第2話 タイムマシンと宇宙~酔っ払いの話(二)

「話は変わるけど宇宙人って、どんなのを想像する?」

 酔っ払いの話はあちこち飛ぶ。


「なんか頭が大きくって目が大きくって、体が小さくってツルツルした感じのやつ」

「その宇宙人には目が二つあって、手足が二つある。形は人間のようなもの。この地球にだって犬や猫、鳥や魚、ヘビや虫、様々な生き物がいるのに、この広大な宇宙の遙か先から人間と同じ形をした生き物が来るのかい。その確率はどんなものだよ」


「……」


「もし、タイムマシンができたら、すごく過去にも行けるんだよ。そうすると、今となっては過去の遺跡となっている、そんな時代に行けるわけだ。その時代に、タイムマシンと呼ばれる不思議な乗り物に乗った未来から来た人間が現れる。その時代の人たちは珍しい乗り物に乗った未来の人間を壁画なんかに残すんだなあ」


「……」


「そして、何千年も経った人類がそんな遺跡を見つけると、大昔にすごい文明があったんじゃないか……なんていうんだよ」


「だいぶ酔ってるけど、変につじつまが合ってるように思えるな。オレも酔ってるからかな……UFOはタイムマシンで、宇宙人は未来から来た地球人ってことか……」

 もう一人の酔っ払いが『酔っている』と言いながら、しらふにも見える表情で呟く。


「あと、もし、未来に地球が、どうしようもない危機に直面していたら……その原因となった時代に返ってリセットしなければならないようなことが未来に起きていたとしたら」


「どうなる?」


「今を生きてるオレたちにはわからなくても、干渉してくるかもしれないぜ。未来の人類が『未来』を変えるために、そして、それも、できるだけ過去に干渉しないようにするためには『偶然の何か』が起こりそうなタイミングで干渉して『起こるべく起こった』ように見せるんだよ。オレたちよりきっと頭いいから……」


 そんな話をしながら二人の酔っ払いは次の駅で降りて行った。


 同じ車両に乗っていた久木ひさきと一緒にいる綺麗な女性も今の話を聞いていたようだ。

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