第5話:試験
その後、マルケルは無事魔法を創ることができ、寮室に戻って一晩眠った。太陽の日差しがマルケルの顔を照らし、その光でマルケルは起きた。時刻は、6:50。丁度良い時間に目覚めた為、アラームを鳴らすのは止めて、そのまま起きることにした。マルケルは、不安だった。何故なら…。今日は"試験"だからだ。前にフェルマが言っていた。創った魔法の出来によって、最高10点の点数を付ける。と。カルムは、恐らく満点を取ってくるに違いない。そうなると、マルケル自身も満点を取らなければ行けないと言うことになる。だが…
「やっぱり
昨日マルケルは、
「でも、逃げるわけには行かない。」
地獄の苦しい生活だけは避けたい。それなら、試験をしっかり受けて、20%を引くしか方法はない。目を閉じて、深い呼吸をした後、そっと目を開けて、身支度を整えた。7:50。部屋の呼び鈴が鳴る。ドアを開けると
「あぁ、お前か。」
「うん!マルケル君、教室行こ!」
エマがいた。マルケルは、急いで杖と鞄を持ち、エマと一緒に教室へ向かった。
✣ ✣ ✣
教室には既に数人の生徒とフェルマがいた。
「緊張するね…。」
エマはマルケルに囁いた。マルケルは、何も言わずにただ頷いた。
「今日は、昨日から言っていた通り、第1回実技試験を行います。貴殿方の創造した魔法がどの様なものか、また、それを扱えているかどうかを3つの観点から、試させていただきます。1つ目は、魔法を打てたかどうか。これで、3点です。2つ目は、正確な場所に打てているかどうか。これも3点です。そして、最後に威力。これで、4点になります。威力が弱ければ弱い程、点数は低くなりますし、威力が強ければ強い程、点数は高くなります。それでは、早速始めましょう。試験は簡単。こちらの的に当てて貰うだけです。」
フェルマが弓道部等で使われていそうな的を用意する。
「より、中央に当てることが出来れば、2つ目の正確な場所に打てているかどうかという項目で加算されます。それでは、カルム・ロウフェル。」
「はい!」
カルムは、自信満々に返事をし、堂々と壇上に立った。カルムは、的に金の杖を一振し、
「
その呪文を聞き、そこにいた者は皆驚いた。そもそも
「カルム・ロウフェル。10点!」
皆、拍手をした。鼻高々にカルムは、席に着き、試すようにマルケルを見た。マルケルは即座に目を逸らし、下を向いた。
「マルケル・ラフエンテ。」
「…はい。」
マルケルは静かに立ち上がった。
「
そう唱えると、マルケルの身体の周りに黄色の炎の様な物が現れた。身体から力が漲るのを感じる。だが、マルケルの心情が変わることは無かった。過呼吸になりつつ、魔法よ。出てくれ頼む。と心の中で誰かに言い続けた。
「
その瞬間、マルケルの杖から、黒色と赤色の光が出て、的の中心を貫いた。出た…。出せた…!マルケルは、今までの
「成程。
「有難うございます。」
そう言って、マルケルは安堵の溜め息を漏らしながら席へ戻った。カルムはつまらなそうに窓の外を眺め、一方エマは、笑顔とガッツポーズをこちらに向けてくれた。周りの生徒達は、
「流石首席と次席だな。」
「的を貫通させるなんて、ヤバイよな。」
と話しており、「次席」と言うイメージが崩れていないことに対してもマルケルは安心した。
✣ ✣ ✣
暫くして、クラム寮1年生全員の試験が終わった。10点を取ったのは、カルムとマルケルだけだったが、他の者達のレベルも高く、大体が7点や8点を取っていた。エマも8点を取っており、自分の中では上出来だと喜んでいた。
「これにて、第1回実技試験を終了致します。結果が悪かった者は、次回の試験で良い結果が取れるように努力すること。それでは、この後の流れを説明します。12:00に昼御飯を食べ、13:00から皆様が受ける授業を選択していただきます。」
どうやら大学のようなシステムで、決められた単位数があり、1年の内にその単位を取らなければ留年という形でもう1年間1年生を繰り返すことになってしまうらしい。授業毎に貰える単位数が決められており、その単位数の合計を1年生の内に取ることが出来れば良いと言う訳だ。
「12:00迄には教室に戻っておくように。それでは、解散!」
時計は、11:00を指していた。エマは、マルケルに駆け寄って
「同じ授業取ろうよ!」
と言ってきたため、エマとマルケルは事前に話し合って、同じ授業を取ることにした。
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