第11話

 妖鬼を無事に倒し冷は宿屋に帰ることにした。

 ミーコも一緒に連れて来ていて、謝ることで許してとお願いする。


「ごめんなさい謝る。袋は2つともお返ししますので」


「袋は返してもらうわ。でもねこの袋は空っぽだったのよね」


「空っぽ! ちぇっ、空っぽを盗むなんてドジしたわ私」


 ミーコはがっくりとして残念がる。


「そうがっくりとすることはないさ。ミーコの盗む技術はなかなか良いものを持ってると思えたさ。ミーコが良ければ俺達の仲間にならないか?」


「仲間に? こう見えても私は盗賊よ、普通の冒険者とは違うの! だからお断りする」


「助けてくれた冷の頼みをお前さんは断るってのかい?」


「リリスさん、盗賊を舐めてもらっちゃ困る。今度は絶対に盗んでやろうと思ってんだ。負けっぱなしじゃプライドが許さないんでね。仲間の件は断る!!」


「俺としては新しい仲間を探してて君にいて欲しいのさ」


(可愛いし、知り会えたのだから仲間になってくれねえかな。何つってもパンツ見ちゃったからには、このまま別れるのはもったいないのだ)


「断る!!!」


 冷は森で見たミーコのパンツが目に焼き付いていてどうしてもまた見たいのであった。

 しかしミーコが頑なに断るので最後の手段を使うことに決め、ニヤリと口元を開いた。


「あっ、冷邪、まさか、今のニヤリはアレをする気かい?」


「アリエルよ、鋭いな、さすがは女神だけはある」


「女神? それにアレをするとは?」


 ミーコはアリエルが女神と聞いてもピンとこなかった。

 それに冷の笑みも理解できない。


「もう1回、パンツを俺に見せろっ!!!」


「って!!! 何を!!!! きゃあああ!!!」


 冷は目にも止まらぬ速さでミーコの防具と衣服を脱がしてしまう。


「俺にパンツを見せたからにはミーコは今日から俺の仲間だぞ、いいな」


「い、い、いやで、仲間になんかなるかよ……でもこんな姿見られたからには……責任取ってくれるよね冷!」


「ああそのつもりさ。よし、ミーコは仲間になったぞ!」


「冷、仲間にしたのはいいけど、パンツを見せるのはもう止めさせたら?」


「あっ、そうだな」


 ミーコにはパンツを見せる行為をやめさせると、急いで隠したがその顔には悔しさがあった。

 まさか冷達の金品を奪いに来たのに、半裸にさせられるとは思いもしなくて、いつかは冷から奪い取ってやると誓った。

 結局のところその日はクエストは止めて食事を取ることでミーコとは仲良くなる。


「えっと、アリエルさんて職業が女神なんですか、確かに私には女神と聞こえたから、聞き間違いですよね?」


「女神で合ってます。隠す必要もないけど女神だと言うと驚いてしまうのでおおっぴらには言ってません。女神アリエルとはね!」


「えっええええええええ! 嘘よ! 女神アリエルって伝説の神族のお方。こんなところに居る理由があって来られたのかな」


 衝撃を受けるミーコ。


「まあ、魔王を倒しに来たとだけ言っておこう。冷は魔王討伐の為に選ばれた者だったの」


「冷が。あの強さは普通の冒険者じゃなかった。納得しました」


 本当は来る予定などなかったが、苦しい言い訳で魔王討伐としておいた。

 女神としてのプライドが言わせたようである。

 あながち間違っているわけではないので冷も否定しなかったのだ。

 

「それと私は魔族で淫魔のリリスだ、仲間になってやろう」


「えっ! 淫魔って言いました今!!!! あなたも伝説のお方の淫魔とか?」


「悪いか。断わっておくが来たくて来たんじゃないから理由は聞くな以上」


 実は淫魔であっても大して能力がなかったから、追い出されたとは言えなかった。


「あ、はい、わかりました。なんかとんでもないメンバーの仲間入りしたのかしら……」


「でもミーコは勇者って言ってたよな。それって職業なのか。勇者て凄え強そうな俺のイメージなんですが。ゲームとかだと魔王を倒すクラスの冒険者じゃねか?」


「はい、私の遠い遠い遠いご先祖様が魔王を封印したそうです。ですから薄い勇者の血が流れてると言えばわかりやすいです。ちなみに職業は盗賊ですが、いつかは勇者にしたいと願ってるのよ」


「薄い勇者か。なんとも微妙な感じだよな。まあ血統がいいのだしいつかは勇者になる目標があるのはいいことじゃんかよ。俺が勇者にしてやるぜ」


(血統がいいなら戦闘の素質はあるのかもな)


 この時、ミーコの戦闘能力の素質を薄々感じ取っていた。


「ミーコには俺と戦闘に加わってもらうぞ。それにアリエルとリリスもだ。それとクエストに合わせて武器も買い揃えよう」


「まあ武器くらいは必要だ。魔剣を頼む」


「私には女神らしく杖をお願いします」


 アリエルとリリスにも積極的に戦闘に参加してもらうことにした。

 ミーコは新しい居場所を見つけ気楽にいこうと考えていたのだが、それは間違いであった。

 間違いだと知るのはその日の夜であり、冷は夜になるのを我慢して待っていたのだ。


(ようし夜になった。今晩はミーコもいる。もっと楽しめそうだぞ)


 3人をベッドに寝かせると冷は手始めに服を脱がせるのはいつもの通りであり、ミーコは悔しい顔はするが脱がざるを得ない。


「く、悔しい〜〜〜。 私の体を盗む気か。そうはさせん……」


「もう盗んじゃったぞ!」


「い、いや見ないでくれ。裸を見られるのは盗賊の恥だ」


 ミーコは胸は大きい。いわゆる巨乳であるがプリンとしたお尻はとてもキュートで触ると柔らかである。

 いつもよりもミーコが加わりひとり多いのはさして影響しなかった。


「お前、3人相手にして勝てると思っているのか。さすがに今晩はお前の負けだろ!」


「試してみるがいい俺の体力をな。言っておくが俺の体力は異常なほど上がってるぜ。俺が驚くほどにな!」


 リリスが言った冷が体力的に負けるという意味であるが、アリエルとミーコも疑わなかったのは当然であり、常識的に当てはめて正しいだろう。

 だが冷には常識的など意味をなさない。

 3人は完全にグロッキーされて、放心状態と化した。

 しかも冷は余裕満点であり、体力を持て余す余裕っぷりを披露した。


「こ、この人、何なの!!」


 ミーコは楽していこうとした考えは一変に狂ってしまった。

 楽ちんどころの騒ぎではなく、冷を相手にしたらとても体が耐えられそうにない。


「3人でも相手になりませんか。女神もビックリします」


「お前はどんな教育を受けてきた!」


 結果は見ての通りである。

 冷は新たにミーコを加えたのは大正解であったと自分の感を褒めたたえた。

 

(この世界はやっぱり天国だ!)



[ミーコ]

性別 女

種族 人族

職業 盗賊レベル10

スキル 逃げ足

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