵が戦ってる間に風魔法を唱えてみるんだ。その方が時間が稼げるしな」
「じゃあリリスの後方に行きます。リリス頼んだわ!」
「わかったわアリエル。今度はちゃんと唱えるのよ!」
リリスが前方でカマイタチと戦う間にアリエルは呪文を唱える。
「リリス、キミは剣の使い方がなってない。ただ振り回しているだけじゃあ当たらないぜ。相手をよく見ろ。そして魔剣なら魔力を込めてみな」
(俺の予想では魔力を込めると効果があるとみた)
そこでリリスは手に魔力を集中させて魔剣グラムに注いでみた。
「魔剣グラムに魔力を込めた! これでいいんだな!」
「そうだ! 斬ってみろ!」
リリスは1匹のカマイタチを斬った。
やはりダメージは跳ね返ってきた。
「痛みがあるが、相手にもかなりダメージを与えたぞ」
「それが魔剣グラムの効力だろう」
(ダメージを与えられるが、自分もダメージを食らうか……)
事実、魔剣グラムの効力は相手の体力を減らすが自分も減るであった。
呪われる為に誰も装備出来ずにいた。
「これなら前線での戦いもイケる!」
リリスはカマイタチに立ち向かった。
そこにミーコも参戦。
「ミーコ、キミは聖剣ヴェルファイアが使える。逃げずに斬ってみろ!」
(素早さがあるのはわかっている。だから相手よりも先に先制攻撃ができそうなんだよな)
「やってみるわ冷!」
ミーコはカマイタチが身構えるよりも早く、近づいた。
そして聖剣ヴェルファイアを抜いた。
「速い! それに2回斬ったぜ!」
「冷、倒せたわ。それも瞬殺でね!」
「どうやら聖剣ヴェルファイアは2回攻撃できるようだな。さすがに相手も死んだようだな。その調子で戦ってくれ!」
(凄え効果だな。俺も今まで剣豪と呼ばれる達人を見てきたが、2回攻撃なんて初めて見たぜ。ちょっとうらやましいな)
「あいよ!」
事実、聖剣ヴェルファイアには特殊スキルで2回攻撃ができた。
冷には1回見ただけでその特殊スキルを見抜くことが可能であった。
数ある有名な武術家の剣を受けた冷だからと言えよう。
そこへ今まで控えていたアリエルが声をあげる。
「リリス、ミーコ、行くわよ私の風魔法。シルフィード!!!」
アリエルが魔法を唱えると辺りは強い風が発生した。
風は強烈な勢いを増していく。
後方からカマイタチの群れに向けて放たれた。
数匹いたカマイタチは1度にシルフィードを受ける。
死にはしなかったが致命傷を与える。
「やったわ。あれだけのカマイタチが弱ってる!」
「アリエル、良いぞ今のシルフィード。きっと全体攻撃したんだろう。全匹がダメージを受けてるぜ。その調子でもう1回だ!」
「やってみます!」
アリエルは魔法が成功したので嬉しがる。
だがそこへ新たなるカマイタチの群れが現れる。
「ねえ冷! また敵が! どうしよう、数が多いわ」
最初はカマイタチの数は5匹であった。
だが今は15匹にも増えていた。
これは3人にも手におえる数を超えていた。
「みんな下がってろ、俺がやる!」
(ちょっと多いな。ここは俺の出番てとこか)
「任せたわ!」
冷はナギナタを構えるとカマイタチの集団に立ち向かい、攻撃を繰り出したのだが一度も当たらないという結果に驚いた。
カマイタチは攻撃回避のスキルを持ち、敵の攻撃をスルリと避けてしまうのが得意な戦いであった。
冷は見事に敵にしてやられたのだ。
カマイタチに囲まれる形になり絶体絶命の状態へとなり、一般的な冒険者ならもはや自分の死を覚悟し諦めるか、自滅の攻撃に打ってでる。
ところが冷は違った。
なんとにこやかに笑ったのである。
(少しはやりがいのある魔物だな)
攻撃を回避する相手とは今までにも経験豊富済みであり、戦い方は熟知していたのだ。
幼少時から素早い敵の動きを捕らえる訓練として、ハエを用いる方法で、ハエの素早い動きを割り箸で捕まえるという荒技であった。
回避する動きを予測し行動にでて捕らえる技であり、この技を駆使してハエを捕まえるのだが、父親からは一日100匹を捕まえるように言いつけられた。
並の人間なら精神的に負けて廃人になるところを冷は1000匹捕らえたのであった。
そのため冷の実家付近にはハエや蚊一匹もいないと近所からも不思議がられていたが、原因は冷であった。
カマイタチが全匹同時に襲って来た瞬間であった。
「冷!!!!」
危険を知らせるメッセージが冷に届いた。
冷はカマイタチの動きをよく観察し、どういう動きなのかという動きの癖を見ていた。
冷の動体視力は1キロメートル離れた距離のオフィスレディのスカートがめくれパンツが何色かを区別出来ていた。
カマイタチは攻撃を右に避ける癖があったのが判明して直ぐ様攻撃に活かす。
予測した動きに合わせてナギナタを振るうと今度は完璧にヒットし全滅させるのだった。
(俺には2度も通用しないのさ)
[冷]
攻撃回避を覚えました。
「やったーーー! 冷、全滅したわ!」
「まだまだ余裕だよ俺には。それよりも素材の収集は頼むぞ」
3人には素材の収集を任せ、冷は次のカマイタチの群れを探していた。
何度か群れに遭遇して全滅させると無職レベルが上がっていた。
柳生 冷 やぎゅう れい
