第4話 大学の学食

 年が明けたキャンパスは四年生か大学院生が多いようだった。約束はしたものの、京介もその日は授業がなく、昼ご飯を学食に食べに行くような感じになった。

 この時期も研究をしている学生や、部活、サークル活動で学生は来るので学食はいつものようにやっていた。


 京介がお気に入りのカツカレーを食べていると哲也がやって来て一緒に食べる。そこへ哲也の先輩らしい女性がっやてきた。


「あ!」

 思わず京介は声を出してしまった。


「あ、有紀ゆき先輩。え? 京介、有紀先輩知ってるの」

「え、いや」


「あれ、君、昨日、私と同じ電車に乗っていたんじゃない?」

「え、京介、あの電車に乗ってたの」

「そう、少し離れた席だったけどね」

 微笑んだ笑顔が綺麗だった。


「なんだ、声掛けてくれたらよかったのに」

 哲也はそういうが、あの時点でまだ、哲也と話したことがなかったし、あの状況では話しかけにくい。

「この先輩は化学科の先輩で長谷川有紀はせがわゆき先輩」


「私たちが恋人同士だと思ったんじゃない」


「ま、まあ、そう思いました。」

「違うから」

 有紀という先輩は微笑みながら言う。


「え、そんなに否定されると……」

「え、だって違うでしょ。ちょっとサークルの集まりがあって、その帰りだったの」

 サラッという有紀。


「大学のサークルですか?」


「いや、不思議なことに興味を持っている外部の人達の集まりよ」

「オカルト研究みたいなやつですか?」


 有紀は哲也の方に微笑みながら

「オカルト研究だって……」


「え、すみません、おかしなこと言って」

 慌てて取り消す京介。


「まあ、そんな感じだよ」

 と言う哲也の頭を有紀が後ろからはたく。


「このあと一緒に来るの?」

 有紀が微笑みながら言う。

「え?」

「サークル」


「はい、行きます」

 と有紀の言葉に咄嗟に返事をしてしまった。


 有紀が哲也と付き合ってないことがわかって嬉しかったのと、綺麗な先輩女子、有紀の魅力に完全にやられた感じの京介だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る