第17話 地方都市・ザイオン

遺伝子操作技術により生み出された、鉄のような硬さがあり、木材本来のしなやかさを併せもつが、燃えにくい高層建築専用木材で建てられた高層建築群の街は、建物から木の香りもして、森林の中に街がある。

建物どうしは、木製の空中廻廊で繋がっている。

地上90mの大木が街のあちこちに、そびえ立って、見上げると青々とした葉が生い茂り、そよ風に“カサカサ”と枝を揺らしている。

直径6mもの太い幹周りから伸びる太い枝が放射状に高層建築群へと、空中廻廊が繋がっている。

『メアリー平気だって、ホラ!ついておいでー。』ジャスティンてんベイカーは太い枝に吊るしてあるロープに勢いよくジャンプして、両手で吊り具を握り、隣の大木まで“ビューン”と、空中散歩…ロープから飛び降りた瞬間、足の裏から逆噴射して“ストン”と、着地した。

『ほら!大丈夫だって。落ちても網があるから。』頭の上で、両手を振りながら大声で話すジャスティン

あちこちで空中散歩する子供の声が飛び交う。

『お兄ちゃんと来るのイヤー。』半べその、メアリー

下の大型空中広場では音楽コンサートが開催されている。

人気のダンスユニットで凄い盛り上がり、閑静が聞こえてきた。

隣の大木から、ジャスティンが飛んで、メアリーの前に“ストン”と、降り立った。

『メアリーは空中散歩好きじゃないの?』と、ジャスティン

『…うん。』と、メアリー

ジャスティンは多機能眼鏡を胸ポケットに入れた。

『じゃあ、コンサート見に行く?』と、ジャスティンは手を繋ごうと、メアリーに手を差し出す。

メアリーはジャスティンの顔を見てから手を繋いだ。

太い幹周りのどこまでも続く、らせん階段を、歩いて行くことにした。

歩きながら見る景色は素晴らしく、森の中を歩いている感じ。

ジャスティンとメアリーは歌いながら歩いている。

やっと空中廻廊に降り立つと、ダンスユニットのメンバーが手を振ってステージから降りて、アカペラのユニットがステージに揃ったところだった。

しばらくすると、聴衆は静かになって、歌いだすのを待った。

リードボーカルが指を“パチン”と、鳴らすと、高音のソプラノ、低音のバリトンで息ピッタリに歌いだし、続いてアルト、地声とファルセットのミックスボイスの美しいハーモニーに聴衆は酔いしれた。

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