第12話
翌朝はグッタリとした女の子と同じベッドの冷。
(昨日は3人を可愛がり過ぎたかな。俺もつい張りきり過ぎだったなこの状態じゃあ)
少しだけ反省する。
3人が起きたら出発とすることにし、それまでは冷もゆっくりとベッドで過ごす。
「うう〜よく寝たかな〜」
「寝すぎってくらいな。もう昼なんですが」
「お前が……その……変態だからだろ」
リリスはベッドから起きて直ぐに下着を身に着ける。
「変態は言い過ぎだろ」
「いいえ、正真正銘の変ですことよ」
アリエルも恥ずかしそうに下着を身に着ける。
「ミーコは俺をわかってくれるよな?」
「これが変態でなくて何が変態でしょう」
ミーコも素早く下着を身に着ける。
3人は防具までも身に着けてしまい、冷としては寂しい気もした。
「それは置いといて武器屋にでも寄ってみようと思うがどうだい」
「ええ、そうしたいですわ。クエストをするならいい武器は必須でしょうから」
「じゃあ出発だ」
武器を購入することにし、朝食後に武器屋に向かった。
素手で戦うのは冷は問題はないが、武器が良ければ戦闘も期待できると思ってのこと。
武器屋は店内に剣、大剣、短剣、斧、杖、ムチ、槍などが並べられあらゆる武術に興味がある冷には目移りしてしまった。
(かなり揃ってるな)
「アリエルは杖が希望だったよな。杖なら腕力がなくても使えるし、魔法も使えるだろうからどうかな」
「女神としてはそれでオッケーです。杖なら使えるから、この杖がいいかなあ」
アリエルが手にしたのは賢者の杖であった。
「お客様、それは賢者の杖でして職業が賢者になられた冒険者専用の物になります。賢者にしか装備はできませんので、お気をつけください。賢者の杖は世界屈指の杖でして選ばれし者だけが使えるレアアイテムです。ちなみに装備は職業が一致してないと効力はありませんので宝の持ち腐れとなります」
武器屋の店員は女性でアリエルに接客してきたが、接客用の残念な笑みで申し訳ない対応をする。
「う〜〜ん、これが気に入ったのよ。私に似合うと思って」
杖を持ってみて似合うかなとポーズをとる。
「アリエルは女神だろ、賢者よりも上位じゃねえかな。ダメ元でもいいから装備してみろよ」
リリスが他人事のように言うと店員は驚いた。
「えっ、女神!! 今、女神と聞こえたのは気のせいかしら」
女性店員はアリエルを見るが可愛い女の子としか思えない。
アリエルはリリスに言われて装備してみると。
「リリスが言ってる意味はわかるわ。賢者より女神は上っていう意味よね。まあそれなら装備できないと女神としても文句があるし、装備できたわ、問題はないみたい冷。これ買って欲しい!」
案外と簡単に装備ができた。
アリエル本人も当然という顔をした。
「よしじゃあアリエルはこの賢者の杖で決まりだな。能力は分かんないが」
(賢者て言えば有名な職業だよな。それも専用のレアアイテムってことは間違いないだろうから、買って損はないとみた)
「えっ!!! 装備出来たと、こんなに若い子なのに賢者にまで成られたとは凄いです。賢者とは知らず失礼しました」
装備が出来てしまい立場のない店員。
「いえいえ私は職業は賢者ではありません。その上って言うのかなこういう時は。つまりは賢者も驚く女神なにですことよ」
「ええええええええ! 女神ってあの女神ですか?」
「あの女神です、女神アリエルですが何か」
「めめめめめめめ女神アリエル様!!! あの伝説の神族の。し、失礼しました」
女性店員は大慌てでアリエルに謝罪するもアリエルは気にはしていない。
「ああ、いいのよ、実はさ女神ってのは隠してるから」
「どのような理由でこちらには来られたのですか?」
「う〜〜んとね、ほら、魔人とか魔王がいるよね、その魔王を倒すため冷と来たのよね」
「なるほど…………魔王を倒すのですね、神族様なら可能でしょう。それはとても助かります我々は恐怖に怯えて暮らしてる毎日ですから」
アリエルは本当は来たくなくて来たのは、ごまかし魔王を倒す為と言っておいた。
あながち嘘ではないのもある。
「しかしアリエルが装備できたのはなぜなんだ。賢者じゃねえだろ」
冷は詳しい事情を訊いてみる。