性別 男
種族 人族
ユニークスキル スキルストレージ
職業 無職狂戦士バーサーカー
レベル1001←200アップ
体力 3509←1200アップ
攻撃力 3509←1200アップ
防御力 3509←1200アップ
魔力 3509←1200アップ
精神力 3509←1200アップ
素早さ 3509←1200アップ
剣術レベル 599←100アップ
柔術レベル 599←100アップ
槍術レベル 599←100アップ
弓術レベル 599←100アップ
斧術レベル 599←100アップ
無職狂戦士レベルは801から1001に上昇した。
ステータスインフレーションは発動し驚異的な上昇を今回も得た。
(またもや俺は強くなったようだな。このまま行くと俺はどうなっちまうんだ。まあ強い分には損はないと思えばいいだろう)
自分でも理解できない程のステータス上昇に冷本人も困惑。
だが前向きに考えればいいとなった。
「よし、今日はこのへんで帰るとするかな」
「もう十分だろうこれで」
「帰りがけっこう大変なんですけど」
気付くと素材の入れた袋はぱんぱんになっていて、かなりの重量に増えて3人で苦労して持ち帰る。
冒険者ギルドに到着する頃には、クタクタである。
「疲れただろ持ってると。重そうだもんな。これも俺がしている訓練のいっかんだ」
「冷は気楽だ、手ぶらだろ!」
「ミーコは逃げ足ばかりだから、重いのを持って鍛えるためのトレーニングさ」
「トレーニングなんて嫌〜〜〜」
ミーコは冷の仲間に入って洗礼を受けたのだった。
さっそくユズハ店員に素材を渡し仰天したのだった。
「こ、こんなにも!!!!! カマイタチは簡単に倒せる魔物ではないのに。相変わらず冷さんには驚いてしまいます。すごい素敵です」
ユズハ店員が目を輝かせるので冷は思わず照れてしまう。
接客ではどうしても緊張してしまう冷であった。
それを見た他の冒険者らは震える始末であり、冷と目が合うと固まって何も言えなくなる。
かけ出しの冒険者の扱いは、とっくに終わり中級冒険者以上の位置づけとまで登りつめていた。
「よし、今から広場で訓練をするぞ!」
「はあ! 何言ってるの!!!」
3人同時に罵声が。
「今日の戦いではまだまだ。もっと強い魔物には太刀打ちできないだろう。だから稽古をしてやろう。俺が魔物だと思って今日覚えたことをやってみな!」
「うう〜〜疲れてるのに〜」
「お前という奴は……鬼か」
「冷が1番の敵ですね」
こうしてクエストを無事に終えて町に帰ったら訓練が始まった。
当然に3人は不満爆発。
だが冷には誰も逆らえず訓練は強行された。
もちろん冷は彼女達の為を思ってのことである。
あえて鬼教官となるのを選んだのだ。
(3人を鍛えてクエストをする。また鍛える。俺が鍛えると彼女達は強くなるのがわかった。きっと潜在能力が高いのだ。彼女達はその事に気付いてないようだから俺が潜在能力を開花させてやりたい。俺も小さい頃から道場に通ったもんだ。厳しかったがそれで今の俺がある。彼女の道場が必要だな)
3人の弟子とも言える女の子を抱えた冷は、自分の幼い頃の訓練を思いだしていた。
いっけんすると弱い彼女達ではある。
しかし隠れた才能、潜在能力があることを見抜いた。
鍛えることによって彼女達が強くなれると分かる。
そしてこの地に道場を作ることを思いついたのであった。
「よし、訓練はここまでとしよう。ご飯でも食べて帰ろう」
「やった〜〜〜」
3人とも手をあげて喜ぶが、足は疲れて疲労が溜まっていた。
再び宿屋に戻りたいと思うのは、お楽しみの時間が待っているからで食事も早々に済ませてしまう。
宿屋に到着しお楽しみを再開。
「今日のアリエルは何だ、魔法の唱え方を忘れたとは」
「うう、自分でもうかつだった。でも少しずつ魔法も使えるようにしますわ」
「罰として今晩は一番可愛がってやろう〜〜〜」
「ええええええええ私を!」
「魔力がない女神など女神と呼べないもんな」
「冷、冷。ちょっと待ってよ。クエストで体力を使い、その後には訓練もしてるのよ。私の体はしんどいのがわかるでしょ。今日は寝かせて」
「ふふっ。俺の方はあいにく疲れてないんでな。アリエルよもっと鍛えて体力をつけないとダメだぞ! それではいつものヤツを……」
「いつもの……まさかアレか!」
「正解だ!」
スパ〜〜〜〜〜。
凄まじい速度で3人の防具が脱がされた。
後には下着だけに。
「いいいいいや〜〜〜〜!!!」
冷はステータスが上昇し素早さが猛烈に上昇。
防具を脱がせる速度も当然にアップしていた。
もちろんリリスとミーコもその後でタップリと楽しんで朝を迎えた。
(女神とはいえベッドに入れば普通の女の子だよな。本来なら人族の上に立つのだろうが、今のダメ女神をみんなが知ったら驚くだろうな)
こうして3人の仲間が出来た初日は終わった。
ミーコが加わりハーレム度はさらに増していくし、目的である魔王の討伐など関係ない感じで冷には楽しければいいやくらいの認識であった。
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