第2話 ずるい人

私のこと好きなんじゃないかって勘違いをさせるくらい思わせ振りな人


目が合うと「ん?」といいながらふにゃっと笑って、私と同じ方向に首をかしげる。

ただ視界に収めていただけなのに、ふいに殺される。

好きだなと思った。


普段はよく寝ているから、ほわほわと、どこかけだるい雰囲気すらあるもので

部活をやっているときのきりっとした姿を見かけると、いつも別人だなと思っていた。


同じ教室にいたときも、離れ離れになってしまった時も

廊下の先から手を振りながら笑顔で歩いてくる

でも別に用事はなくて、少し話して解散する。

そんな少しの時間がその日一日をきらきらにしてくれて。

恋ってすごいなって思ってた。


離れ離れになったとき、少し期待しながら君のいる教室の前を通る。

少しでも見られたら、会えたらいいなって思いながら気持ちゆっくりと歩く。

窓際の席から名前を呼ばれて呼び止められる。

挨拶して手を振って終わり。

もし友達と話してても、こちらに気が付いたら手を振ってくれたりして。


文化部の私は、帰りにテニスコートの横を歩いて帰る。

部活がなかったら部活をしている君を見られるかなって期待しながら帰る。

緑のネット越しに、見つけられたときは嬉しくて

目が合ったらもう舞い上がってしまう。


試合中でさえなかったら手を振ってくれたり、近づいてきてばいばいを言ったりする。

今日は一緒に帰れないけど、単純な私は、会えてよかったなっていい気分で帰る。


これで付き合ってなくて、ただ私の片思い。


ずるい人。好きだー

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る