第3話 話が途切れない人
一人の帰り道も、友達との帰り道も、どれも楽しいものだけど
こんなにも家が遠くなればいいのにと思う帰り道はほかになかったなと思う。
るんるんでお散歩する柴犬のさくらちゃん
小さなころから毎日挨拶する近所のおじいさん
季節で様子の変わる花壇のあるおうち
歩きたくない日ももちろんあったけど、毎日が割と楽しくて、今はもう帰ってこない時間。
友達と帰るときは好きな人の話や気になるテレビ、面白い先生に家族の話。学校で話すよりも人に聞かれなくていいものだなととにかくいろんな話をした。
いつから一緒に帰っているのか覚えていないけど、肩を並べて歩いていた気がする。
気がついたら自転車を引きながら歩く君の横でどきどきしてた記憶がある。
いつもおすすめの漫画や本にゲームの話、色気のある話なんて全くなかったけど一緒にいられるだけで楽しかった。
重たい荷物を自転車に乗せてもらって、いつもより気持ち遅めに、ゆっくり歩く。
優しい君は歩く速度を合わせてくれて、少しでも長くいられるように祈りながら
じっと見ちゃうと変に思われそうで、でも君は話すときにこっちを向いてくれるからついつい顔を見ちゃって。よく目があった。
私の家の前についても、毎日何度も話してるのに話が尽きなくて
日が暮れるまで、暑くても寒くても、暑いから日陰にいこって言いながら、寒い〜!って笑いながらずっと話してた。
あの瞬間に話したかったのは、きっと私だけじゃなかった、はずだ。
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