宇宙

らくがき。

宇宙

宇宙人は現実にいると思うか。という質問を君はいきなり投げかけてきた。

いないでしょ。僕は、いつものふざけた質問だと思い受け流した。君はいつも突然に質問を投げかけてくる。些細なことから突飛なことまで。その度に僕は、雑に返事をして会話を終わらせていた。

「今日は何の曲を聴いてるの?」

君が僕のイヤホンを片方取って、自分の耳に近づける。

僕は音楽をイヤホンで聴くのが好きだ。耳から流れてくる振動たちが脳と心臓に伝わって、そうすると血液に音が混じって体中を巡っていく。この恍惚感が堪らなく好きだ。

「君ってハマると、同じ曲をリピートしまくるよね。すごくわかりやすい」

「別にいいでしょ。これが僕の楽しみ方なの!」

「へぇー」

しばらく僕と君でひとつのイヤホンを共有しつつ、音を楽しんだ。この何気ない日常が好きだった。時間がゆっくり進んでいるようなこの感覚。じっくりと確かめるように噛み締めた。

「やっぱりさ、宇宙人って現実にいると思う?」

「さっきから何?知らないよ、そんなこと」

「じゃあ、僕が宇宙人だって言ったらどうする?」

この人は何を言っているんだ。

僕は、いつものようにてきとうに返せばよかったのに、何故かその時だけ君の声色がやけに真面目に感じられたから、それに惑わされて何も言えずに固まってしまった。

少しして

「本当に?」

と間抜けな声を出して聞き返してしまった。

だって君はいつも僕の想定外だから、ちょっと期待してしまったのかも。そういう展開を。僕、実は宇宙から任務のためにここに来てて、最初はカモフラージュのつもりで君と仲良くしてたのに、いつの間にか君に惹かれてた。その、だから、好きなんだ、君が。って、そういうのありそうじゃん。

「馬鹿だね。君は」

少し笑った君の顔は、柔らかく、ふにゃりと緩んでいた。でも、その奥にある目には光が宿っていなかった。

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宇宙 らくがき。 @uuuiiobgrl132

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