第10話 全ての真相
321の合図で彼がはい。皆さん今晩はー。
毎週金曜日の夜にお届けする完全アドリブラジオ「人間クエスト」が始まりましたー。進行を務めさせていただきます。新海芸能事務所タレントの水溜ソラと。
駒込放送アナウンサーの川端美羽です。私もいつも通りに言う。
彼はマイクを持つとまるで歌を歌うように話を始めた。
「やっぱり幽霊っていないんですかねぇ」
そう締めくくる彼に疑問を投げかけた。
「そういえば、郡谷さんが言ってた設計図の三か所が変わってるって何だったんですかね」
彼はにやりと笑い。
「川端さん。めっちゃ質問をしてくれましたね」なんて言った。
彼は言う。
なぜ、階段の段差が低くて踊り場が多くあったのか。そして、二階は窓が少なかったのか。また、お風呂場が小さくトイレが大きい理由。
「そんなのは簡単ですね使う人によってです」
私はハッと気づく。
「車いすの方だったのか」
彼はYesと親指を立てる。
そうです。足が不自由な方が住んでいたんです。三人家族だったそうで、息子が事故で片足が無くなってしまい車いすになってしまったそうです。
だから、階段が大きく、段差が低かったんです。そして、お風呂場よりもトイレが大きい理由も車いすを入れれるようにですね。
彼は続けて言う。
「二階に窓が少なかった理由は転落防止だそうです。車いすになってしまい情緒が不安定だったそうですよ」
私は合点がいったなと思えた。
「ではCMに入りまーす」といいカフスイッチをOFFにした。
「てかその人たちが家を作ったってことは首を吊ったのはその家族なんですよね」
彼は私の質問に「その息子さんが首を括ったそうだよ」といった。
私にしか聞こえてないその発言は私を壊すには十分だった。
「足が不自由なのに首を吊ったんですか」
私が立て続けに質問をすると彼は「今日は夜おトイレいけませんねぇ」と煽った後に話し始めた。
息子は二階の窓から飛んだそうだ。首にはロープを巻き付け、ロープの先を家具に取り付けた。
そして、自分が窓から落ちると家具が留め具となりバンジーのように途中で止まる。ただ反動がすごかったそうで首が捥げていたそうだよ。
私はあの家の一角で起こったであろうそれを頭の中で咀嚼して固まった。
「CMが終わりました。では次のコーナーに行っちゃいますか。って川端さん。怖い話聞いて固まんないでください」
彼は笑いながら今宵もお便りコーナーを始めたようだ。
きっとこの番組は、ソラさんは私に娯楽と恐怖と快楽と絶望を与え続けるのだろう。
空色シリーズ 四季式部 @sikisikibu
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