「それはね女神は賢者の上位職業ですから問題はなかったのでしょう」
「そうか、弱くても女神で良かったな。賢者ってのも大変なんですか?」
冷は賢者について店員にきいてみた。
「賢者はとても長い時間の修行を得て成れる上位の職業です。魔法使いや僧侶の方には憧れの職業ですし、成れるのはその中でごく一部の選ばれた者だけに与えられる栄誉ですね」
「じゃあ賢者の上位職業の女神ってのはもっと凄いのか」
「それはもう伝説の職業です。お目にかかれただけで幸せです」
「君は凄いんだな」
「やっと気がついたのか、遅いっての!!」
今さらながらにアリエルの偉大さを知った冷であった。
[賢者の杖]
超レアアイテム。賢者の職業についた者が装備可能。攻撃力は大幅にアップ。効果は風の属性の攻撃ができるが魔力を消費する。
アリエルは賢者の杖を購入と決定し、次はリリスの武器を拝見することにしたら、リリスは剣が気に入り一本の剣を手にした。
「これがいいな、いい雰囲気だし怪しい感じもいいぞ、店員これは何ていう剣だ」
「そそそ、それはお手を放しください今すぐに!!」
「何だよ、放せって言われると欲しくなるな!」
「ああああダメです、それだけは、その剣は魔剣。装備すると呪いにかけられてしまいますから!!!! ただし装備できるのは魔剣士の職業につかれた方限定ですが」
女性店員は大慌てでリリスに忠告した。
店員はリリスを見てこの若さで魔剣士に成れることはないと内心は思っていた。
「ほう、魔剣か装備してやろう、私は魔剣士じゃないが」
「大丈夫ですかリリス。もし呪いにかかったらどうする気ですか」
ミーコが心配して止めに入る。
だがミーコの忠告を無視してリリスは魔剣を装備してみると装備に成功してしまった。
「うん、いい感じで装備できたぞ店員。これを購入するぞ」
「ええええええええ! ま、魔剣士だったの!! とんでもない長く苦しい修行の末、成れる職業のはず。どうやって魔剣士になったのですか?」
「魔剣士などの下級職業と一緒にするな」
「か、下級職業といいますと、もっと上の職業につかれてるとあなたが?」
「魔剣士の上位職業である淫魔じゃ。だから装備できて当然だろう。驚くことじゃないぞ」
「い、淫魔!! ありえませんことです。淫魔とは神話にしかでてこない伝説の職業のはずですし、もう古い時代に滅んだとか」
「伝説の淫魔のリリスとは私のことだぞ。訳あって武器が必要になった。冷よ、これを買う」
[魔剣グラム]
超レアアイテム。魔剣士の職業についた者が装備可能。装備した者は呪われる為に魔剣士でも持つ者はほとんどいない。
「魔剣グラムか、強そうだしいい剣かもな。とりあえず呪いにはかかってないのだろ?」
「問題ない」
「そしたら最後はミーコだ。ミーコは勇者っていうくらいだから戦士のように剣を使うのがいいかな」
「ええっと、私はどちらかと言うと背が小さいし大きな大剣は難しい。ですからやや小さめな剣はありますか?」
アリエルとリリスと比べると背は小さいミーコ。
「やや小さめならこれでどうかな。軽そうだし、力がなくても振れそうだろ」
「そ、それは無理でしょう。杖と魔剣の件は例外として、こちらもレアアイテムです。聖剣ヴェルファイアでして聖なる血筋の持ち主の限定品となります。使える方がいませんから、コレクションとして集めるのに人気がありますが。お客様のように戦力としての武器とは正直言えません。別のを検討をすすめます」
「そうか残念だったなミーコ。飾り物にはいいみたいだ」
「でもなんだかとても懐かしい感じがする。装備してみたいです。よろしいですか」
ミーコは引き下がらずに店員に求める。
「ええ、お客様がどうしてもと言うのなら、装備は構いませんが、王都でも誰も装備出来ずに良い値で買った物でして」
店員はちょっと困った顔をした。
装備出来ずお客が怒るのではと思って。
ミーコは手にしみる。
「装備できました。私は聖剣ヴェルファイアの持ち主の資格があったらしいわ!」
「よかったなミーコ。それに決めたら」
「冷、これでお願いします」
「ちょっと、ちょっと待ってください。失礼ですが装備出来るとは考えられませんね。まだあどけない少女ですし、とても聖剣の持ち主とは思えません。きっと間違いではないでしょうか?」
店員は疑いたくはないが、とても信じられなく、つい言ってしまった。
「間違いないよ、私は装備出来てる」
「やっぱりアレのせいだろ。ほらミーコは勇者の血筋だろ。それが影響してるんじゃねえ」
「ええ!! ちょっといまリリス様が言ったのは本当でしょうか。そんな、勇者の血筋はとっくに途絶えたと言われてるのですよ」
店員は慌てて説明をする。
「でも私はそう言う風に教わったのよね。それで生まれた町を追い出されたの。嘘つきだとなって」
「じゃあ教わったのは本当だったてことだろう。よしそれを購入しよう!」
3人の武器を指定し店員に会計を求める。
「えっと、賢者の杖、魔剣グラム、聖剣ヴェルファイアでよろしいかと」
「それでオッケーです」
「は、はい。ですが超レアアイテムですし、お値段が高い品となり正直売れなかったんです。購入されますか」
「マリなら沢山ある。これで足りるかな」
「十分足ります。ありがとうございました」
妖鬼を倒したことにより冒険者ギルドから多額のマリをもらい受けていたのであり、3本の武器の購入代金にあてた。
女性店員は夢でも見てるかのように冷達を見送る。
実は魔剣グラムはあまりにも売れなくて困っていた商品でバーゲン中で格安であった。
賢者の杖はそもそも賢者がこの町にはいないと分かり、これまた大安売り中であり、ラッキーにも妖鬼討伐で手にしたマリで購入出来たのだった。
聖剣ヴェルファイアも売れずに置かれていた物であった。
女神と淫魔と勇者の血族に商品を売る日が来て、店内で瞬きすらできないほどの衝撃的な日になった。
こうしてアリエルとリリス、ミーコはレアアイテムを持つことで戦闘にも参加でき、探索は4人で行うとし、冷のパーティーは町では有名になっていた。
(さっそく、冒険者ギルドに行ってみよう!)
ギルドに到着するや店内は騒ぎになったのは楽しみ冒険者らが冷を見て恐ろしくなり逃げる者や、椅子から転げ落ちる者もいた。
世界最強の無職の武術家と女神、淫魔、盗賊とがいるメンバーは冒険者達を恐れさすには十分であった。
「ど、どうも冷さん、妖鬼の討伐は助かりました。ギルド内でも冷さんの評価はうなぎ上りでして、今後も大活躍するのではと噂で持ち切りですよ。しかも驚くのはいまだに職業は無職なのが不思議です。もし無職じゃないならもっと強くなるのにと」
「俺は誰かに教わるってのが苦手なもんでね。講習を受けてまで職業は要らないさ。だって今の無職狂戦士でも妖鬼は倒せたし必要性がないのさ。それよりもクエストを紹介して欲しいんだ、ランクは昨日までのでいいんで、なにしろ仲間の経験値を積ませてあげたいから」
「なるほど、お仲間が1人増えたのですね」
「はいミーコと言います。今後はよろしく。ちなみに私は勇者の血族ですから、強い魔物のクエストを頼むわ」
「えええ、今何とおっしゃいましたか。確か私の耳には勇者の血族と。それは失礼ながら大嘘と思われます。勇者の血族はとっくに途絶えたというのが定説ですし、ギルドも数百年は確認してないと」
ユズハ店員は首を振って否定した。
「ほれこれ見てよユズハさん!」
ミーコが先ほど購入した聖剣をみせる。
「それが……なんでしょうか?」
ユズハ店員は首を傾げる。
「聖剣ヴェルファイア!! 何とこの聖剣は勇者の血族しか装備できない仕様。この聖剣を装備してしまいました。だから勇者の血族ということが決定したのです!」
「えええっ!!! 聖剣ヴェルファイアと言えば、あの有名な勇者が使用していた武器ですが。まさか……。大変に失礼を言いました。どうかミーコさん許してください。それとこちらが今日のクエストですどうぞ」
クエストランク3
カマイタチの討伐
報酬 一匹 1800
「カマイタチですか、妖鬼みたいに狩りますよ」
冷は無職狂戦士レベルが601から801に上がっていたのは妖鬼を倒して一気に経験値を獲得したからであった。
本日はカマイタチとの戦いへと出発すると決め、ミーコも加わり探索に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます